明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



ここ何十年も出不精をこじらせ、特にこの1年は、電車に乗って出かけるとしたら麻布十番の田村写真くらいで、顔会わせるのも近所の連中ばかりである。いや拠点の店がなくなってしまったので、それすら減った。おかげで今回の人疲れは半端ではない。冬眠から醒め山を下りた熊の如し。以前、もっとも好きな人物画家であるクラナッハの大きな展覧があったのに、しかも期間が長かったにかかわらず出かけなかった自分に、もう見る方は捨ててしまったな、と感じた。 本日、2年前の深川江戸資料館の『深川の人形作家 石塚公昭の世界』に来てくれた小さなおばあさんが来てくれた。元気な聞き覚えのある声ですぐ判った。今回もあの時と同じくじっくり観てくれた。好きな小説家ばかりだ、といっていた。御感想ばかりで質問は一切ない。 観たことがない物に関して、目になかなか明りが灯らないのをオイルプリントによる1回目の2000年『ピクトリアリズム展』で痛い程感じた。そこで技法を公開する為に、PCを買い、イライラしてマニュアル本を壁に叩き付けながらホームページを作った。その点今回は、描いた物ではない、陰影を出さないように撮影して配しただけと、せいぜいその程度をお伝えする程度で済んでいるのは何よりである。正確にいうならば、フォトショップで描いたのは、『金閣寺炎上』の火の粉『刺青』谷崎潤一郎の女郎蜘蛛の刺青『黒蜥蜴と江戸川乱歩』の黒蜥蜴の煙草の煙『陰獣』江戸川乱歩の鞭痕『猛虎図』の満月『牡丹灯籠』の円朝を含む鬼火は筆で描いた物から作成。『ゲンセンカンの女』を主人公に似せて変え『蛸と少女』も顔出しNGだったので変えた。この両者は粘土で人形を作る要領で、他の人とはやり方は違うだろう。

銀座青木画廊「ピクトリアリズム展Ⅲ』5月12日(土)〜5月25日(金)20日(日休)4月23日(休)

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtubeより

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