明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



円谷英二は悠長にベランダで自然乾燥させたが、横溝正史はそうもしていられず、乾燥機にて強制乾燥に入る。横溝は着物姿であるし、江戸川乱歩は同じく着物姿の、神奈川近代文学館の『大乱歩展』に出品した乱歩にした。乱歩邸の書斎には特注の机があったが、実際は寝床で寝転がって執筆したという。寝転がって妄想にふける乱歩を作ろう、と思いついた時の私のポーズそのままである。 乱歩は迫る締め切りに耐えかね旅に出てしまう。編集者時代の横溝は潜伏先を突き止め、原稿の催促をする。自信のない乱歩はこっそり原稿を便所に捨ててしまった。その作品が後に名作『押し絵と旅する男』になる。あくまで人に聞いた話だと断っておくが、昔は点数の悪いテスト用紙を便所に捨てた不届きな小学生もいたらしい。 乱歩の横に腕組みし、若干うつむき気味の横溝を立たせてみたら、ゴロゴロしてないで早く原稿書いてくれよ。といっているようであった。

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