なんと言っても日本の文化は仏教を抜きにしては理解出来ません。日本を誇りに思えばどうしても仏教のことをあれこれ考えるようになるのが自然ではないでしょうか。
私も素人ながら仏教のことを折りにふれていろいろ調べるのが趣味になっています。
そこで今日から「仏教のあれこれ」と題する連載を書いていこうと思います。間違いも多いとは思いますが、気楽にお楽しみ頂ければ嬉しく思います。
まず日本の仏教二つに分類してみます。鎌倉時代の始まるまでの古い仏教と、新しい鎌倉仏教の二つに分けることが出来ます。
古い仏教には鑑真の持ってきた律宗や華厳宗や法相宗の奈良仏教と、最澄(伝教大師)の天台宗や空海(弘法大師)の真言宗の5つの宗派があります。そして天台宗と真言宗は密教と分類されています。
今日は民衆の救済を大切にした弘法大師(空海)と密教を取リ上げたいと思います。
弘法大師を取上げるのは私が尊敬しているからです。何故かというと彼は天才的な学僧でありながら、無知な民衆の救済のために各地を行脚したからです。学問の出来る人はとかく大衆を蔑み無視しがちです。ところが大師はそうではなかったのです。
その一方で弘法大師は、嵯峨天皇、惇和天皇、諸天皇の三代にわたる天皇家から篤い信頼を受け、天皇の依頼で国家安泰の修法を勤めたのです。
弘法大師は諸国を巡って人々の苦悩を解決し、農業用の溜池を作り、文化の恩恵を受けない大衆のために、綜芸種智院を開かれ、民衆教化を進めたのです。綜芸種智院は貴族やお金持ちの子弟だけが学ぶところではなく、文化の恩恵を受けることができなかった大衆も入学出来たのです。
しかも、大師は都に留まることを望まず、やがて人里を遠く離れた高野山に移り、真言密教をそこで大成しました。詳しくは、(http://www.shingon.or.jp/daishi.html)をご覧下さい。
それはさておき私は昔から温泉が好きで、数多くの温泉を訪れました。そうすると幾つかの温泉では、弘法大師が杖を突いたら湯が出て来たと言うのです。
それは不思議なことです。奇蹟です。
弘法大師の真言宗では護摩を焚いたり加持祈祷をします。平安時代に書かれた源氏物語には出産や病気の時、祈祷専門の僧を呼んで安産や病気平癒を祈祷したと書いてあります。
その様子を見ると密教とはどういうものなのかが想像できます。
密教とは言葉で表せられない体験をとうしてお釈迦様の教えを深く理解しようという宗派のようです。これに対して言葉で説明のつく教えでお釈迦様の慈悲を理解させようとする宗派を顕教と言います。鎌倉仏教はこの顕教に分類する人が多いのです。勿論、禅宗は座禅や修業を重視しますから他の顕教とは少し違います。
日本では、密教といえば空海を開祖とする真言宗のいわゆる東密と、密教を導入した天台宗の台密の二つの宗派があります。
密教では不思議な宗教的な体験を経験することで悟りの境地に至るので山岳信仰や修験道と習合します。従って密教と修験道は密接に融合しているのです。
このように書くと合理的な現在の日本人は密教をその非合理性の故に見下します。しかしそれは浅慮なのかも知れません。
私は40年くらい前からカトリックになりました。そうすると密教との共通な考え方に気がつきます。カトリックでも奇蹟や不思議な宗教的な体験を重視し、それを信じています。
ですから弘法大師が杖を突いて温泉を出したという話も私は信じています。
話は飛びますが、日本は明治維新の文明開化以来、熱心に西洋文化を取り入れて来ました。しかし取り入れ方が科学や工業技術に重点が置かれたため合理的な文化のみに偏っていたのです。奇蹟を信じ、マリア様の処女懐妊を信じ、イエスの復活を信じる宗教を下敷きにした文化の導入にはあまり熱心ではなかったのです。ヨーロッパにある密教的な文化を無視し過ぎていたのです。
そのような不合理な考え方が時代遅れだと考えたら間違いです。現在、空海の始めた真言宗の信徒は以下のように、高野山真言宗:548万人、真言宗智山派:153万人、真言宗豊山派:120万人、真言宗醍醐派:56万人、合計約900万人もいるのです。
これは世界のカトリック教徒が非常に多いのことと一脈通じることかとも思われます。
今日の挿絵の写真は先週撮って来た季節の花々の写真です。
ところで明日から記事の掲載を休み、7月5日から再開する予定です。よろしくお願い申しあげます。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
