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【一口紹介】
出版社 / 著者からの内容紹介
蹂躙され殺された娘の復讐のため、父は犯人の一人を殺害し逃亡する。
「遺族による復讐殺人」としてマスコミも大きく取り上げる。
遺族に裁く権利はあるのか?
社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心を揺さぶる復讐行の結末は!?
内容(「MARC」データベースより)
不良少年たちに蹂躙され死体となった娘の復讐のために、父は仲間の一人を殺害し逃亡する。
世間の考えは賛否が大きく分かれ、警察内部でも父親に対する同情論が密かに持ち上げる。
はたして犯人を裁く権利は遺族にあるのか? 社会、マスコミそして警察まで巻き込んだ人々の心揺さぶる復讐行の結末は・・・・。
著者からのコメント
他人事ではない明日にでも、この物語の『誰か』になるかもしれない その時あなたの『刃』はどこに向けられるだろう? 東野圭吾
【読んだ理由】
「東野圭吾」作品。
【印象に残った一行】
『たぶんスガノケイジの親も同様だろう。警察から息子がどんな悪行を繰り返していたかは教えられているに違いない。その結果として伴崎と同じように狙われていることも、今では知っているだろう。それでも親は、息子が逮捕されることなど望んでいない。どれほど論理的に説明されようとも、自分たちの息子が悪人だと認めないし、狙われていることも信じないだろう。
そういう親がいるから、自分のように悲しい目に遭う親もいるのだと長峰は思った。十数年前には、どちらも同じ立場の親だったはずだ。生まれたばかりの赤ん坊と出会い、どんなふうに育っていくか、楽しみにしたはずなのだ。』
『「警察というのは何だろうな」久塚が口を開いた。「正義の味方か。違うな。法律を犯した人間を捕まえているだけだ。警察は市民をまもっていない。警察が守ろうとするのは法律の方だ。法律が傷つけられる防ぐために、必死になってかけずりまわっている。ではその法律は絶対に正しいものなのか。絶対に正しいものなら、なぜ頻繁に改正が行われる?法律は完璧じゃない。その完璧でないものを守るためなら、警察はなにをしてもいいのか。人間の心を踏みにじってもいいのか」そこまでしゃべった後、久塚はにっこりと笑った。
【コメント】
極めて重いテーマの本である。読後もコールタールのようなものが心の中に広がっていく感じだった。でも一読をお奨めしたい。