Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

ポリコレ視点でみる「シカゴ」

2024年04月27日 06時30分00秒 | Weblog
 
 今年はブロードウェイミュージカルの来日公演が目白押しだが、長い歴史を誇る「シカゴ」はその筆頭に挙げられる。
 私は、ミュージカルはもちろん映画も観ていない純粋な”未修者”ということで、先入観なく観た。
 すると、これが何と、刑事裁判にまつわるいわば身近な話だったのである。
 法的な問題については、知財法の分野で著名な福井健策先生がリーガル・アドバイザーとして関与していらっしゃるのだが、それでもポリコレ的な問題点を指摘することが出来る。
(1)弁護士に対する不当な偏見の助長
 まず、挙げるべきは、「被告人に虚偽の証言をさせる弁護士」、ビリー・フリンの問題である。
 アメリカ法では被告人にも証人適格が認められるので、殺人罪の被告人:ロキシー・ハートが宣誓の上「正当防衛」や「妊娠」などの虚偽の証言を故意に行うと、当然偽証罪が成立するはずである。
 もちろん、弁護人のビリーにも偽証罪の教唆が成立するはずであり、こんなことをする弁護士は、少なくとも今日では到底考えられない。
 なので、この設定を真に受けると、「弁護士は犯罪まがいのことをする悪い人間だ」という不当な偏見を抱いてしまう恐れがある。
(2)外国人(移民)差別
 次に、外国人(移民)差別の問題が挙げられる。
 具体的には、ハンガリー人の囚人:ハニャックの扱いが問題となる。
 彼女は、"Not Guilty" 以外の英語を話せず、セリフは意味不明の言葉として表現される。
 彼女は、おそらくは資金不足のために「国選弁護人」しか頼むことが出来ず、結果的に絞首刑となる。
 この際、「ハンガリー人の綱渡り」という描写があり、絞首刑後にロープが登場するのだが、これはさすがにポリコレ的に危ないだろう。
 ハンガリーの人は、怒りを感じるかもしれないからである。
(3)国選差別
 さらに問題点を挙げると、
 「私は無償の国選弁護人なんだ。有罪という主張しか考えられない」(記憶に基づいて再現しているので、ちょっと不正確かもしれない)
というセリフには、”国選差別”の印象を抱く。
 「国選弁護人は無償で働くんだから、どうせ大した弁護活動はしないでしょ」という偏見のあらわれのように感じるのである。
 ・・・ところで、このミュージカルでは、「演技性人格障害」が疑われる人物が主要キャストを務めている。
 筆頭はやはりロキシーで、彼女は幼い頃から「自分の名前が新聞に載ること」を夢見ており、その夢は実現された。
 彼女の殺人事件のことが、一面で
 ”ROXY ROCKS CHICAGO
と大々的に扱われたからである。
 有頂天の彼女は、自分が無罪になるかどうかという最重要の問題について、
 「そんなことはどうだっていいの
と言ってのけてしまう。
 同房の殺人犯:ヴェルマも似たような人種であり、さらに言えばビリーもスター気取りの悪徳弁護士である。
 このミュージカルのテーマは、「演技性人格障害」なのではないか?
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 観ていない映画について語る... | トップ | 4月のポトラッチ・カウント... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事