細野民主党政調会長テレビ出演発言の復興予算被災地外使途の自己正当化と責任逃れのウソと詭弁等々

2012-10-17 05:38:04 | Weblog

 10月24日(2012年)日曜日の各新聞社の昼前から午後のWeb記事が、同日午前中のフジテレビ番組で放送した東日本大震災の復興予算の流用指摘問題で、「復興予算は被災地以外は使わない」、あるいは「被災地事業に限定」、「復興に直結」といった表現で細野民主党政調会長の発言を伝えている。

 例えば「MSN産経」記事。

 細野「おかしいものがかなりある。去年から今年にかけては日本経済が破綻しないよう(被災地以外にも)予算をつけていたが、状況が変わった。今後は被災地以外には使わないということを明確にすべきだ。
 チェック機能を果たしきれず、おろそかになっていたのは反省すべきだ」

 「毎日jp」記事。

 細野「これからは被災地以外には予算を使わないという方向性を明確にすべきだ。

 当初は被災地に限定する考えで(政府から)法律を出したが、自民党の意見で日本全体に(予算を)付けよう、と判断した。全体としては間違ってなかったと思う。被災地以外は落ち着きを取り戻しており、変えていい」

 「日経電子版」

 細野「これからは被災地以外には予算は使わないという判断をしてもいい。党がチェック機能を果たしきれなかった」

 ・・・・などである。

 確かに結論は報道のとおりであるが、同日のフジテレビ「新報道2001」を見ていた者には結論に至る過程は自己正当化と責任逃れのためのウソとゴマカシと矛盾に満ちた詭弁そのもので、この男が将来の一国のリーダーと目されていると思うと、空恐ろしいと言うよりも情けない印象を受けた。

 この程度の男がそのように評価されている、あるいは嘱望されているということの情けなさである。

 Web記事が取り上げた発言部分を録画から文字化してみる。 

 細野豪志について、9月まで原発事故担当相、環境相のキャプチャー。

 テーマは「復興予算“流用”を検証」

 細野豪志「去年はホントーに、あのー、日本経済ってものが破綻をするじゃないかという瀬戸際にあったんですね。ですから、人間で言うならば、えー、ホントーに死ぬか生きるかの生死の境を彷徨(さまよ)っていて、勿論、東北地方というですね、一番深刻な、あのー、ダメージを受けたところのケアをすべきだったんですが、やはり、あのー、それこそ、えー、全身をですね、何とか、これ、日本全国を経済的に破綻しないように、社会的にも破綻しないように予算を付けざるを得ない状況にあったわけですね。

 それを、あの、被災地はまだ大変な状況ですけども、全国的には少しづつ落着いている中でですね、あの時死にかけていた、それこそ身体(からだ)に対してやろうとしていた医療が、まあ、過剰だったんじゃないか、ということを言われているわけですが、それはちょっとですね、去年の状況とは今とは違うと、言うことを分かっていただきたいと思います。

 全国防災という形で被災地だけではなくて予算をつけるというのは、それは、あのー、当初政府が考えていたことではなかったんですが――」

 須田哲夫アナ「違うんですか」

 細野豪志「違います。当初は被災地に限定することを考えて法律を出したんです。ただ、自民党のみなさんからもご意見を頂いて、あのー、今日本全体がこういうことになっているので、付けようということで判断をしました。

 私はですね、その判断は全体としては間違っていなかったと思っています。ですから、あのー、1年経って、あの、被災地以外は落着きを取り戻していますので、えー、そこは、あのー、これからの在り方については、えー、私は変えていいと思います。

 ですから、若干党内でも議論が必要ですが、えー、これからはですね、復興予算の中からは、えー、被災地以外には、えー、予算を使わないと、あのー、状況は変わりましたので、そういう判断をしてもいいと、いうふうに思っています」

 吉田恵アナ「被災地以外は使わないということですが、現状はそういうことになっています。(背後の大型のボードを手で示す)」

 外務省――海外の学生との交流など 約92億円
        (アジア太平洋地域及び北米地域との青少年交流)
 農水省――反捕鯨団体の妨害対策 約23億円
        (鯨類捕獲調査安定化推進対策)
 財務省――税務署などの耐震改修工事 約12億円
        (国税庁施設費(庁舎の耐震改修))
 文科省――国立競技場の修復工事 約3億3000万円
        (国立霞ヶ丘競技場災害復旧事業)
 法務省――受刑者の職業訓練のための機械や教材整備 約2800万円
        (被災地における再犯防止対策の充実・強化

