阿智胡地亭のShot日乗

日乗は日記。日々の生活と世間の事象記録や写真や書き物などなんでも。
  1942年生まれが東京都江戸川区から。

 佐江衆一著「黄落」を読んだ。  まだ介護保険が始まる前の頃に93歳と88歳の親の介護をする話 

2022年08月14日 | 乱読は楽しい
黄落とは木の葉や果実が黄色に色づいて落ちること。秋の季語。「黄落期」 秋》
 
 まだ介護保険が始まる前の時代に年老いた親の介護をする話。発行された1995年にも読んだので二度目の読み直しだったが新鮮だった。
 
間もなく還暦を迎える夫婦が老親二人の世話し、先に母親が亡くってまた父親の介護を続ける。当時のベストセラー小説だったそうだ。
 
 懸命に毎日毎日朝から晩まで義理の親を世話をする妻のなにげない言葉や動作が、じょじょに夫の心の中をかき混ぜていく。
 
そしてついに苛立ちと怒りが溜りにたまり、ある日夫は妻に離婚話を切り出す。
 
 またもや傷つく妻。三人の子供たちや夫の姉と妹、親族との介護のやりとりなども。
 
読んでいくと 時に夫に、時に妻に感情移入していく。二人は感情を態度に表したり言葉にしてぶつけたりしながらも介護を続けていく。
 
母親のおむつを替える夫の心理、妻に対する感謝の数々・・。どうしてここまで精密に描けたのだろう。
 
言葉として言い表せないことを、小説家は豊かに正確に言葉として紡いでいく。
 
 母はやがて絶食し自ら命を絶つ。なぜ母は自ら死期を迎えた頃、なんども父の首を絞めたのか。
 
母親の生涯の父への恨みかと思わせて、実はあとの面倒をみるしかなくなる夫婦への思いやりかと思わせる箇所では思わず本をいったん閉じた。
 
 余談ながら女優の沢村貞子さんは、自らの意志で日々の食べ物を摂る事をやめて 静かにこの世の舞台から姿を消した。
 
気になって沢村さんの亡くなった年を調べたらこの本が出版された翌年の1996年だった。
 
読書好きだった沢村さんは間違いなくこの小説「黄落」を読まれたなと思った。
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雑誌「かまくら春秋」2022年8月号から引用↓
  • 単行本: 283ページ
  • 出版社: 新潮社 (1995/05)

出版社のサイトから:還暦間近の夫婦に、92歳の父と87歳の母を介護する日がやってきた。

母の介護は息子夫婦の苛立ちを募らせ、夫は妻に離婚を申し出るが、それは夫婦間の溝を深めるだけだった

やがて母は痴呆を発症し、父に対して殺意に近い攻撃性を見せつつも、絶食し自ら命を絶つ。

そして、夫婦には父の介護が残された……。自らの体験から老親介護の実態を抉り出した、凄絶ながらも静謐な佐江文学の結実点。

2019年8月6日掲載エントリーに追加して再録

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大阪天神橋筋の「酒房 竹うち」の酒と料理で話が弾んだ。        10年前の今日 2012年8月14日の本ブログに掲載

2022年08月14日 | 「過去の非日乗&Shot日乗」リターンズ

M会の集まりは神戸だけではなく時々大阪にも集まります。

私はこのところ日程が合わずに大阪でのM会は何回もパスしてしまいましたが、ようやくほぼ半年ぶりに、参加することが出来ました。

前後に飲み会が続いていましたが、「酒房 竹うち」に集合と聞いては外すわけにはいきませんでした。

5M会となったこの日はオーダーした品が多いようですが、一皿を5人でシエアーするので適量と言えます。

店の主人と奥さんは相変わらず自然体に客を遇していていい雰囲気の中で、みんなと料理を楽しみました。

左下のポインターをクリックしてスライドショーでいろんな料理を楽しんでください。

スライドショーの転換速度は砂時計をクリックして調整可能です。また大きく画像を見るときは右端の拡大アイコンをクリックしてください。

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大阪・九条にマンションの一階にある映画館「シネ・ヌーヴォ」がある。      11年前の今日 2011年8月14日の本ブログに掲載

2022年08月14日 | 「過去の非日乗&Shot日乗」リターンズ

大阪の九条にある映画館「シネ・ヌーヴォ」は小さなマンションの一階にあります。

地下鉄中央線の九条駅からは商店街の中を3回曲がって10分ほどで辿り着きます。阪神なんば線の九条駅からは
5分ほどです。暑さの中、12日に今村昌平監督作品「黒い雨」を観に行きました。
小さな映画館の中はレトロというのか雑然というのか、村の芝居小屋というような雰囲気です。
 壁には来場した映画人の署名が壁一杯に書かれていて、新藤兼人さんや黒い雨の脚本を今村昌平と共同で書いた石堂叔朗さんの
名前もありました。石堂さんの隣に下重暁子さんのサインがあるのは??でしたが、なんかのイベントの折に来場したのでしょう。

映画館の壁面にある今後上映映画のポスター。

映画館のHPはこちら

映画「黒い雨」は日本人の誰かが作っておかなければいけない映画を、1989年にようやく今村昌平が作ったんだなあと思いました。

井伏鱒二原作の映画で、主役の田中好子、北村和夫、市原悦子が腰の据わった演技でピカの後遺症で苦しむ
日本人を描いていました。全篇に耳に懐かしい広島弁が流れるのが辛い映画でもありました。

先日亡くなった元キャンディーズのスーちゃんこと田中好子さんがこんないい女優さんになっていたとは知りませんでした。
そして、脇役に三木のり平、小沢昭一、沢たまき、白川和子などなど好きな俳優さんたちが多数出てきたのにも、驚きました。

