「百年の誤読」の中で、「陽のあたる坂道」(石坂洋次郎)が絶賛されている。口の悪い二人(岡野宏文氏と豊崎由美氏)がほめるのだから、相当なものだ。
豊崎「でも、それより何より、わたしは読んでてほんとに面白かった、そのことに一番驚いています。」「それと、都会と田舎、上流と中流、野生と狡知、教養と素朴、男と女、そういう対立項目がわかりやすく提示されてて、しかも人間の本質とか、階級の対立とか、デモクラシーへの理解の深い描写と含蓄が、きちんと書きこまれているからでもありますね。」
確かに、青森から上京して小石川のアパートに住む倉本たか子が、アルバイト先の目黒区緑が丘の豪邸を見て、「自分もこの程度の家に住むようになりたいものだ」と思う冒頭の場面は、さまざまな対立項目が提示されていて印象的である。
豊崎「でも、それより何より、わたしは読んでてほんとに面白かった、そのことに一番驚いています。」「それと、都会と田舎、上流と中流、野生と狡知、教養と素朴、男と女、そういう対立項目がわかりやすく提示されてて、しかも人間の本質とか、階級の対立とか、デモクラシーへの理解の深い描写と含蓄が、きちんと書きこまれているからでもありますね。」
確かに、青森から上京して小石川のアパートに住む倉本たか子が、アルバイト先の目黒区緑が丘の豪邸を見て、「自分もこの程度の家に住むようになりたいものだ」と思う冒頭の場面は、さまざまな対立項目が提示されていて印象的である。