私見だが、80~90年代の状況は、現在の法学部・ロースクール(法学部における犠牲強要とクソな競争)と大きく違っていなかったと思う。
まず、先に現在の状況(ちょっと古い情報もあるが・・・)を見てみる。
「この統計を見ると、西村あさひ法律事務所と森・濱田松本法律事務所の予備試験出身者が6割を超えています。長島・大野・常松法律事務所も予備試験出身者が約4割を超えており、法科大学院出身者と比べて割合は多くなっています。
これらの統計から分かるのは、四大法律事務所の予備試験合格者の採用率がとても高いということです。
四大事務所の予備試験合格者の採用率が高い背景には、予備試験合格者の司法試験合格率が高いという点があげられます。
上記の表をみると明らかですが、予備試験合格者の司法試験合格率が93.5%と、圧倒的な合格率を誇っています。
このことから、採用側である四大事務所からみれば、予備試験合格者は高い確率で司法試験に合格することを見込めるため、早い段階で採用したいという意図があるのでしょう。
また、予備試験合格者は比較的若い世代が多いことから、若い人を雇いたいというのもあるのあるのかもしれません。」
予備試験が、ヨンダイに入るための「王道」ルートとなっている。
もう一つのルートは、「サマー・クラーク」ルートである。
「規模の大きい法律事務所が主に開催しており、これらの事務所はサマークラーク参加者を中心に採用する傾向にあります。中には、サマークラークに参加しないと就職が難しい事務所もあるので注意しましょう。・・・
また具体的には、以下のような書類の提出が求められます。
- 大学の成績証明書
- 法科大学院の成績証明書(参加時期による)
- 大学・法科大学院のGPAまたは席次が記載された資料
- 予備試験の成績資料もしくは受験票(該当者のみ」
「研修生からの情報ですと、東京や大阪の大事務所では、サマークラークの結果を受けて、既に内定がでていると聞きましたが、私は、司法試験の結果もでていないごく一部の人達を、学歴やロースクールの成績で選別してサマークラークに呼び入れて、その結果だけで内定をだすということが理解できません。うちのような事務所では、人を採用するにあたっては、色々な人の意見を聞いて慎重に採用するかどうかを決めますから、修習も始まっていないような段階で、採用を決めるようなことは絶対にありません。」
かくして、ヨンダイに入るためには、「大学在学中に予備試験に合格するか、サマー・クラークに”合格”するため大学又はロー・スクールで「良い成績」を取らなければならない」ということになる。
なので、入学した瞬間から必死に「試験のための勉強」をすることになる。
注意深く見ていると分かるが、この種の学生たちの心の底には、程度の差こそあれ「恐怖心」が根付いてしまっている。
そうしなければ、数年後にラット・レースで「脱落」してしまうからである。
これに対して、昔はどうだったのだろうか?
30年ころ前のことだが、教官の中に、「相対評価」を厳格に適用し、3割の学生に必ず「不可」を付ける人がいて、追試でも同じやり方をとっていた(らしい)。
悪いことに、それが必修科目だったりすると、追試で「不可」を食らうと卒業出来ないこととなる。
これはさすがに教授会でも問題とされたようであるが、これだけでも、学生に「恐怖心」を植え付けるのには十分だったと思う。
他方、(一部の)法学部生が「優」の数にこだわるのは、実は昔も同じだった。
昔からそうだが、ヨンダイに入った後で留学する際に大学時代のGPAが重要となるし、業界によっては「優の数が二けた以上」という基準で採用の足切りを行うところもあった。
就職希望先としては、当時もやはり法曹が一番多かったという記憶だが、それ以外のルートとして、公務員と民間企業があった。
だが、このルートも「クソな競争」の例外ではなかった。