明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



前回初めて個展の事でふげん社に伺い、三島他を和紙で、ということになり嬉しくも、意外な展開に呆然として帰ったのを覚えている。その後、完成に至っていなかった三島作品を二点ほど仕上げていたが、誉められ慣れていない人間は自分に対して疑い深い。次第に私の聞き間違い、勘違いではないか、と言う気が本当にしてきて、今のうちに確認しておこう、と移転前のふげん社に伺った。    西洋画にはない浮世絵、日本画の自由さを写真に取り入れられないか、と考え、その自由を阻害しているのは陰影ではないか?こちらを見つめる三遊亭円朝像のバストアップで試したら一晩でできてしまった。なぜ長い間踏み出せなかったか。造形するということは、陰影を作り出す事に他ならず、それを自ら消す、というのは、自分の外側の事象にレンズを向けるカメラマン、写真家には理解できないであろう。長年その陰影を作り出すために制作してきたのである。  結果として、写真の特質である陰影、空気感を失う事となり、何が因果か、オイルプリント以来再び、絵なのか写真なのか、という事になり、なかなか理解されないが、来年5月、ゴールデンウィーク明けの個展はそれで行くことが決まった。私なりのピクトリアリズムであるが、修験者の術のような技は用いず、人形作って陰影出さずに撮影して切り抜いて貼り付けるだけ。説明のためにホームページを作る必要もない。  ところで、もうひとつ肝心な事であるが、私の勘違いでもなく、三島由紀へのオマージュ『椿説男の死』をメインに、ということに決まった。前田日明対アンドレ戦ではないが「やっていいんですか?」「良いともー!」。     帰りの道中、5月までは医者にはサボらず通い、交通事故に気をつけ、駅のホームでは最前には立たない事にしよう、と思ったのであった。

【タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第17回『引っ越し』

『石塚公昭 幻想写真展き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界


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