重度の自閉症を抱えながら、ふたつの大きな奨学金を得て、現在はオックスフォード大学大学院で学ぶJory Flemingさん。
フレミングさんのこのすばらしい本を昨年からずっと読んでいる。
How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life
By Jory Fleming With Lyric Winik
https://www.simonandschuster.com/books/How-to-Be-Human/Jory-Fleming/9781501180507
ジョリー・フレミングさんの言葉はいつもやさしい。
Jory does not experience “hurt feelings” in the traditional way most neurotypical people do. He discusses what happens when other people make cutting or hurtful remarks to him and his responses.
ジョリーはいわゆる定型発達者の「心の痛み」というものは感じない。自分や自分の反応に対して辛辣で身を切られるような言い方をされたらどうか、ジョリーは話してくれる。
JORY: What stops someone with autism, like me, is stimuli—the number of people, noise, lighting and so on. But if somebody tries to stop me from doing something by hurting my feelings or making me feel bad, I keep powering through. It’s not because I feel those hurts and then ignore them or shunt them away or overcome them. They are just not there.
ジョリー 何が僕のような自閉症の人たちを苦しめるかと言えば、人がたくさんいることであり、音や光などです。でも、僕の気持ちを傷つけたり気分を悪くしたりするようなことを言って僕を苦しめようとしても、全然堪えないんじゃないかな。そんな言葉に痛みを感じて、それを無視したり、脇にやったり、踏みつぶしたりするからじゃない。そうした痛みは最初から存在しないから。
以下、翻訳で紹介する。
オックスフォードのある授業で、省エネルギーについてディスカッションしました。僕は医療器具を使っているし、それらがどれだけエネルギーを消費するか強い関心があるから、エネルギー税は一律であるべきだと発言しました。すると、ひとりの学生が明らかに僕の考えは取るに値にしないというようなことを言ったみたいです。次の週、みんなに「ねえ、大丈夫?」みたいなことを言ってもらったけど、何のことかわからなかった。その学生の言ったことが問題であると僕は認識しなかったんです。
ノースキャロライナ大学にいた時、動物保護に関心があるらしい男性が近づいてきて、補助犬は動物への残虐行為の一形態と見なされるから、僕の補助犬は奴隷のように使われるべきではないと言いました。かなり強い口調で、僕の補助犬デイジーはここにいたくないはずだ、家に置いてきたほうがずっとうれしいだろうと言い出したのです。僕はその人と話をするつもりでしたが、その人はなぜか急いでその場から離れていきました。人と話すことには興味がなかったようです。僕は「いや、それは間違っています。デイジーはここに僕といたいのです。もし家に置いてきてしまえば、すごく悲しくなります」と言おうとしました。
周りにたくさん人がいたと思うけど、みんなその人の言葉を恐ろしく思ったんじゃないかな。僕は教室に向かって歩いていたけど、みんな僕はすごいショックを受けて、逃げ出そうとしていると思ったかも。でも、僕はショックも受けなかったし、逃げ出そうとも思わなかった。ただ、その人にこんなふうに言いたかった。ああ、それはとても失礼な言い方ですね。
侮辱されたりひどいことを言われたりしても、僕はまったく反応しなかったと思う。何の効果もないから。僕がそれを重要だと思わなかったからじゃない。それが僕にとって重要じゃなかったんです。
もしデイジーに対して今そんなことを言われたら、たぶんこう答えるんじゃないかな。
「障がいのある人に対してそんな言い方は許されません。僕は構わないけど、僕以外の補助犬を連れている人に対してそんなこと言うべきじゃない。そんな言い方をされたら、その人たちはその週ずっと悲しい思いをしなくちゃいけない」
特に声の感じと言い方に注意したいですね。あとになってほかの人たちと話してみて、その大切さがわかりました。僕には影響ないかもしれませんけど、ほかの人たちは心がくじかれてしまうかもしれないから。
ジョリーさんの言葉はどこまでもやさしい。
ジョリーさんのHow to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life, 早めに刊行したい。