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日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

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毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2024 Uesugi Hayato(上杉隼人)

SPEAK IN TONGUES

2018-12-04 08:54:17 | T

 Freddie Mercuryの壮絶な生涯を描いた大ヒット中のBohemian Rhapsody.

 GetUpEnglishでは1130日より5日間にかわって、この映画から気になる表現を紹介している。

  最終回の本日は、名曲“Bohemian Rhapsody”に対するフレディとクイーンのメンバーの思いがわかるこの表現を学習しよう。

 “Killer Queen”がヒットし、次のアルバムについて、Queenのメンバーがレコード会社EMIの重役Ray Fosterと話している。

 FREDDIE: No, don’t misunderstand, darling.  It’s a rock and roll record with the scale of opera... the pathos of Greek tragedy... the wit of Shakespeare... the unbridled joy of musical theater.  It’s a musical experience

 RAY: Yeah.

 FREDDIE: Rather than just another record. Something for everyone...something...that will make people feel belongs to them.  We’ll mix genres, we’ll cross boundaries... we’ll speak in bloody tongues if we want to.

 ROGER: There’s no musical ghetto that can contain us.

 FREDDIE: That’s it

 JOHN: No one knows what Queen means because it doesn’t mean one thing.

 フレディ 誤解しないでくれ。オペラのスケールを……ギリシャ悲劇の哀愁を……シェークスピアのウィットを備えたロック・アルバムだ……音楽劇がもたらす抑えきれない喜び。音楽体験だ。

 レイ そうか。

 フレディ ほかにないレコードになる。すべての人たちのものに……何か……人々が自分もそこに属していると感じてもらえるものに。あらゆるジャンルを混ぜて、境界を超えるんだ……そして時にはわけのわからない言葉も話す。

 ロジャー ひとつのジャンルにはとらわれない。

 フレディ そのとおり。

 ジョン 誰もクイーンが何を意味するかわからない。ひとつのことを意味するわけじゃないからね。

 speak in tonguesで、「 (神秘体験について)わけのわからないことを言う」bloodyは強調として使われている。

 5日間にわたるBohemian Rhapsody特集いかがでしたでしょうか? 特集掲載にあたり、Queenとロックに詳しい翻訳者の田島夏樹さんに大変お世話になりました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

 A CONVERSATION WITH NATSUKI TAJIMAに、その田島夏樹さんのコメントを掲載します。

 

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A CONVERSATION WITH NATSUKI TAJIMA

2018-12-04 07:08:48 | N

 Bohemian Rhapsody特集掲載にあたり、Queenとロックに詳しい翻訳者の田島夏樹さんに大変お世話になりました。

 その田島夏樹さんのコメントを掲載します。

1.  Bohemian Rhapsodyはどうでしたか?

 まずは、「良かった!」の一言に尽きます。

 ギターのブライアン・メイとドラムのロジャー・テイラーが関わっているだけあり、Freddie の生き方や Queen の歴史が、とてもよく描かれていると感じました。

確かに、以下の 2 で書いた史実の改変は散見されます。

 それでも、フレディ役のラミ・マレックはじめ俳優たちは本人になりきっていたし、私のようなアンリアルタイマーのファンにとっては、まるで当時にタイムスリップしたかのようで本当にうれしかったです。

 俳優やスタッフ、そして映画の構想を長年練っていたブライアンとロジャーに、心から「ありがとう」と言いたいです。

2.  Bohemian Rhapsodyはいい映画だと思うのですが、実際のQueenの活動時期の違いが気になります。たとえば、"Killer Queen"ヒット中にアメリカ・ツアーをするシーンがあるのですが、“Killer Queen”を収録したSheer Heart Attack1974年リリースにもかかわらず、そこで1978年発表のアルバムJazz2曲目の曲"Fat Bottomed Girls"が演奏されます。また、"We Will Rock You"を作るシーンで髭を生やしたマッチョタイプのフレディが出てきますが、この曲は1977年発表のNews of the Worldに入っているのであり、その当時は髭をたくわえていなかったはずです。髭をのばした彼の姿を見るのは、1980年のThe Game発表以降ではないでしょうか? こういったことはすべて計算して映画は作られているのでしょうか?

