GetUpEnglish

日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

GetUpEnglishについて

毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2025 Uesugi Hayato(上杉隼人)

SAFEGUARD, DURABLE, ETC.

2020-10-21 08:35:48 | S

 GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)の巨大ネット企業が独占的な地位を利用して適正な競争を妨げているとして、事業の分割も視野に規制を強化するよう求める報告書をアメリカ議会下院の小委員会がまとめた。

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201007/k10012651781000.html

 今日のGetUpEnglishはこのニュースを読んでみよう。

 https://www.japantimes.co.jp/news/2020/10/07/business/us-congress-big-tech/

U.S. Democratic lawmakers are calling for Congress to rein in Big Tech, possibly forcing Facebook, Google, Amazon and Apple to break up their businesses, while making it harder for them to acquire others and imposing new rules to safeguard competition.

 safeguardは「…を守る、保護する」

  1. The investigation found, for example, that Google has monopoly power in the market for search, while Facebook has monopoly power in the social networking market. The report said Amazon and Apple have “significant and durable market power” in the U.S. online retail market, and in mobile operating systems and mobile app stores, respectively.

 durableは「恒久的な」

 respectivelyは2020/09/27のGetUpEnglishを参照。

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/41f14750b7ce40a84a5985727bf00fb2

 

 

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SLUGFEST, GAMUT, ETC.

2020-10-20 08:28:59 | S

  9月30日にアメリカ大統領選のテレビ討論会が行われたが、とてもひどいもので、世界中の人たちが呆れ、失望した。

 今日のGetUpEnglishはこのニュースを見てみよう。

Many across the world looked on largely aghast as the first debate between President Donald Trump and Democratic challenger Joe Biden devolved into a verbal slugfest short on substance but heavy with implications for America’s international image.

 slugfestは「(ボクシングなどの)激しい打ちあい」

 この単語を後置修飾する形で、中身はないが(short on substance)、アメリカの国際的なイメージに対するimplication(言外の意味、示唆、含意)はheavy(大きい)いうこと。

Emotions and adjectives ran the gamut but few observers appeared to come away thinking that the last remaining superpower could rise above its bitter partisan rancor as the election looms barely a month away.

 gamutは「全領域、全範囲、全般」で、run the gamutで「全体におよぶ」

 rancorは「深い恨み、怨恨、憎悪」で、rise above its bitter partisan rancorは「党派間の憎悪を超越する」

 as the election looms barely a month awayは「大統領選がもう1か月先にぼんやり見える(looms barely)ときに」ということ。

 https://apnews.com/article/election-2020-joe-biden-virus-outbreak-donald-trump-japanese-yen-68ee6e1d6d3ae065afb37968fca52f6b

 

 

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Taylor Swift endorses Joe Biden for president

2020-10-19 07:47:12 | T

 アメリカ大統領選を間近に控えているが、ポップスターのTaylor Swift(1989-  )が民主党候補のJoe Biden(1942-  )に投票すると公言し、話題になっている。

  https://www.rappler.com/world/us-canada/taylor-swift-endorses-joe-biden-for-president

 本日のGetUpEnglishはこのニュースを読んでみよう。

Pop superstar Taylor Swift on Wednesday, October 7, threw her support behind Joe Biden for president, telling her 200 million-plus social media orbit that the veteran Democrat will start a "healing process" in America.

 throw one’s support behindで「…の支持にまわる」

 orbitは「(人工衛星などが天体の周囲を回る)軌道」であるが、この場合は「フォロワーなど影響にある人たち」のこと。新しい表現なので、ぜひ覚えておきたい。

"I will proudly vote for Joe Biden and Kamala Harris in this year's presidential election," she added. "Under their leadership, I believe America has a chance to start the healing process it so desperately needs."