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私も素人ながら仏教のことを折りにふれていろいろ調べるのが趣味になっています。
そこで今日から「仏教のあれこれ」と題する連載を書いていこうと思います。間違いも多いとは思いますが、気楽にお楽しみ頂ければ嬉しく思います。
まず日本の仏教二つに分類してみます。鎌倉時代の始まるまでの古い仏教と、新しい鎌倉仏教の二つに分けることが出来ます。
古い仏教には鑑真の持ってきた律宗や華厳宗や法相宗の奈良仏教と、最澄(伝教大師)の天台宗や空海(弘法大師)の真言宗の5つの宗派があります。そして天台宗と真言宗は密教と分類されています。
今日は民衆の救済を大切にした弘法大師(空海)と密教を取リ上げたいと思います。
弘法大師を取上げるのは私が尊敬しているからです。何故かというと彼は天才的な学僧でありながら、無知な民衆の救済のために各地を行脚したからです。学問の出来る人はとかく大衆を蔑み無視しがちです。ところが大師はそうではなかったのです。
その一方で弘法大師は、嵯峨天皇、惇和天皇、諸天皇の三代にわたる天皇家から篤い信頼を受け、天皇の依頼で国家安泰の修法を勤めたのです。
弘法大師は諸国を巡って人々の苦悩を解決し、農業用の溜池を作り、文化の恩恵を受けない大衆のために、綜芸種智院を開かれ、民衆教化を進めたのです。綜芸種智院は貴族やお金持ちの子弟だけが学ぶところではなく、文化の恩恵を受けることができなかった大衆も入学出来たのです。
しかも、大師は都に留まることを望まず、やがて人里を遠く離れた高野山に移り、真言密教をそこで大成しました。詳しくは、(http://www.shingon.or.jp/daishi.html)をご覧下さい。
それはさておき私は昔から温泉が好きで、数多くの温泉を訪れました。そうすると幾つかの温泉では、弘法大師が杖を突いたら湯が出て来たと言うのです。
それは不思議なことです。奇蹟です。
弘法大師の真言宗では護摩を焚いたり加持祈祷をします。平安時代に書かれた源氏物語には出産や病気の時、祈祷専門の僧を呼んで安産や病気平癒を祈祷したと書いてあります。
その様子を見ると密教とはどういうものなのかが想像できます。
密教とは言葉で表せられない体験をとうしてお釈迦様の教えを深く理解しようという宗派のようです。これに対して言葉で説明のつく教えでお釈迦様の慈悲を理解させようとする宗派を顕教と言います。鎌倉仏教はこの顕教に分類する人が多いのです。勿論、禅宗は座禅や修業を重視しますから他の顕教とは少し違います。
日本では、密教といえば空海を開祖とする真言宗のいわゆる東密と、密教を導入した天台宗の台密の二つの宗派があります。
密教では不思議な宗教的な体験を経験することで悟りの境地に至るので山岳信仰や修験道と習合します。従って密教と修験道は密接に融合しているのです。
このように書くと合理的な現在の日本人は密教をその非合理性の故に見下します。しかしそれは浅慮なのかも知れません。
私は40年くらい前からカトリックになりました。そうすると密教との共通な考え方に気がつきます。カトリックでも奇蹟や不思議な宗教的な体験を重視し、それを信じています。
ですから弘法大師が杖を突いて温泉を出したという話も私は信じています。
話は飛びますが、日本は明治維新の文明開化以来、熱心に西洋文化を取り入れて来ました。しかし取り入れ方が科学や工業技術に重点が置かれたため合理的な文化のみに偏っていたのです。奇蹟を信じ、マリア様の処女懐妊を信じ、イエスの復活を信じる宗教を下敷きにした文化の導入にはあまり熱心ではなかったのです。ヨーロッパにある密教的な文化を無視し過ぎていたのです。
そのような不合理な考え方が時代遅れだと考えたら間違いです。現在、空海の始めた真言宗の信徒は以下のように、高野山真言宗:548万人、真言宗智山派:153万人、真言宗豊山派:120万人、真言宗醍醐派:56万人、合計約900万人もいるのです。
これは世界のカトリック教徒が非常に多いのことと一脈通じることかとも思われます。
今日の挿絵の写真は先週撮って来た季節の花々の写真です。
ところで明日から記事の掲載を休み、7月5日から再開する予定です。よろしくお願い申しあげます。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
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