  私にとって、映画を初めて見たときに抱いた最大の違和感が、この「史実の改変」でした。

 例えば、"Killer Queen"をひっさげたアメリカ・ツアーで、4年後の"Fat Bottomed Girls"は演奏されていないはずです。

私も正直なところ、「なぜここで“Fat Bottomed Girls”?!」と思いました(どうせなら、ブライアンが初のアメリカツアーにインスパイアされて書いたと言われる“Now I'm Here”にすればよかったのに……)。

“We Will Rock You”誕生のエピソードが、フレディが髭を生やした後に来ているのも同様で、ファンならすぐに分かってしまうはずの「食い違い」です。

 このような「改変」がなぜ行われたかは想像するしかありませんが、私は「映画としてのまとまり」や「イメージ」を優先させた結果だと思っています。

 例えば“We Will Rock You”が発表されたのは「髭なしフレディ」のころですが、実際にライヴで演奏されたのは70年代終わりから80年代半ばです。この時期の大半でフレディは髭を生やしていたので、一般的には「“We Will Rock You”は髭を生やしたフレディが歌っている」というイメージが定着していると考えられます。そこで、そのイメージに合わせて「“We Will Rock You”誕生時にはフレディは髭を生やしていた」という設定にしたのかもしれません。

 こう考えると、『ボヘミアン・ラプソディ』はドキュメンタリー風映画ではなく、あくまで史実に基づいてフレディの半生と Queen の歴史をひととおり網羅した、いわば「Queen ヒストリーのベスト盤」として見た方がよいように思えます。

 また、今回の映画をきっかけにファンになる方もいるはず。そうした方が Queen を知っていく中で「へぇ、映画ではああ描かれていたけど、実際はこうなんだ」と発見するのも、よいのではないかと思います(私としては、そうやって愛をこじらせ……、いや、深めるファンがたくさん現れることを期待しています!)。

3. 田島さんの好きなQueenの曲を5曲あげてください。

 ああ……、ファンにとって最大の難問ですね(笑)。

「どれも好きで選べない!」が正直な答えですが、あえて選ぶとすれば……(順不同です)

1. Bohemian Rhapsody

 説明不要の名曲ですね。ドラマティックな展開、ロックとオペラを合体させてしまうアクロバティックな曲作り、意味不明でありながら壮絶な苦悩が込められた歌詞、どれを取ってもフレディにしか作り出せなかった作品だと思います。

『オペラ座の夜』に収録。

2. A Winter's Tale

 フレディが生前最後に書いたと言われる曲。晩年を過ごしたスイス・モントルーの美しい風景を描いています。死を前にした人がこんなにも穏やかな曲を作ることができるのか、と聞くたびに胸を打たれます。『メイド・イン・ヘヴン』に収録。

3. Keep Passing The Open Windows

 超マイナーな曲ですが(すみません)、知られざる名曲だと私は勝手に思っています。

疾走感のあるメロディーに乗せたさびが特に好きで、"You just gotta be strong and believe in yourself. Forget all the sadness 'cause love is all you need."「とにかく心を強く持って、自分を信じるんだ。悲しみなんて全部忘れよう。愛があればそれでいいんだから(拙訳)」というフレーズは聞くたびに元気が出ます。『ザ・ワークス』に収録。

4Love of My Life

 美しいメロディーが印象的な切ないバラード。映画でもフレディと「運命の人」メアリーの関係を象徴する曲として印象的に使われていました。ライヴではブライアンのアコースティックギターに合わせてフレディが歌い、観客が大合唱するのが「お約束」になっています。『オペラ座の夜』に収録。

5The Show Must Go On

「何はあってもショーは続けなければ」という Queen の、そしてフレディの強い意志がひしひしと伝わってくる名曲です。当時のフレディが病魔に冒され、限られた時間の中で最高のものを作ろうと闘っていたことを思うと、言葉ではとても言い表せないほど感動します。『イニュエンドウ』に収録。

 以上です。今回は貴重な機会を本当にありがとうございました。

 田島夏樹

 

 

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