明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


アダージョの4号を探している方から書き込みをいただき、なんとなく雑記から抜き出した物を読んだ。すでに懐かしい。『夏目漱石と本郷を歩く』指定された特集人物と指定の特集場所(このときは特に三四郎池を背景に、と具体的な指示があった)の組み合わせをこなすのにまだ精一杯であった。結局最後まで精一杯ではあったが。 漱石の真正面の写真は結局一枚も見つけられなかったので、あえて正面を向かせたのだが、それ以前に、馴染みのある写真の、まっすぐ通った鼻筋への修正の疑念が捨てきれず、横を向かせるのを避けた、というのが本当のところである。配布直後に江戸東京博物館で見た漱石のデスマスクは、はたしてジョン・レノン並みの見事なカギ鼻であった。デスマスクを見たアダージョ読者に笑われずに済んだ、と胸を撫で下ろした。想えばどこにいるか判らない誰かに向けて、作り続けた4年であった。私の場合、その会ったことのない人物が頭の中でこちらを向いて、口の端でフフと笑ったりするからやっかいなのである。

この時の撮影の日にも書いているが、集中していると蚊に刺されにくい。刺されても腫れがすぐに収まり、痒みもたいしたこともなく終る。撮影中は普段より汗を搔くので、より刺されやすいはずなのだが、周りばかりが刺される。これはしばしば経験していることだが、何故なのか理由は判らない。

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