The singer-songwriter has lashed out before at President Donald Trump, including in August when she blasted his "ineffective leadership" against the coronavirus pandemic and his efforts to "subvert and destroy" US voting rights.

 lash outは「…をきびしく非難する」

 

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Motoyuki Shibata is always ready to listen to writers’ voices

2020-10-18 08:28:19 | S

 昨日10月17日のThe Japan Timesにすばらしい記事が掲載された。

 https://www.japantimes.co.jp/culture/2020/10/17/books/motoyuki-shibata-english-japanese-translation

 柴田元幸が翻訳について話している。

 ぜひ読んでいただきたい。

 今日のGetUpEnglishはこの記事から次の表現を取り上げてみたい。 

Advice to Translators: “People tend to think fidelity is the most important thing, to convey the surface meaning accurately into another language. Yet as a translator, your first obligation should be to give readers the sense of pleasure you had while reading (the original text). Of course, every translation to some extent is a mistranslation, but it’s a more serious type of mistranslation if the sense of pleasure is missing.”

 fidelityは「忠実」。ニュース記事をたくさん読むことが大切なのは、こういう使い方をするのかと確認できるからだ。

 このセンテンスは次のように言い換えられるだろう。

○Practical Example

 People believe that the fidelity of the translation to the original text is the most important.

 新しい単語を目にしたときは、意味はもちろんのこと、発音もチェックし、実際に口に出して覚えておきたい。

 

 

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『スター・ウォーズ』を翻訳する

2020-10-17 08:24:50 | Star Wars

 2019年公開の『スカイウォーカーの夜明け』によって、『スター・ウォーズ』スカイウォーカー・サーガの幕は閉じられた。だが、1977年に上映開始されたシリーズの伝説は永遠に語り継がれる。今後多くの人たちがスター・ウォーズ映画をディズニープラス(Disney+)やDVDで楽しみ、その魅力を伝えることだろう。フォースは受け継がれる。

 シリーズ終結に当たって、大変光栄なことに、人気サイトTHE RIVERにスター・ウォーズ翻訳について記事を書かせていただける機会をいただいた。

 本日のGetUpEnglishは特に英語と翻訳に関係のある部分をご紹介したい。

 https://theriver.jp/sw-novel-point/

映画では読み取れないキャラクターの感情をいかに訳すか?

 2017年10月に、HMV&BOOKS TOKYOで開催された「スター・ウォーズ読者の日2017(Star Wars Reads)」(ウォルト・ディズニー・ジャパン出版部主導)のスペシャル・トークショーで、スター・ウォーズのノベルの翻訳で何がいちばんむずかしいかと聞かれた。そこで何だろうかと考えてみたが、ひとつには描出話法(represented speech)の処理の仕方があると思う。

 登場人物の思考や心のなかの語りを、地の文に投げ出された形で表現する描出話法、または自由間接話法(free indirect speech)は、小説でよく用いられる。

 描出話法とは、「伝達部がなく、直接話法と間接話法の中間的な性格を持ち、普通クオテーションは用いられない。小説などで作者が主人公の心理を代弁したりするときに用いる話法」だ。

 以下の例文を考えてみよう。

Luke’s resolution was firm. He could no longer bear the dull life on the sand island. He would leave Owen’s house, study the force under Obi-Wan, and save the galaxy.

 ルークの決心は固かった。 僕はこの砂の惑星の退屈な生活にはもう我慢できない。 オーウェンおじさんの家から出て、オビ=ワンにフォースを学び、銀河を救うんだ。

 これを「直接話法」(クオテーションで囲んだ言い方を出す)で書けば、

He said to himself, “I can no longer bear the dull life on the sand island. I will leave Owen’s house, study the force under Obi-Wan, and save the galaxy.”

となるし、「間接話法」(that節を使った書き方)で書けば、

 He thought that he could no longer bear the dull life on the sand island and that he leave Owen’s house, study the force under Obi-Wan, and save the galaxy.

