私は良く作り惜しみをし、わざわざ口中を唾液だらけにしておいてかぶりつくように制作することがある。そもそも座って長時間根を詰めて仕事をするなんてマゾ的資質がなければやれないだろうと私は思う。当然自分を焦らして快感を高めようという企みであり、集中力も高まり焦らした分、それでも完成はしばしば早まる。 片付けができず、集中力は一人前以上、なんて人間が最近話題になるが、私も子供の頃、妙な施設で調べられた口であるが、当時は解明されていないことも多かったろう。しかし苦手な事は興味がないのだから、よって困った事はあまりない。なんて他人事のようにほざいていると、ふざけるな、と怒り出す周囲の人間がいそうだから、この辺にしておく。粘土を入手すると制作に逃げて片付けない、とおかげで二十代から、これだけ粘土を触らなかった事はないだろう。正月はヨダレを垂らさんばかりに制作に打ち込めるのではないか。度々経験した事だが、休んでいる間に、何故か上手くなっている気がする事がある。ワインやブランデーで言うところの〝天使の分け前〟は目減りすることを言うが、それまで頑張って来たからからの〝天使からの分け前〟だと解釈している。
偶数月25日発行【タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第18回『葵の御門』