現在訳しているSpider-Manの小説にはnon-binaryな言い方が時々出てくる。
たとえば、以下の表現がそうだ。
Spider-Man has a better look at the employee and their badge now and can read the name Alex in black letters under a picture of the person standing in front of him. There’s a big they/them sticker stuck to the bottom of the plastic holder the badge is in.
スパイダーマンはそこで職員の顔と着けていたバッジをよく見て、黒い文字で書かれた職員の名前〝アレックス〟とその下の顔写真を確認する。職員証が入ったプラスチックホルダーのいちばん下に大きくノンバイナリーを示す〝they/them〟のステッカーが貼られている。
このthey/ themは、特に性別を特定しないノンバイナリー(non-binary)の人を指す代名詞だ。
研究社オンラインディクショナリーのEVには、次の定義がある。
BINARY でない, 非二分法[非二進法]の, 《二項対立ではなく》中間的領域[曖昧さ]の余地のある[を許容する]; 《SOGI が》男女[同性愛・異性愛]のいずれとも決められない (cf. LGBTQ, singular they enby).
they/themは「誰かわからない」場合であれば、次のように使われる。
"Someone left their bag here. "
「誰かがここにバッグを置き忘れたよ」
ただ、ノンバイナリーの人を指す場合、次のように使われることがあるので、注意しないといけない。
"Alex said they are coming to the meeting."
「アレックスはミーティングに来るって言ってたよ」
伝統的な「男性=he」「女性=she」という二項対立に当てはまらない人が、自分のアイデンティティを尊重してもらうために they/them を使う。
現在、本業で、この英語表現を集めた本も鋭意編集中だ。乞うご期待。