となる。

 例文の“He could no longer bear the dull life on the sand island. He would leave Owen’s house, study the force under Obi-won, and save the galaxy.”がルークの心の中の語りとなり、英語はその代名詞heを使って書かれるが、この話法が用いられる時は、日本語では「彼」ではなく「僕」や「わたし」を主語にして訳すのが効果的だと思う。そして助動詞couldとwouldは現在の「推量」や「意思」を示すので、現在形で訳すのがよい。

 では、実際に『スター・ウォーズ』のノベルで出会った描出話法が効果的に使われている部分を見てみよう。『エピソードI:ファントム・メナス』(講談社)にある表現を挙げる。

But for Anakin Skywalker, it was the first step in his life plan. He would build the fastest Podracer ever, and he would win every race in which it was entered. He would build a starfighter next, and he would pilot it off Tatooine to other worlds. He would take his mother with him, and they would find a new home. He would become the greatest pilot ever, flying all the ships of the mainline, and his mother would be so proud of him.

 And one day, when he had done all this, they would be slaves no longer. They would be free.

 だが、アナキン・スカイウォーカーには、これが自分の思い描く人生の第一歩だった。これまでのどのポッドレーサーよりも速いマシンを作ってやる。それに乗って、すべてのレースで優勝するんだ。次はスターファイターを作り、タトゥイーンを出てほかの星に行く。ママも連れていって、新しい家を見つけるんだ。銀河史上もっとも偉大なパイロットになって中央航路のありとあらゆる船を操縦し、ママの自慢の息子になるんだ。

 いつかこういうことが全部実現したら、僕もママも奴隷じゃない。二人とも自由になれるんだ。

 He would…のあたりは上で説明したように、「描出話法」で書かれているととらえて、「僕」を主語にして訳し(そうだとわかるのであれば、「僕」あるいは「わたし」などの言い方は削ってしまうほうが日本語としては自然だ)、助動詞wouldは現在の「意志」と認識し、現在形で訳すのがよい。

 これは一部で、かなり長く書かせていただいているので、THE RIVERのサイトでご覧いただけますと、うれしいです。

 https://theriver.jp/sw-novel-point/

 読者プレゼントもあります。

 https://theriver.jp/sw-ep9-jrnovel-present/

 スター・ウォーズの翻訳は、富永和子、野田昌宏、石田享、そして稲村広香各氏ほか歴代の『スター・ウォーズ』のフルノベルの訳者のみなさんが、すばらしい訳業を残してきた。こうした名翻訳者の方々の偉大なる訳を常に参考にさせていただいていますし、各氏のすぐれた訳業に深く敬意を表します。

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ROLL ONE’S EYES

2020-10-16 00:57:18 | E

 roll one's eyesは「〈目〉をくるりと動かす, むく《驚き・いらだち・非難などの表情》」(研究社『コンパスローズ英和辞典』)の意味で使われる。

 だが、日本語にするにあたっては、常に目を動かす必要はないと思う。

 驚いたときには、「目を剝く」こともあれば、「目を白黒させる」こともあるだろう。

 これは状況次第でそれがふさわしいと思われる表現にしていいと思う。

 今日のGetUpEnglishはこの表現を考えてみる。

○Practical Example

  They rolled their eyes when the heard that the picture was sold at an amazing price $450 million.

「その絵が4億5000万ドルで売れたと聞いて、誰もが仰天した」

●Extra Point

  あきれたときには、「やれやれというような顔をする」こともあるだろう。

◎Extra Example

  She rolled her eyes when he said he wanted to become a patissier.

「彼がパティシエになりたいと言うと、彼女はやれやれという顔をした」

  この表現は無理に「目を動かさなくてもいい」し、「目を表現に出さなくてもいい」ように思う。

 

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TO PRY, TO PRIZE

2020-10-15 08:11:18 | P

 動詞pryは「…をのぞく、…の様子をうかがう、詮索する」の意味で使われるが、物理的に「…をこじ開ける」の意味でも用いられる。

 今日のGetUpEnglishはこの語を学習する。

○Practical Example

"How should I do, Doctor Pym."

"Pry a door open, Scott."

