この数日、「巨大な中国の脅威」という連載記事を書いています。
そうすると脅威の根源には中国人と日本人との違いが関係しているのかという疑問に突き当たります。ですから私は中国の脅威の原因は人間性の違いなのか政治体制の違いなのかという問題を考えています。
その問題に進む前に比較的明快な問題を取上げてみたいと思います。
それは「西洋人と日本人の共通性と相違」という問題です。個人的な例外を上げればきりがありませんが、大雑把な比較をして見ようと思います。
素人の夏の夜の小話ですから目くじらを立てないで読み飛ばして下さい。
さて明治の文明開化以来、日本にとって、欧米人を理解して、その文明文化を早急に輸入することが国家目標であったのです。蒸気機関、ジーゼルエンジンなどの科学技術の導入は素早く出来ました。
しかし欧米人を理解するという問題は困難なこととして現在も残っています。
欧米人を理解するにはキリスト教徒になるのが手っ取り早いという説もあり、明治時代から洗礼を受けた人も少なくありません。
キリスト教徒になると欧米人の人間としての弱さはよく理解できます。日本人と同じように人間としての弱さを持っていて親しみを感じます。その側面は日本人と共通な性質です。
しかし相違点が見えて来ません。単に人間の弱さは世界のどの民族も同じだという感慨に捉われるだけです。
そこで宗教から離れて、彼等の考え方や行動を冷静に観察してみます。
すると欧米人の違いの一つは、合理主義が大きく人生に根付いていることです。この点が日本人と非常に違います。
人間は鳥でないから空を飛べない! そんなことはありません。ライト兄弟が飛行機を発明したではありませんか! 帆船は追い風を受けて走るのだから風上には走れない! 本当にそうでしょうか? それなら実験をしてみよう!
そういう発想を持つのが西洋人の実験実証主義です。合理主義の基盤になっています。
帆の形を色々変えて実験をしてみたところ、風上に走ったのです。 もっと早く風上へ走る船の形と帆の形はどう改良すればよいか? 改良を重ねる度に実験をする。そうして1500年ころに3本マストの外洋航海用の帆船が出来上がったのです。
東洋人には実験実証主義的な考え方が弱いようです。これこそが東洋人と西洋人の重大な一つの相違と私は信じています。
西洋人が他の民族を制圧して多数の植民地を手に入れることが出来たのは、この実験実証主義のお陰ではないでしょうか?
私は25年間、クルーザーヨットで帆走する趣味を持っていました。
ヨットに乗って、その部品一つ一つにひどく感心したのです。部品はその役目を果たすために実に合理的に出来ているのです。そして船全体の構造の無駄の無さ、絶対に転覆しないキールの重さ、などなどを体感的に理解すると、欧米人の合理主義の極地が理解できるのです。
これこそヨーロッパ文化の合理主義の真髄と、クルーザーに乗る度に感動しました。
キリスト教は欧米人の精神文化です。そして彼等の物質文明の本質は合理性にあります。
工業製品では無駄をそぎ落とし、目的の性能や機能を出すために徹底的に改良していきます。自動車も飛行機もインターネット技術もそのような努力の積み重ねによって出来あがってきたのです。この技術発展の分野では、日本人の貢献は非常に少ないのが実態です。
科学者や技術者はこのことをよく知っていますが、それ以外の人々はそのように理解していません。
さてここで日本人と中国人を大雑把に比較してみましょう。
雑に言えば日本人も中国人も同じような人間性を持っています。ですから中国人は人間性に劣るという非難は間違っています。私は立派な人間性を持っている中国人を幾人も知っています。
しかし中国人も合理主義的な考えが弱いのです。そしてその弱さが共産党独裁を受け入れているようにも思います。昔から何代も王朝文化の中で生き、専制君主の元で平穏に暮らす知恵を本能的に身につけているのではないでしょうか?
現在の専制君主は国家主席です。中国が日本にとって脅威なのはこの専制君主制のような政治体制とそれを自然だと思う文化なのだとも考えられます。そうして、時の国家主席が自分の権力維持の為に意図的に外国との争いを作るのも中国の政治ではないでしょうか?
