「キングス&クイーン」
最初のシーンはパリの街。
画廊で仕事をする主人公の女は、
35歳、息子が一人。
ムーン・リバーをBGMに、
ドキュメンタリー風にカメラに向かって何か答える。
カメラのアングルが動くのが躍動的で、
順風満帆な雰囲気。
でも、その後、
人生にはつきものの辛い出来事が起こる。
前の男、イスマイルの登場は対照的に、
野獣の絵、ヒップホップの響く部屋で、
煙草片手になんか食ってる。
こっちは人生が絡んでほつれて、
精神科に入院させられる。
女は人生が絡んだりほつれたりしないように、
実業家との結婚を選ぶ。そこにロマンスはなさそう。
父の遺稿は、自分や妹に関わる部分は破り捨てる。
イスマイルは、ほつれた人生をなんとかしようとは思ってない。
素直に、茶目っ気たっぷりに、優しく生きている。
車の中で酔っ払って煙草吸っていて、
おまわりさんに注意されるシーンとかよかった。
イスマイルが男の子をつれて、
美術館を歩くシーンもよかった。
大切なのは、紙に書かれたことではないし、
血でもない。
二人が歩いてくるのを、
主人公が本を読みながら待っているシーンでは、涙。
いろんなことがあるけど、
人生にはこんな風に、幸せな時間がある。
終わりにもう一度流れるムーン・リバーは、
はじめに聞いたときより優しく聴こえて感動的。
見た後、自分の足も地につくような、
いい映画だった。
この日は日にちを間違えてハローワークにいき、
うどん食って映画を観て、
帰りにやっとジャンプ見つける。
メリー号とのお別れ、
ルフィがあんなに泣くのは初めて。