「ピム博士、どうしたらいいです?」

「窓をこじ開けろ、スコット」

●Extra Point

  イギリス英語ではprizeが使われる。

○Extra Example

  Thanos prised her fingers from the stone and took it from her.

「サノスはストーンをつかむ彼女の手を引き離し、ストーンを奪った」

 

 

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KAWAII

2020-10-14 08:21:25 | K

 日本語の「かわいい」は英語になっているし、世界最大の英語辞典Oxford English Dictionaryにも以下の定義がある。

 Cute, esp. in a manner considered characteristic of Japanese popular culture; charming, darling; ostentatiously adorable.

 そして、1965年の用例も記されている。

 1965   N.Y. Times 20 Apr. 35 (heading)    When East meets West Japanese call it kawaii.

 信頼できるUrban Dictionaryには以下の定義と例文がある。

 Kawaii

 An adjective in Japanese meaning " pretty; cute; lovely; charming; dear; darling; pet" It's stem is two kanji meaning "can love". It is commonly used by anime and manga fans.

 Chibiusa-chan's new outfit is so kawaii!

 by Lisa June 04, 2003

 https://www.urbandictionary.com/define.php?term=Kawaii

『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』の著者ベン・ルイスにインタビューして驚いたのだが、Kawaiiを世界に広めた村上隆の取材で日本に来たことがあるようだ。

 https://www.youtube.com/watch?v=twcSPSvkXWA&t=1897s

「日本の読者に対するメッセージ」はインタビューが長くなってしまって全部収めることができず、収めきれなかった部分は本に記した。ぜひそちらもご覧いただきたい。

最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』

 ベン・ルイス・著/上杉隼人・訳

 好評発売中!

 

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A sort of political camouflage to disguise what’s really going on

2020-10-13 08:09:51 | P

 集英社インターナショナルのtwitterやFacebookも伝えている。

 ダ・ヴィンチの男性版モナリザとも呼ばれる「サルバトール・ムンディ」が現在どこにあるのか、その行方は分かっていません。それについて今年6月、サウジアラビアが「サルバトール・ムンディ」を展示する美術館を国内に建設すると『フィナンシャル・タイムズ』が報じました。

 https://www.wsj.com/articles/saudi-arabias-secret-plans-to-unveil-its-hidden-da-vinciand-become-an-art-world-heavyweight-11591448400

 https://twitter.com/Shueisha_int/status/1315558342392045568

 このニュースについて、『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』の著者ベン・ルイスにオンライン・インタビューしてたずねた。

We heard the news that Saudi Arabia is planning to build a museum for Salvator Mundi. Could you give me more information about that?

 https://www.youtube.com/watch?v=twcSPSvkXWA&feature=youtu.be

I know very little about the sort of museums the Saudis say they’re going to build to house the Salvator Mundi in Saudi Arabia. I mean, they’ve come up with all these plans and huge budgets that get reported in the FT (Financial Times). They say they’re going to spend X billion and build 200 new museums and turn Saudi Arabia into a great cultural destination. Well, when it happens it happens, but it hasn’t happened yet.

One worries that all this talk is just talk designed to get a bit of good publicity in the West. Art, unfortunately today, is often a camouflage for human rights abuses.  These regimes say they’re going to spend lots of money on art and they allow a certain kind of “safe art” to happen in their countries. The stuff is censored, but if it says something fairly bland how great humanity, then that’s okay. They have their biennials and their auctions and their private gallery shows, which creates a veneer that the country is becoming more liberal. But actually it’s just a cover, because behind all they’re still arresting human rights activists, Islamic extremists and whoever else they want to, and disrespecting human rights. I think we really have to watch out today for governments that use art in that way, as a sort of political camouflage to disguise what’s really going on.

