明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



連日5月とは思えない暑さである。せっかくの機会なので、できるだけ3時過ぎには会場に出かけている。先日プッと吹いた方がいたので見ると『猛虎図』のキャプション、かつての虎を見たことがなかった日本人が描いた虎の味を出すため、猫を撮影して虎に変えた。であった『そこですか?』。 以前、ご近所の谷雄治さんに試しに1メートル以上に引き延ばしてもらった『蛸と画狂人葛飾北斎』を会場に持って行った。感心されるくらいなら呆れられたい願望の強い私にはうってつけの試みではあるが、披露のタイミングがない。 私の作る人物像は、私にとって必要なこと以外はしないので、粘土感丸出しである。神は細部に宿るといわれるが、肝腎なところに宿ってさえいれば良い。以前サンディエゴ写真美術館MOPA(Museum of Photographic Art)の館長デボラ・クラチコさんにあなたの作品は写真作品というより現代美術として拡大した方が良い、といわれた。そんな機会はないし、細部に神が宿っていないことがバレてしまうではないか。そう思ったが、深川江戸資料館の『深川の人形作家 石塚公昭の世界』の会場が広かったので2メートルに引き延ばしてみたら、むしろリアルに見え、私はこんな物を作っていたのだな、とひとりごちた。人形というものは人間のサイズを超えてはならない、と考えているが、写真作品としては、人間大、またはそれ以上に拡大すると、私の最も大事にする佇まい感がさらに拡大、強調されるという意外な結果を得た。いつか巨大プリントだけの展示の機会はあるのか?


銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
TEL 03-3400-2214

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtub


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )