花神 (中)新潮社このアイテムの詳細を見る |
【一口紹介】
内容(「BOOK」データベースより)
長州--この極めてアクティブな藩に属したことが、臓六自身の運命と日本史に重大な変化をもたらしていく。”攘夷 ” という大狂気を発して蛤御門ノ変に破れ、四カ国連合艦隊に破れて壊滅寸前の長州に、再び幕軍が迫っている。桂小五郎の推挙で軍務大臣に抜擢された臓六は、百姓兵たちに新式銃をもたせて四方からおしよせる幕軍と対峙し、自らは石州口の戦いを指揮して撃滅する。
【読んだ理由】
義兄にすすめられて。
【印象に残った一行】
『人間の脳裏の追憶というものは、事実として記憶されるよりも、詩として記憶されるものかもしれない』
『余談ながら、長州藩の表高は三十六万九千石でしかないのである。それが幕末にあっては、「実力百万石」といわれていた。ふつう、江戸期の幕府や藩は時代が下るとともに経済力が衰弱してゆくというのに、長州藩はまるで逆であった。その経済力の秘密は長期間計画的に行われてきた瀬戸内海沿岸の干拓事業と、米中心農業から脱して紙や蝋といった工業を重視してきたことと、いまひとつは、下関を根拠地とする日本海貿易の発展によるものであり、それらはすべて藩官僚が立案し、推進してきたのである。』
【コメント】
話が本題からそれて、少し読むのに退屈する部分もあるが、時代に翻弄される村田臓六(後の大村益次郎)の姿が克明に描かれている。