戦前、戦後に仙台の郊外に育った私は山林の中で一人遊びをしていました。雑木林を抜けると亭々と聳える赤松の林があり、何故かいつもトンビが舞っていたのです。
その鳴き声が今でも耳に残っています。私は樹木に憧れ、樹木を友にし、樹木を尊敬していたのです。
中年になって少し心の余裕が出来たころ、山林の中に小さな小屋を建てました。
山梨県北杜市の甲斐駒岳の山麓に広がる深い、深い森の中です。
どんなに深い森かを示すために写真にその小屋の窓から撮った森の写真を示します。
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1番目の写真は私の山小屋の窓の西側の林の風景です。東側には庭があり小川が流れています。
西側の窓の外の自然林を眺めながらビールをゆっくり飲みます。夕方から次第に暮れて行く山林の呼吸を感じながら時を過ごします。
鬱蒼とした自然林の奥には鹿や猪や猿が静かに棲んでいるのです。
次の日の朝、小屋から東の方へ200mほど歩くと視界が開けその向こうに風に梢を揺らしている大木の群れが見えます。下の写真のような光景です。
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2番目の写真は小屋から東へ歩いて行った場所にある森です。
自然に生えている樹木は上の写真のように荒々しいものです。原始の姿です。
しかしそれに人間の手が入ると風景が一変します。下の写真は山梨県の清春美術館の近所にある牧草地に生えている樹木のかたまりです。
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3番目の写真は山梨県の清春美術館の近所にある牧草地の向こうに生えている樹林です。
樹木の美しさを牧草地の広がりが引き立てています。
牧草を育てながら樹木の美しさを楽しんでいる牧畜家の心の豊かさに感動します。
こうして樹木の好きな私は自分の家の近所でも大きな木のある所を沢山知っています。よく散歩する場所です。
小金井公園、武蔵野公園、野川公園には巨大な樹木があるのです。下に一例として武蔵野公園の写真を示します。
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4番目の写真は武蔵野公園の樹林の写真です。
公園の樹木と言えば何と言っても新宿御苑ほど素晴らしい公園は無いと思っています。プラタナスの大木の林が見事なのです。
このように樹木のことを書き出したら止まりません。北海道大学の植物園の楡の大木、ポプラ並木、そして富良野や美瑛の牧草地の境に立っている白樺林など思い出は尽きません。
そして長野県の八千穂高原の日本一の白樺林の広がりを思い出しています。
最後に秋田県の白神のブナ原生林へ分け入って撮ったブナ林の写真を示します。
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5番目の写真は秋田県の白神のブナ原生林の中のブナの木です。
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6番目の写真も秋田県の白神のブナ原生林の中のブナの木です。純粋にブナだけの自然林は無いのが自然です。
白神のブナ原生林は屋久島とともに、1993年、日本で最初の世界遺産(自然部門)として登録されました。
さて新潟県に美女林という美しいブナ山があり、観光地になっていますが、そこは植林されたもので他の樹木は切ってしまうのでブナだけの美しい林になっています。
とにかく樹木の事を考えると心が静まり幸せな感じになります。
何もしないで公園の樹木の間を夫婦で歩くだけで満足なのです。
このような幸多い境地があることを若い時は想像も出来ませんでした。
高齢の皆様にはそのような経験がありますでしょうか?
林の中の道を散歩する幸福をお祈り申し上げます。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)