お盆休みに原田マハ著「ゴッホのあしあと」(幻冬舎新書)を読みました。ゴッホの巡り歩いた土地を訪れ、生涯を辿り、重要作品にも触れた新書版ながら充実した内容です。浮世絵からの影響もあって、ゴッホの絵に関心を持つ日本人は多いかもしれませんが、僕もその一人なので興味深く読みました。ゴッホはオランダの出身ですが、フランスで活動しパリにも住んでいました。オランダのグループが「Monmartre Blues」(モンマルトル・ブルース)を演奏しているアルバムを聴きます。
THE DIAMOND FIVE (ザ・ダイアモンド・ファイヴ)
MONTMARTRE BLUES (Sonorama 1960~63年録音)
オランダのハード・バップ期のグループである、The Diamond Fiveの1960年から63年にかけての未発表音源を集めたCDです。このグループについては、フォンタナ・レーベルの「The Brilliant」が再発されちょっとした話題にもなったのので、拙ブログでは、2008年1月14日付で取り上げました。関心があれば、その記事BRILLIANT!も読んでみてください。
メンバーは、シーズ・スリンガー(p)、シーズ・スモール(tp,vtb)、ハリー・ヴァーベク(ts)、ジャック・スコールス(b)、ジョン・エンゲルス(ds)。シーズ・スリンガー、ハリー・ヴァーベクは、それぞれリーダー作がLimetreeやTimelessレーベルにあり、それらもハードバップファン向けで、拙ブログでも取り上げています。
曲は、メンバーのシーズ・スモール作が「The beauty of The Ball」、「Parlez Moi De Velous」と「Boddy Tale」の3曲、Cor Temaireという人の書いた「Royal Dream」、あとは有名曲で、B・ゴルソンの「Fair Weather」、I・ヴァ―リンの「Alexander's Ragtime Band」、O・ペティフォードの「Montmartre Blues」、J・マンスの「Jubilation」、S・ロリンズの「Oleo」、H・シルヴァーの「Sister Sadie」の全10曲。米国有名ミュージシャンが作った曲が多く、当時の選曲の傾向が伺えるようです。
The Diamond Fiveの特色の一つは、スコールス(b)とエンゲルス(ds)が小気味よいリズムを送り出しているところですが、そのリズムに乗って「The Beauty of The Ball」や「Alexander' Ragtime band」では、乗りの良い楽しい演奏が繰り広げられています。「Fair Weather」では、スモール(tp)が美しいトーンで、アート・ファーマー張りのソロをとっていて、この人はもっと知られてもおかしくありません。「Montmartre Blues」におけるヴァーベク(ts)のソロはブルージーさもたたえていて聴きごたえがあります。「Oleo」や「Sister Sadie」も快活な演奏で、音源が残されていたことに感謝。
【The Diamond Fiveのステージ】
【原田マハ著「ゴッホのあしあと」(幻冬舎新書)】
表紙。
ゴッホの足跡を追って、原田さんがあちこち尋ね歩いています。パリでは、テオとヴィンセント(ゴッホ)が2年間住んでいたアパートを訪れています。その界隈はモンマルトルの街にあたります。
ゴッホがアルルに住んでいた時に書いた「夜のカフェテラス」(1,888年)。原田さんは、この絵に「寂しさ」を感じています。
サン=レミ修道院で描いた「星月夜」。空がセーヌ川に見立てて描かれたという新しい解釈を著者はしています。確かに言われてみると、川のように見えてきます。