結局搬入の朝まで制作。久しぶりに見た江戸川乱歩は眼鏡をしていない。よせばいいのに、壊れやすいからと外したらしい。何処へ行ったらや。隔月のフリーペーパー『中央公論Adagio』表紙用に制作した円谷英二は、ネットで注文した瀬戸内海のタコに勝鬨橋を襲わせている。円谷がかける眼鏡に私が使っている眼鏡を流用していたとしてもバチなど当たるはずがない。ただそれを忘れていてはいけない。 長年お世話になっている江戸っ子の運送屋さんは、せっかちゆえに先方に何時着でお願いします。とはいわない。たいてい早く着きすぎる。よって何時にウチに来て下さい。と頼む。それでも私が汗だくになっている最中に到着したのだが。助手席に乗る。 新宿に差し掛かると、青いサッカーボールのような形の360度写すカメラを屋根に立てた車がいた。ドアには大きくGoogleの文字。あの娘とキスしているところを撮られないでよかった。もっとも先方は警官に停められていたのだが。あとはTVの視聴率をカウントする機械を見られれば思い残すことはない。 結局気がつくと早くも芦花公園。予定通りに到着。写真作品はすでに収蔵されている世田谷を背景にした作品プラス4点。作家像用には、3個のライト付きボックスが用意されていた。6体展示するので2人につき1個の計算であるが、江戸川乱歩は寝ころがっているので場所を取る。結局ボックスを追加してもらい、乱歩は最近まで国宝が収まっていたというケーズに。ということで、乱歩と横溝正史が個室。柳田國男と夏目漱石。円谷英二と寺山修司がペアに。違和感あること解剖台の上のミシンとコウモリ傘の如し。ここで笑わなければ、世田谷文学館で笑う所はないだろう。 ほとんど寝ていないのに、これから帰って明日の内覧会までに眼鏡二つ作るのは難しい。学芸員の方に、「普段眼鏡かけていたって外すことぐらいありますからねエ」。いい残し帰る。
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