 最後のI think we really have to watch out today for governments that use art in that way, as a sort of political camouflage to disguise what’s really going on.(でも裏で人権活動家を逮捕するなど、人権侵害を行っています。美術を政治的カモフラージュにしている政府を注視する必要があります。)のコメントは重い。

 インタビュー映像に日本語の字幕もつけたので、ご確認いただきたい。

 わたしの話す英語は絶望的に下手ですが、こうしてロンドンの著者にオンライン・インタビューして原書には収録できなかったことも翻訳書に盛り込める時代がくるとは夢にも思っていませんでした。

 現代のテクノロジーにひたすら感謝します。

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Both thumbs are rather better than the one painted by Dianne.

2020-10-12 08:20:33 | The Last Leonardo

 集英社インターナショナルのサイトやFacebookにも記されているが、最後のダ・ヴィンチの作品とされる『サルバトール・ムンディ』には実はかなりの修正が施されている。

『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』好評発売中です!

本書には『サルバトール・ムンディ』の「修復」の各段階の画像をカラーで掲載しています。比較して見ると、そのあまりの違いに驚愕するはず。果たしてこれは許される「修復」の範囲なのか、ぜひその目でお確かめください。

『サルバトール・ムンディ』の上塗りをすべて洗浄すると、右手には親指が2本あることがわかりました。これはペンティメントと呼ばれ、制作者が途中で描き直した証しとされるもので、複製や贋作には見られないものです。口絵に掲載の図でも、2本目の親指がはっきりと確認できます。

※詳細・立ち読みはこちらから

 キリストが掲げた右腕の親指は実は二本描かれていたが(写真参照。レオナルド、もしくは別の者による「下書き」が残されていた)、それが修復される事実も『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』には克明に記されている。

 不確かな状況がつづくなかで、『サルバトール』擁護者たちのあいだに亀裂が生じた。ケンプはのちに謝罪したが、『ガーディアン』でモデスティーニの修復作業を遠まわしに批判したのだ。あの絵のキリストの掲げた右手の親指が二本残されていたことについて、美術評論家のジョナサン・ジョーンズに、「ダイアンは一本にしたが、二本残しておいたほうがよかった」と述べたのだ。

「ダイアンは一本にしたが、二本残しておいたほうがよかった」は、

‘Both thumbs are rather better than the one painted by Dianne.’

 という言い方になる。

 「果たしてこれは許される『修復』の範囲なのか?」

 ぜひ本書でお確かめいただきたい。

 

 

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『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』好評発売中

2020-10-11 20:34:32 | The Last Leonardo

最後のダ・ヴィンチの真実

510億円の「傑作」に群がった欲望

ベン・ルイス・著/上杉隼人・訳

¥3,200(本体)+税   発売日:2020年10月05日

好評発売中。

https://www.shueisha-int.co.jp/publish/%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E3%83%80%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%81%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F

13万円で落札された絵画は、なぜ12年で510億円になったのか?

アートの価値は誰がどのように決めるのか、価値と値段は比例するのか――。

最後のダ・ヴィンチ作品の発見として注目を集め、その後、史上最高額の510億円で落札され話題となった男性版モナリザ『サルバトール・ムンディ』。

その謎に包まれた足跡を追う中で見えてきた美術界の闇。衝撃のノンフィクション!

 

アートをとりまく桁違いの華々しさと、深い闇

この本には、中世の王侯貴族のコレクターたち、修復家、怪しげなディーラーから、現代の美術界の頂点から最下層にいる人びとまで、さまざまな個性的な人物が登場する。2005年に『サルバトール・ムンディ』を「発見」した美術商アレックス・パリッシュは、ニューヨーク近代美術館のギフトショップから美術の世界に入った、まさにその底辺にいた人物だった――。

さながら「男性版モナリザ」をめぐるミステリー小説

ギャラリスト、オークショニア、コレクター、修復家、批評家、そしてタックスヘイブンにあるフリーポートを使って誰にも知られず密かに絵画を売買する超富裕層の存在――著者の筆はそれぞれの仕事の詳細や理想、葛藤、プライド、そして欲を残酷なまでに赤裸々に描き出す――510億円の「傑作」男性版モナリザに群がった欲望の先に見えたものとは。

