今朝の報道によると「1960年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを
黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約は、外務事務次官ら外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、
官僚側の判断で橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていたことが31日分かった。」
記事の全文は下記
◎ 国民が投票で選んだ議員ではなく、国家公務員Ⅰ種試験を受け、合格しただけでその職についた官僚が、国会以外の場で日本の国家運営の舵取り・判断をする。
事の是非や国益よりも、自分の任期の間に不都合な事が明らかになり「霞ヶ関幕府」に傷がつかないことだけが肝要で、そのことが幕府内での自分らの評価につながる。
この「核持ち込み密約」はアメリカの関係公文書の情報公開期限が来て、アメリカの公文書では明らかになったが、
奇妙なことに日本政府はうやむやにしたままできた。
何故ここにきて4人の元外務次官がこのような発言をしだしたのか、
この報道ではその背景に触れていないが、そのあたりにも鍵があるのに、まだるっこしい。
次に続く取材のため、あえて今回は背景に深入りしないというならいいが、表面をなぞっただけのこの報道で幕を引くなら問題だ。
4人の元外務次官がこの発言をしたという報道が正しいとすれば、その理由の一つに「プロトコール」があると考えられる。
「どのような外交文書も国民のものであって、永久に秘匿されることなく一定期間が過ぎれば国民に公開される」というアメリカの公文書法がある。
この法律がアメリカで当たり前に施行されていわゆる密約が公になった。
そしていわゆる密約のもう一方の当事者である日本政府の、現状の密約無視、あるいはなかったことにする秘匿行為は、
職業外交官の感覚で言えば「プロトコール上」相手国に対する大いなる非礼になるはずだ。
はっきり言えばアメリカは「うそつきだ」と言っているに等しい。
水面下でアメリカからクレームが出ているのでは。
この報道を読む限りでは、外務省のシナリオは「元外務次官が内々に密約を認めることで、アメリカとのプロトコールを整合させ、
国内的には、いまは死者となった小渕、橋本元総理大臣には伝えたのだから行政に責任はないことにしょう」というように見える。
IQの高い連中はなんと素晴らしいゲームを考えるものだと感歎するしかない。
麻生さん、鳩山さん!ここは長年の「国民対官僚」闘争の大いなる山場です。このような外務官僚の勝手気侭な行いを黙認したら、
未来永劫「霞ヶ関幕府」に「くにたみ」は支配されます。こんなことを許したらいけません。
ある意味「議会制民主主義国家」を否定する「官僚制中央集権国家」の現状を認めることにつながります。
二度とこういう行為が起こらない様に再発防止の仕組みを議会として作る必要があります。是非そういう問題意識をもって毅然としてこの問題に対応してください。
『報道全文』
核持ち込み密約、外務次官ら管理 首相、外相の一部に伝達 1960年の日米安全保障条約改定に際し、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約は、
外務事務次官ら外務省の中枢官僚が引き継いで管理し、官僚側の判断で橋本龍太郎氏、小渕恵三氏ら一部の首相、外相だけに伝えていたことが31日分かった。
4人の次官経験者が共同通信に明らかにした。
政府は一貫して「密約はない」と主張しており、密約が組織的に管理され、一部の首相、外相も認識していたと当事者の次官経験者が認めたのは初めて。
政府の長年の説明を覆す事実で、真相の説明が迫られそうだ。
次官経験者によると、核の「持ち込み(イントロダクション)」について、米側は安保改定時、陸上配備のみに該当し、
核を積んだ艦船や航空機が日本の港や飛行場に入る場合は、日米間の「事前協議」が必要な「持ち込み」に相当しないとの解釈を採用。
当時の岸信介政権中枢も黙認した。
しかし改定後に登場した池田勇人内閣は核搭載艦船の寄港も「持ち込み」に当たり、条約で定めた「事前協議」の対象になると国会で答弁した。
密約がほごになると懸念した当時のライシャワー駐日大使は63年4月、大平正芳外相(後に首相)と会談し
「核を積んだ艦船と飛行機の立ち寄りは『持ち込み』でない」との解釈の確認を要求。大平氏は初めて密約の存在を知り、了承した。
こうした経緯や解釈は日本語の内部文書に明記され、外務省の北米局と条約局(現国際法局)で管理されてきたという。
2009/05/31 16:58 【共同通信】
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