明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



来月、深川を背景に泉鏡花を撮影することになった。鏡花は深川を舞台に、一連の〝深川もの〟と称される作品を残している。よって全国の鏡花ファンからすれは深川を聖地と呼ぶ人もいる。 何処を背景にすれば良いか。有名であっても最近刃傷沙汰があったような場所は避けるべきだし、何しろ戦災で焼け野原になった土地なので、旧いようで、所詮戦後物件だったりするから注意を要する。またデジタル的腕力をもって、目障りな物をどかしてしまってもかまわないが、必ずしも作中世界をリアルに再現すれば良いのか、あるいは、すっかり野暮臭くなってしまったものの、平然と何食わぬ顔で、現在の街を歩いてもらうか。 背景にするなら、それこそ深川不動で、成田山に縁のある成田屋〝劇聖〟九代目市川團十郎をさり気なく後ろに配するのも良いかもしれない。しかし九代目だ!となる訳もなく、面白いのは私だけであろう。わざわざ魚がいない所で釣り糸垂れて喜んでいるようなマネは、もういい加減にしないとならない。


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