ダ・ヴィンチは自分の絵のたどった運命に満足しているだろうか

修復前の「大破」した状態の画像ほか、ダ・ヴィンチが『サルバトール・ムンディ』のために描いたスケッチや、弟子による複製画など、多数の貴重な画像をカラーで掲載。

特に、『サルバトール・ムンディ』の「修復」の各段階の画像を詳細に比較して見ることができるため、あまりの違いに驚愕するに違いない。果たしてこれは許される「修復」の範囲なのか、ぜひその目でお確かめいただきたい。

【内容】

没後500年を経て関心が高まっているレオナルド・ダ・ヴィンチ。その幻の名画『サルバトール・ムンディ(世界の救世主)』は、100年ぶりに美術市場に現れた当初、わずか1175ドル(約13万円)で売買されたが、その12年後の2017年にクリスティーズのオークションで美術品としては史上最高額である4億5030万ドル(約510億円)で落札された。

ダ・ヴィンチ最後の個人所有作品であり長年行方不明だったその名画はどこにあったのか、誰が落札したのか、そもそも本当にダ・ヴィンチの真作なのか――謎に包まれた「男性版モナリザ」に世界が注目した。

1500年頃に制作されたこの小さなキリスト画が、1649年のイングランド王チャールズ一世処刑後、20世紀にアメリカの無名で善良な美術愛好家の手に渡り、そこから再び表舞台に登場するまでを詳細に追う。

「大破」していた作品を修復した結果、真作と判定され、所有者となったロシア人大富豪により再びオークションに出品、サウジアラビアの謎の人物に落札された「最後のダ・ヴィンチ」の陰には歴史・経済・政治も絡む推理小説さながら様々な人物・組織がうごめいていた!

【書評】

■まるでアガサ・クリスティのミステリー小説を読むかのようだ

……………『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』

■美術市場の腐敗と恥部を暴露……………『デイリー・メール』

■1枚の絵が510億円もの値段で取引された「巧妙なトリック」を生々しく抉り出す……………『フィナンシャル・タイムズ

判型       四六判

ページ数              472ページ

ジャンル              ノンフィクション

ISBN      978-4-7976-7387-6

Cコード 0098

著者略歴

ベン・ルイス(Ben Lewis)

母国イギリスを中心に、著者、ドキュメンタリー・フィルム制作、美術評論などで活躍。著書に共産主義政権を揶揄した『ハンマーでくすぐる』(2008)、ドキュメンタリー・フィルムに現代美術について論じたテレビ・シリーズ『アート・サファリ』(2003~05)がある。

上杉隼人(うえすぎ・はやと)

翻訳者(英日、日英)、編集者、英語・翻訳講師。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同専攻科(現在の大学院の前身)修了。訳書に『スター・ウォーズ』[全作、I~IX]『アベンジャーズ エンドゲーム』(共に講談社)ほか多数。

目次

プロローグ レオナルドの伝説

1 ロンドンへのフライト

2 埋もれた宝

3 感じる(、、、)!

4 青の手がかり

5 ヴィンチ、ヴィンチア、ヴィンセット

6 サルバトールのすり替え

7 復活

8 数多くの『サルバトール・ムンディ』

9 天上会議

10 地上最大のショー

11 おい、クックは手放したぞ

12 オフショアの偶像(アイコン)

13 一九分間

14 ニューオーリンズに一軒の家がある

15 砂漠に立ちのぼる蜃気楼

日本の読者の皆さんへ 『サルバトール・ムンディ』は今どこに?

