明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



83年に、個展で購入頂いた作品を届けに行った時、私は未だに阿佐ヶ谷、高円寺辺りの区別がつかないのだが、高架下脇の道を向こうから、当時の石井聰亙が歩いて来た。映画館で観た『狂い咲きサンタロード』で衝撃を受けていたので、これが石井聰亙か、と思いながらすれちがった。あいつが先に『蜜のあわれ』を映画化したおかげで私が本物の金魚でやるはずが止める事になったじゃないか、とあの時の事を思い出したものである。 しかしその日は別な衝撃を受ける事になる。届け先はデザイナーだったが、今手が離せないのでビデオでも観ていて下さいというので、ずらりと棚に並んだVHSのなかに見つけたのは三島由紀夫の『憂国』であった。破棄されたと聞いていたので、何でそんなものがこにあったのか。後に三島を作る事になるとは夢にも思わず。そして、『あんたに先超されてやられてしまって色んな死に方考えるのも大変だよ。』なんて事になるとは。室生犀星が終われば、『椿説弓張月』で竹釘を全身に打ち込まれ悶絶している芳年調、三島にとりかかる。本来三島に『聖セバスチャンの殉教』をやられていなかっら、まず最初に作っていたのがセバスチャンの三島だったの間違いない。私としたら、私が作るべきセバスチャンを見つけた、という思いである。私の『三島由紀夫へのオマージュ男の死』の最終カットは、もう何年も前に決まっている。そのためには、市ヶ谷に再び行かなければならない。三島にウケることしか考えていないこのシリーズは、最初からこのテーマしか頭にはなく、三島で他にやりたい事はひとつもない。

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『タウン深川』明日出来ること今日はせず 連載第14回〝青春の日の一撃〟

『石塚公昭 幻想写真展 生き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界』 youtube



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