中国の脅威の一つに、その核兵器と航空母艦や原子力潜水艦があります。いずれも日本の自衛隊が保有していない強力な攻撃用軍備です。この中国の軍備は経済発展とともに次第に増強されてきました。今やアメリカ、ロシアにつぐ強大な軍事力を有する大国になっているのです。
私は軍事の専門家ではありませんが、今回は中国の核弾頭ミサイルと原子力潜水艦について概略をご紹介いたします。
まずそのそも何故中国が核兵器を保有しているのでしょうか?その歴史的いきさつを調べました。以下はその概略です。
毛沢東はアメリカによる日本への原子爆弾投下以来、原子爆弾を持ちたいと強く願い続けたそうです。朝鮮戦争中にアメリカから核攻撃を暗示された際に、毛沢東はスターリンに原爆製造技術供与を要請しました。この時にソ連側は技術供与を拒否したのですが、後の
1954年の台湾海峡危機を機会に、中国はソ連からの技術供与交渉に成功しました。
1960年代初頭に設立した北西核兵器研究設計学会により、核兵器の開発が進められました。1964年10月16日に新疆ウイグル自治区のロプノール湖にて初の核実験が成功し、1967年6月17日には初の水爆実験が行われたのです。そしてチベットなどに核廃棄物の処分場も設置されたのです。
中国政府はこれまで46回におよぶ核実験を行ったと公式発表していますが、小規模の実験も含めると核実験は50回以上に及ぶと推定されています。 1980年10月16日に最後の大気圏内核実験が行われ、1996年7月29日に最後の地下核実験が行われました。この経緯の中で原爆を小型化してミサイルに搭載できる核弾頭の開発も行われていたと想像出来ます。
それでは核弾頭はどのようになっているのでしょうか?
以下の文献に詳細な情報があります。
「中国の核兵器」:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%A4%A7%E9%87%8F%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E5%85%B5%E5%99%A8
この詳細な情報から主な部分を抜粋しますと以下のようになります。
米国科学者連盟によれば、
中国は2009年に約180個の戦略核弾頭を含む合計240個の核弾頭を保有していています。
そして陸上基地発射型大陸間弾道ミサイルについては、西側研究者は
中国が1980年代から18から36基のDF-5(東風5)大陸間弾道ミサイルを配備したものと見ています。改良型のDF-5A(東風5A)は単弾頭搭載で、3段式液体燃料ミサイル
でその射程距離は13,000 km 以上です。
2000年、アメリカ戦略軍司令官ユージーン・E. ハビガー合衆国空軍大将は、中国は18基のサイロ発射型DF-5sを保有していると議会で証言しました。
21世紀初頭から中国人民解放軍第二砲兵部隊はまた10基の移動式固体燃料大陸間弾道ミサイルDF-3 (東風31)を配備し、中国はさらに改良型のDF-31A (東風31A)を開発し、これは射程距離11,200 km 以上で 3 – 6 個のMIRV弾頭を搭載可能なものとなっていると言われています。
そしてさらに、東海10 (DH-10) は中国で開発された巡航ミサイルです。
ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリィによれば、東海10は第2世代の対地巡航ミサイル(LACM)で、射程距離4,000 km以上、統合慣性航法システム、GPS、地形照合システム、デジタル情景照合誘導装置を搭載していると報じています。
このミサイルの平均誤差半径は10メートルと推定されています。
このような核弾頭長距離ミサイルは原子力潜水艦からも発射されるので、原潜を太平洋に展開し発射すればアメリカ本土の全ての範囲を射程内に入れることが出来るのです。
それでは中国の原子力潜水艦はどのように配備されているのでしょうか?
以下の文献に詳しく出ています。
原子力潜水艦:https://ja.wikipedia.org/wiki/094%E5%9E%8B%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6
093型原子力潜水艦(商級)は、その船体を延長し潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した潜水艦でです。この潜水艦は核抑止力確保のための弾道ミサイル搭載原子力潜水艦なのです。
1番艦(407号艦:長征7号)は、遼寧省の葫蘆島造船所で2004年に進水、2番艦(408号艦:長征8号)も進水済みです。就役時期は1番艦が2008年頃、2番艦が2010年頃と推測されていましたが、平成22年度防衛白書においては、その就役は確認されていません。ただし、
2014年時点では3隻が就役し、後続艦も建造が続いている報じています。
そして潜水艦発射長距離ミサイルの現状は以下の文献にあります。
潜水艦発射長距離ミサイル:https://ja.wikipedia.org/wikiJL-2_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
JL-2(Julang-2,巨浪2号)は中華人民共和国が開発中の潜水艦発射弾道ミサイルです。アメリカ国防総省のコードネームとしてCSS-NX-4が付けられています。1980年代中頃より開発が開始されました。
大陸間弾道ミサイルDF-31(東風31号)は潜水艦発射型であります。
三段式の固体燃料ロケットで、晋型原子力潜水艦(094型)に12基搭載されます。弾頭は3個以上のMIRVと推測されています。夏型原子力潜水艦に搭載・配備中のJL-1 SLBMは射程が2,000km台の単弾頭で、ハワイ以東に進出せねばアメリカ合衆国本土を攻撃できず、アメリカに対する核戦力としてはあまり有効でないものであったのです。
しかし、
JL-2は射程が8,000km以上と推測されており、中国近海からアメリカ本土を核攻撃できる能力を持つと言われています。
以上を簡潔にまとめると中国がアメリア本土を攻撃できる核弾頭ミサイルを多数保有し、その発射装置も中国本土太平洋上の原子力潜水艦の両方に設置しています。
現在、航空母艦の遼寧号の一隻だけですが、ニ隻目も建造中と推定出来ますので中国はやがて複数の空母艦隊を太平洋に展開するようになるでしょう。
そうすればアメリカ軍と互角の抗争になります。
中国の軍備がアメリカと互角になれば、それは日本にとっても大きな脅威になります。
将来、日本はこの中国の脅威に対してどのようにしたら良いのでしょうか?
皆様のご意見を聞かせて頂ければ幸いです。今日の挿絵は中国の空母、遼寧と原子力潜水艦の写真2枚の合計3枚です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)