約束の冬〈下〉文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
【一口紹介】
■内容(「BOOK」データベースより)■
壊されたパテックの懐中時計の持ち主を探す桂二郎の前に、妖艶な中国女性が現われる。
そしてもう一人、桂二郎を訪ねてきた若い女性は、昔別れた恋人の娘だった。
一方、留美子は謎の手紙の主について、次第に手がかりを得ていく―。
人は何を拠り所にして生きていくのかを問う、宮本文学の新しい傑作。
【読んだ理由】
以前から気になっていた本。「星宿海への道」に続いての宮本輝作品。
【印象に残った一行】
『「不運な人も、幸運な人も、それを「運」ていうひとことで片づけたりするど、その運は、なにか人智でははかりしれんもんが分配したんやない・・・。
やっぱりその人が作りだしたんやって思うねん。
上原桂二郎が人に恵まれるという星のもとにあるのは、上原桂二郎という人間の為せる業やねん・・・・」』
【コメント】
この小説を書いた動機として著者は『私は日本という国の民度がひどく低下していると感じる幾つかの具体的な事例に遭遇することがあった。
民度の低下とは、言い換えれば「おとなの幼稚化」ということになるかもしれない』とあとがきに書いている。
このおとなの数々の約束がこの小説のテーマとなっているが、読後は何故か心のササクレを癒してくれ、やさしく人生を送ろうという気にさせられる。