関連リンク

ベン・ルイス(Ben Lewis)ホームページ

著者より日本の読者に向けた特別インタビュー動画(上杉隼人のブログGetUpEnglishより)

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『MONKEY』NEW WRITING FROM JAPAN VLUME 1 2020(4)

2020-10-11 08:10:36 | M

『MONKEY』NEW WRITING FROM JAPAN VLUME 1 2020収録の作品は、どれも信じられないくらい翻訳の質が高い。ここのところ、毎日興奮して拝読している。

 今日のGetUpEnglishもそのすぐれた英訳のひとつを紹介する。

 岸本佐知子のエッセイ「三崎」をベテラン翻訳者のTed Goossenが翻訳している。

 岸本佐知子のエッセイは日常の何気ない出来事を取り上げながら、随所に事実と妄想と笑いが巧みに織り交ぜられ、気がついたら岸本ワールドに連れ去られてしまい、もう戻ることはできない。だが、岸本が訳す小説と同じで、時折現実感を強く感じさせるもの悲しさを見せられることがあって、気持ちが和む。

この「三崎」では岸本たちが「飲み合宿」に出かける話だが、以下の部分がそうだ。

 港はいいつもぽかんと晴れて温かく、カモメが空で輪を描き、道端のゴムの木は南国みたいにばかに大きくて、そんなものをぼんやりと見ながらきんと冷えた白ワインを飲んでいると、ああ生きているとい感じがふつふとわいてきて、ただひらすら楽しく、楽しすぎてなんだか悲しくなってくる、それで帰りの京急の中でまた飲む。

 この部分をテッド・グーセンはどう訳しているかというと、

It is always thus:  the harbor sunny and warm, the seagulls floating lazily in the sky, the rubber trees ridiculously tall, as though growing in some southern land.  Gazing upon these things and sipping our chilled white wine, the feeling rises in our breasts that, yes, this is what it means to be truly alive, a most pleasant emotion, too pleasant perhaps, since in the end it leaves us somehow sad.  It is for that reason that we drink even more on the Keihin Express back to the city.

「南国みたいにばかに大きくて」あたりを動詞growを充てて対応しているあたりがさすがだと思うし、日本人の日英翻訳者にはなかなかできないことだ。そしてこの発想、英日翻訳にも使えると思う。

「ああ生きているとい感じがふつふとわいてきて、ただひらすら楽しく、楽しすぎてなんだか悲しくなってくる」あたりも見事に英語に訳されている。

 

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『アベンジャーズ』マーベル・スタジオ誕生と成功の物語 ─ 『MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密』刊行にあたって

2020-10-10 19:01:10 | Avengers

 超人気サイトTHE RIVERに記事を書かせていただきました。

 ご覧いただけますと、うれしいです!

『アベンジャーズ』マーベル・スタジオ誕生と成功の物語 ─ 『MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密』刊行にあたって

すばる舎ご提供により、THE RIVERのサイトで『MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密』の読者プレゼントも行われています。

 ふるってご応募ください。

【プレゼント】マーベル・スタジオの軌跡詰まったビジネス書『MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密 』を3名様に

 関係者のみなさま、今回は『MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密』を大きくご紹介いただき、誠にありがとうございました!

 3000回感謝します!

 2020/10/10   上杉隼人

 

 

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『MONKEY NEW WRITING FROM JAPAN VLUME 1 2020』(3)

2020-10-10 08:54:39 | M

『MONKEY NEW WRITING FROM JAPAN VLUME 1 2020』収録の作品は、どれも信じられないくらい翻訳の質が高い!

 今日のGetUpEnglishもそのすぐれた英訳のひとつを紹介する。

 すでに紹介したが、岡本かの子「鮨」のDavid Boyd訳がすばらしい。

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/70285e39dc20cf9e08a4f2d1147d83ce

 その他、鮨の材料を採ったあとの鰹の中落だの、鮑の腸だの、鯛の白子だのを巧に調理したものが、ときどき常連にだけ突出された。ともよはそれを見て「飽きあきする、あんなまずいもの」と顔を皺めた。だが、それらは常連から呉れといってもなかなか出さないで、思わぬときにひょっこり出す。亭主はこのことにかけてだけいこじでむら気なのを知っているので決してねだらない。