映画はこちら

DVD、再上映、再放送など、機会があればご覧になることをお勧めします。

 宝塚スターだった月丘夢路さんが主演した「ひろしま」のポスターもありました。




終わってから、一緒に映画を観たトリオロスシンキンコウソクの一員中村さんと軽く飲みました。
場所は地下鉄中央線堺筋本町の改札を出たところで見つけた居酒屋です。
いえ、軽く飲むつもりが映画の話などしているうちについたっぷり飲ってしまいました。

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「言葉を交わすなんて面倒くさいことは嫌いだ」と言っているうちに 日本の社会は壊われる

2022年08月14日 | 「過去の非日乗&Shot日乗」リターンズ

2009年05月27日(水)「阿智胡地亭の非日乗」掲載

店員が「こんにちは、いらしゃいませ」と声をかけようが、無言で聞き流すことに慣れた自分が海外に行くと しばらくの間は戸惑う。

日本というかアジア以外の国のスーパーのレジでは、店員の目を真っ直ぐ見て、「こんにちは」と声をかわさないと、怪訝な顔をされることが多い。

『スーパー、コンビニ、ファースト・フード店、その他もろもろの商業施設では「店員だけが」紋切り型の挨拶を並べ、

客はそれを「ロボットの言葉」として無言で聞き流すことに日本人は慣れてしまった。

お互いの均一性・同一性が高くない国では、非人間化された空間でもヒューマン・コミュニュケーションを重視して、それが文化的な意志になっている。

いまだにフランスではコンビニがないらしい。しかも自販機というのは治安の悪さもあって極端に少ない。

では、フランスのこの二つの便利施設の不在はなにを物語っているのだろう。


 都市景観への配慮?それもある。アメリカニズムへの抵抗?それもある。しかし、本当は、放っておけば極端化する「面倒くさいことは嫌いだ」という

人間の本性に対する強い警戒心が働いているからではあるまいか?

 日韓同時開催の2002ワールドカップで日本代表チームの監督をつとめたフィリップ・トルシェは、

監督を辞するに当たって、「コンビニと自販機がある限り、日本サッカーは強くならない」という言葉を残したと伝えられる。

「面倒くさいことは嫌いだ」を国是としてきた戦後日本。このトルシェの警告をもっと真剣に受け止めるべき時がきているのではなかろうか?』


 ☝ 2009年5月19日日経コラム・プロムナード。「ボンジュール!」鹿島茂、を省略・リライト。

◎ ♪トルシェがそんなことを言っていたとは知らなかったぞ。しかしあの中田がイタリアチームに所属していたとき、居心地はどうすかと、

日本のプレスに質問されて、「な~んも不満はないけど、町にコンビニがないのだけがかなわない」と答えていたのが印象に残っている。

トルシェ元監督が解任された腹いせか何かしら知らないが、今後を含めて日本から「コンビニと自販機」がなくなる訳がないのを知った上で、

こんなセリフを残すとは、ったく生意気至極・傲岸不遜・無知蒙昧のお雇い外国人ではありませんか!

しかし相手をロボット化して暮らしているうちに、自分も相手からロボットとあしらわれ、最近ロボットが周囲に漸増しているような気がないでもない。

まさにロボット先進国日本なのかも。ただでさへ世界ダントツで、生産現場のロボット使用が多い日本は、そのうち町を歩く普通の「くにたみ」も、

外見だけではお互いがロボットか人間かわからなくなり、判別センサーを持ち歩く日が近いのでしょうか。いやだなあ・・。

コメント
2009年05月27日(水) 22:04 by 船橋鳥
 
ロボット、コンビニの話は、いろいろな事を思い出させます。
日本元気な時、海外から、記者が取材で来ました。ロボットや、ラインに人の名前があるのは、何故だとよく聞かれました。
ベルトコンベアーすら、ベルちゃんとか、特にロボットは、愛ちゃん、三吉とか 機械を人間扱いしていたのは、
日本人がまだ、機械を愛していたからでしょうか?
以前にパリでコーヒーの自販機はって聞いたら、カフェに行けと言われました。
コンビニは、生活、人関係を激変しましたね。中国では、便利店と言うのでしょ?
日本人は、ディベートの教育が無いのは、先が心配です。指字ではね?

2009年05月28日(木) 00:48 by 磯のすー  
 
先日、結構流行っている「廻る寿司店」に寄ったのですが、一言もしゃべらずボタンを
押すだけで食べて、飲んで、支払いを済ませました。

「たまや」は宣伝もせず、パンフレットも作らず、おあいそうも言わず…
ただ、味だけでやってるらしい・・・
 
2009年06月05日(金) 09:59 by ちかま
 
自販機や ATM が巷にあふれ,“もの言う機械”に“返事をしない”習慣が身に染みこんだようです。
その自動機があくのを待って並んでいる人に対し,“日本人の美徳”である「お先に」とか,せめて「どうも」という言葉がでなくなりました。
せめて“会釈”だけでもと思うのですが。
えぇ,ちかま は 70数年 日本人をやっていますので,必ず実行しています。
 
2009年06月08日(月) 16:49 by  辛好
ちかまさん、コメントありがとうございます。
私もゴミだしなどで初めて顔を合わせるご近所の方々に、
こちらからお早うございますと会釈するように努めています。
時に怪訝そうに知らぬ顔をされる方がいても、突然なのでビックリされただけだと思い、
めげずに続けようと思います。
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8月13日に目に留まったSNS・メディアの記事

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