なぎのあとさき

日記です。

雄三と健二

2006年09月01日 | 映画の話(ネタばれ)
「女は二度生まれる」
CSで川島雄三の特集をやっている。
当たり外れのある監督みたいだけど、
この映画は、文句なしに楽しかった。

はじめの方、
路地裏でアイスを買うあたりのシーンは、
夏っぽくていい。
神社で男をつけたり、
寿司屋で板をナンパしたり、
映画館で高校生を連れ去ったり、
見事な手腕、軽快で楽しくっていい。
でも、相手を決めずに恋愛に生きるのは、
実は一人で生きていくことと同じで、
ときどきたった一人、
人生と向き合うことになる。
そんなときも、悲愴的にはならずに、
むしろ過去なんかさっさと人にあげちゃって、
一人でたたずむ終わりのシーンは、
粋で晴れやかで開放的でよかった。

「赤線地帯」
今年は溝口生誕50年。
CSの次はBSでも特集が始まった。

にしても、日本にしてもヨーロッパにしても、
娼婦の映画って多い。
折り返しの後はあまり見る気がしないけど、
鐘後はすんなり見ることができる。

同じ家にいて、それぞれの哀しみを背負っていても、
生き方は一人一人全然違う女たち。
一人の女が家を出て行くとき、
餞別をわたすシーンでは、
プレゼントにそれぞれの生き方が出てて面白い。

男は女を食いもんにするやつ、
依存するやつ、いいなりになるやつなど、
ろくなのが出てこない。

最初にかかるテーマ曲がなんかすごい。
恐怖に近い不安をかきたてるようで、
この映画にぴったりの音。

昔ユーロスペースで、
お昼ごはんを食べながら観た記憶がある。
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8月

2006年09月01日 | 日々のこと
8月最後の日、
夕方吹く風は涼しい。
今年は、短い夏だった。
こんなに、世界をただじっと眺めてる夏は初めて。
8月は、空も海も川も、生き物たちも素晴らしかった。

ジムはさぼって三宿でうどん。
初めて冷たいのを食べたけど、
美味しかった。

この前の花火大会で、
ナウシカに出てくる腐海の、
ムシゴヤシがわーっと上に上に育っていって、
さらに粘菌が全てを飲み込む、
みたいなすごい一瞬があった。

猛暑が過ぎて、
殿ちんはすぐに膝に来るようになった。
まだ暑いんだけど。
ビーは枕元で眠り、
モンチは足元に、掛け布団で作ったモンチベッドで眠る。
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個展

2006年09月01日 | 日々のこと
家を出てから、
吸い寄せられるように銀座へ。
エス子の個展を見に行く。

以下、感想メールの下書き

前に見た生っぽい果実から、また一つ抜けて、
さらに抽象が立ち上がり、存在する歓びをたたえて、
恍惚と輝くようだった。

美しいのはもちろんだけど、
いとおしい、に近い意味で、かわいいって思った。
モチーフは、自分の中にもあって、
でも見ることができない、臓器。
それをいとおしい、かわいい、
と感じるのは初めての体験。

見るだけじゃなくて触ったり、揺り動かしたりしながら、
作品の置かれた部屋にいるのは、
本当に恍惚とする幸せな時間で、
もしや胎内にいるときって、あんな感じかも。
さらに先生に肉体でないものが一つ在ると聞いて、
計知れない奥行きも感じた。

外から見た人間の肉体の彫刻は数あるけれど、
エス子先生の場合は中にあるもの。
昔から、「すい臓が痛い」とかいってた、
エス子にしか創れない作品だよね。

大変だったと思うけど、お疲れ様でした。
秋はがんがん食って太ってね!

帰り、甘木さんと会おうかな、と思ってたけど、
すっかり満たされて、そのまま地下鉄に乗って、
帰ってきてしまった。
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