 よほど欲しいときは、娘のともよにこっそり頼む。するとともよは面倒臭そうに探し出して与える。

 ともよは幼い時から、こういう男達は見なれて、その男たちを通して世の中を頃あいでこだわらない、いささか稚気のあるものに感じて来ていた。

On other occasions, Tomoyo’s father served his faithful customers a variety of masterful concoctions made from less desirable items:  leftover bits of Katsuo, awabi intestines, white fish roe.  But such rare treats were reserved for Fuku’s regulars.  Whenever Tomoyo saw therese dishes, she would wrinkle her nose and say, “Enough of this junk!  It’s disgusting.”  Sometimes the regulars would request these culinary oddities, but Tomoyo’s father was never inclined to oblige.  He had a habit of spring such dishes on his customers only when they least expected it.  Fuku’s regulars knew better than to push Tomoyo’s father too hard.  They all know how stubborn he could be about this particular matter.

  When the regulars simply had to have on of Fuku’s “specials,” they would quietly ask Tomoyo and, reluctantly, she would go to the kitchen to find it.

  Since childhood, Tomoyo was used to being around the sort of men who stopped by the shop.  Observing them, she came to feel as if the world were something almost childish, nothing to be taken too seriously.

「だが、それらは常連から呉れといってもなかなか出さないで、思わぬときにひょっこり出す」

「よほど欲しいときは、娘のともよにこっそり頼む」

あたりは日本語のネイティブであれば、主語が省略されていることがわかるし、こうした会話が日常的に行われることがわかっていて、そのほうが自然であると感じる。

 だが、英語は主語をはっきりさせないといけないので、主語を確実には見極めて表現に加える。

 英日翻訳でよく「主語の『わたし』や『僕』が多いと単調になるので、適当に削りましょう」と言われることがあるが、ボイド氏の「日英翻訳の現場」を見れば、それが実感できるだろう。

 英日翻訳にも日英翻訳の視点は必要だ。

「ともよは幼い時から、こういう男達は見なれて、その男たちを通して世の中を頃あいでこだわらない、いささか稚気のあるものに感じて来ていた」をObserving them, she came to feel as if the world were something almost childish, nothing to be taken too seriously.と訳しているが、なんと見事なことか!

 日本人の日英翻訳者にはまずできない訳だ。

 デイヴィッド・ボイド、おそるべし。

 この『MONKEY NEW WRITING FROM JAPAN VLUME 1 2020のイベントが本日あります。オンラインでどなたでも参加できます!

  https://www.waseda.jp/inst/sgu/news/2020/09/17/7861/

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Where is Salvator Mundi now?

2020-10-09 08:23:32 | The Last Leonardo

『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』が発売になった。著者ベン・ルイスにオンライン・インタビューもしている。

 https://youtu.be/twcSPSvkXWA

 本日のGetUpEnglishはその一部を紹介したい。

『最後のダ・ヴィンチの真実 510億円の「傑作」に群がった欲望』には原書にはない情報も盛り込んでいいて、510億円で2017年11月にクリスティーズのオークションで落札された『サルバトール・ムンディ』がどこにあるかも突き止めようとしている。 

 以下のオンライン・インタビューも参考にしてほしい。 

――Why do you think Salvator Mundi was not displayed in the Louvre from October 24 in 2019 to February 24 in 2020?  I’m sure many people would like to hear from you about it.

For most of 2019 I thought the Salvator Mundi would be displayed at the Louvre. I mean, after the auction the head of the Louvre said he wanted it and the Louvre let everybody know they’d asked for it several times and they wanted to show it and they asked very politely. It was never really clear whether they’d said, “We want to show it and we promise to put a Leonardo da Vinci label on it,” or whether they’d said, “We want to show it, please. We’d like to show it.” They didn’t really say if they’d attribute it to Leonardo or not. But I just thought—probably these people are going to show it.

 この質問と答えは16分30秒から観られる。

 https://www.youtube.com/watch?v=twcSPSvkXWA&t=990s

 字幕も付けているので、そちらもご確認いただきたい。

 サウジアラビアの皇太子が落札したらしいと言われているが、世界一高額のこの絵は今一体どこにあるのか?

 

 

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