明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



私の作品が絵のように見える理由は色々あるだろうが、観る側の、写真は外側にレンズを向けるものという常識、思い込みもあるだろう。なんて分析は観た方にお願いしたいところであるが。聞かれるから考えるが、本来行き当たりばったりでたいして考えていない。昨年4月ごろ、円朝像を制作した頃のブログを読むと、円朝像から陰影をなくして作ったものの、完成作を前に意味が良く判らず、いずれ理解した暁には、最初から計画的にこうするつもりだったみたいな顔をしようなんて書いている。なんだか判らないが作ったらこうなった、では馬鹿みたいだからで、おかげで今はそんな顔して今頃ああだこうだいっている。 私の腹の中には表層の脳より多少物の判っている私がいて、頭で判っていなくてもやらずにおられなかったらまずそれに従う。性能に問題がある頭で後付けで分析するのはその後である。オイルプリント初披露の時と違って、今回は陰影を出さずに撮影して、切り抜いて貼り付けただけ、で済むつもりであったが、効きが良すぎたか、結局ああだこうだ、野暮を承知で解説することになった。 それはともかく。私の場合、白紙の原稿用紙を前に何を書こうか、と悩む事はなく、常に何かしらある。問題なのは暴走を防ぐ事である。ただそれも見極めが肝心で、タコに絡まれた葛飾北斎など、手を出してはいけない、と思いながら作ってしまったが、できてみれば、こんな私らしい作品はなく、代表作といっていいくらいである。よってDMにはこれしかない、と使用したが、そのせいかどうか、今まで出品し、いつも来てくれていたような文学館の学芸員など一人も来なかった。

鴨沢祐仁とイナガキタルホの世界:5月19日(土)~6月3日(日)12時~19時/月曜休み
場所:ビリケンギャラリー 東京都港区南青山5-17-6-101
TEL 03-3400-2214

『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載8回『昭和残侠伝“唐獅子牡丹”三島由紀夫』

2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtub


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