中国の個人の人間性と政治体制とを区別して考えると中国の脅威の原因が少し分かるような気がいたします。雑な夏の夜話でした。今日の挿絵の写真は伝統的な日本の農家の写真です。以前に富士山の山麓の忍野村で撮った写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
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そうすると脅威の根源には中国人と日本人との違いが関係しているのかという疑問に突き当たります。ですから私は中国の脅威の原因は人間性の違いなのか政治体制の違いなのかという問題を考えています。
その問題に進む前に比較的明快な問題を取上げてみたいと思います。
それは「西洋人と日本人の共通性と相違」という問題です。個人的な例外を上げればきりがありませんが、大雑把な比較をして見ようと思います。
素人の夏の夜の小話ですから目くじらを立てないで読み飛ばして下さい。
さて明治の文明開化以来、日本にとって、欧米人を理解して、その文明文化を早急に輸入することが国家目標であったのです。蒸気機関、ジーゼルエンジンなどの科学技術の導入は素早く出来ました。
しかし欧米人を理解するという問題は困難なこととして現在も残っています。
欧米人を理解するにはキリスト教徒になるのが手っ取り早いという説もあり、明治時代から洗礼を受けた人も少なくありません。
キリスト教徒になると欧米人の人間としての弱さはよく理解できます。日本人と同じように人間としての弱さを持っていて親しみを感じます。その側面は日本人と共通な性質です。
しかし相違点が見えて来ません。単に人間の弱さは世界のどの民族も同じだという感慨に捉われるだけです。
そこで宗教から離れて、彼等の考え方や行動を冷静に観察してみます。
すると欧米人の違いの一つは、合理主義が大きく人生に根付いていることです。この点が日本人と非常に違います。
人間は鳥でないから空を飛べない! そんなことはありません。ライト兄弟が飛行機を発明したではありませんか! 帆船は追い風を受けて走るのだから風上には走れない! 本当にそうでしょうか? それなら実験をしてみよう!
そういう発想を持つのが西洋人の実験実証主義です。合理主義の基盤になっています。
帆の形を色々変えて実験をしてみたところ、風上に走ったのです。 もっと早く風上へ走る船の形と帆の形はどう改良すればよいか? 改良を重ねる度に実験をする。そうして1500年ころに3本マストの外洋航海用の帆船が出来上がったのです。
東洋人には実験実証主義的な考え方が弱いようです。これこそが東洋人と西洋人の重大な一つの相違と私は信じています。
西洋人が他の民族を制圧して多数の植民地を手に入れることが出来たのは、この実験実証主義のお陰ではないでしょうか?
私は25年間、クルーザーヨットで帆走する趣味を持っていました。
ヨットに乗って、その部品一つ一つにひどく感心したのです。部品はその役目を果たすために実に合理的に出来ているのです。そして船全体の構造の無駄の無さ、絶対に転覆しないキールの重さ、などなどを体感的に理解すると、欧米人の合理主義の極地が理解できるのです。
これこそヨーロッパ文化の合理主義の真髄と、クルーザーに乗る度に感動しました。
キリスト教は欧米人の精神文化です。そして彼等の物質文明の本質は合理性にあります。
工業製品では無駄をそぎ落とし、目的の性能や機能を出すために徹底的に改良していきます。自動車も飛行機もインターネット技術もそのような努力の積み重ねによって出来あがってきたのです。この技術発展の分野では、日本人の貢献は非常に少ないのが実態です。
科学者や技術者はこのことをよく知っていますが、それ以外の人々はそのように理解していません。
さてここで日本人と中国人を大雑把に比較してみましょう。
雑に言えば日本人も中国人も同じような人間性を持っています。ですから中国人は人間性に劣るという非難は間違っています。私は立派な人間性を持っている中国人を幾人も知っています。
しかし中国人も合理主義的な考えが弱いのです。そしてその弱さが共産党独裁を受け入れているようにも思います。昔から何代も王朝文化の中で生き、専制君主の元で平穏に暮らす知恵を本能的に身につけているのではないでしょうか?
現在の専制君主は国家主席です。中国が日本にとって脅威なのはこの専制君主制のような政治体制とそれを自然だと思う文化なのだとも考えられます。そうして、時の国家主席が自分の権力維持の為に意図的に外国との争いを作るのも中国の政治ではないでしょうか?
中国の個人の人間性と政治体制とを区別して考えると中国の脅威の原因が少し分かるような気がいたします。雑な夏の夜話でした。今日の挿絵の写真は伝統的な日本の農家の写真です。以前に富士山の山麓の忍野村で撮った写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
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