明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



昔、某雑誌で人形特集があった時、撮影にみえたのが某巨匠でびっくりした。若い奥さんとお見えになり、振り返っては奥さんの意見を聞いていたのが意外であった。こんな時、うっとおしいかもしれないから、存じ上げない風で終始済ませた方が良いか、とも思ったが、せっかくだから、と撮影終了後、色々お話させていただいた。まだ古典技法がどうの、という時代ではなかったが、オイルプリントをお見せしたら好意的に反応していただいたのも嬉しかった。 送られて来た雑誌を見たら、それは確かに私ではあったけれど、私がピアノだとしたら鍵盤と鍵盤の間を撮られていた。写真家というものは、こんな所を撮るものなのか。被写体になって、始めてそんなことに感心した。そんな御縁で何度か個展にお邪魔したが、未だにモチーフ、手法、感材など果敢に試されていることに感銘を受けた。 その後幾年月。昨年より私が始めた手法を、あの方なら見ていただけるのではないか、と急に思い立ち、検索してHPの問い合わせからでは失礼かと思ったが、メールを差し上げたら翌日、「度重なる病気や加齢で東京への外出が激減してしまいましたが、とても面白そうで、伺いたいなと思っています。」とメールを頂いた。やっぱり、あの方はそういう方だ。と。 ところで余談であるが、未解決の世田谷一家殺人事件の被害者のご主人の本棚に件の雑誌があったとかで、わざわざ刑事が来た。私の所まで来るとは難航しているのが伺われたが、私の余計な一言で二度の訪問を受けるはめになってしまった。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより



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