 細野豪志「ですから、まあ、そこのボードでご紹介頂いているんでしょうけれども、えー、19兆円の差があるんですね。で、私は、例えば環境大臣として、除染に1兆円以上の差をつけました。

 で、これは被災地向けの予算ですけれども、一番初め、あの、環境省の役人が出してきたのはですね、100億円の予算のオーダーの除染でしたので、それで話にならないんで、ゼロが一つ、もしくは二つは違うって言ってつけて、まあ、正直言いますと、除染にですね、廃棄物にもかなり色んな、まあ、例えばもっと圧縮できたんじゃないかとか、ムダがあるんじゃないかというご意見があるんですが、それだけ大きな予算をつけて、業者にも大号令を出したからこそですね、除染が進んだという面があるんです。

 ですから、去年の状況で付けた予算というものを今から見て、ここがムダなんじゃないかと一つ一つ取り上げて、やるというのは、ちょっと状況が変わっていますので、私は、あのー、ホントに、そこは全体としてどうかなという評価は是非して頂きたいと思います」

 平井文夫フジテレビ解説副委員長「僕らは除染悪りきと言ってるんではないですね。(ボードに書いてある問題点の全体を示すように手に持ったボールペンをぐるっと大きく回す)これが問題だと言ってるんです」

 細野豪志「えー、ですから全体として、予算は19兆円ですから、もう既に17兆円ぐらい支出していますけれどね、それだけ膨大な予算を付けましたので、日本経済全体が破綻しないように付けたという意味で付けたというのは私は間違っていないと思っています。

 ただ、個別に言えば、あの、これはおかしいという予算がありますねえ。恐らく、ここで(ボードで)出して頂いた予算なんかは、そういう面があると思います。

 ですから、そこは徹底的にチェックして、そして、もうこれはおかしいということで、来年はもう、付けないということは当然やるべきだと思います」

 猪瀬直樹東京都副知事が民主党のどの機関が予算をチェックするのか、予算のチェック方法について尋ねる。

 細野豪志「民主党にも、それぞれ部会もありますし、行革の調査会もありますんで、その予算をチェックするという仕組みというのはしっかりと整っております。

 ただ、去年の補正予算から、えー、まあ、ホントに極めて短期間の中で、膨大な予算を付けました。その中で、党側としてもチェックを仕切れなかったところがあったと、いうふうに思うんですね」

 最初の発言から矛盾だらけとなっている。「日本経済ってものが破綻をするじゃないかという瀬戸際にあった」、「日本全国を経済的に破綻しないように、社会的にも破綻しないように予算を付けざるを得ない状況にあった」――

 被災地の経済的壊滅が(細野は「死にかけていた」と表現している。)日本全国に波及して、ただでさえ悪化し、低迷している日本経済そのものに打撃を与え、日本の脆弱化している経済全体そのものが破綻する恐れがあった。経済的にも社会的にもそうならないように19兆円という膨大は復興予算を付けた。

 だったら、波及という点で、波及阻止のために波及元の被災地復興に特化した予算付けを最優先させる必要があったはずだ。

 だが、厳密には特化していなかった。

 日本の全体的経済の悪化が被災地の「死にかけていた」経済を巻き込んで、それこそ息の根を止めてしまう恐れがあったという波及の方向を取っているとしているわけではない。 

 そのような方向を取っているとするなら、被災地復興と同時にではあるが、被災地よりも日本経済回復を優先させた、被災地復興予算を遥かに凌ぐ膨大な予算付けを行って、そのことに特化した政策の必要が出てくる。

 当然、被災地復興と関連する部分も出てくるだろうが、日本経済回復をより優先させた、被災地復興とは別立ての政策となるはずだ。

 だが、現実には細野が言うとおりに被災地から日本全体への方向を取っていた。野田首相は機会あるごとに「福島の再生なくして日本の再生はない」と言っていたが、実際は「被災地の再生なくして日本の再生はない」という状況にあったのであり、被災地から日本全体に対する波及の弁となっていることでも証明できる。

 細野の発言は出だしから矛盾だらけのメチャクチャな発言となっている。

 また、「日本全国を経済的に破綻しないように、社会的にも破綻しないように」つけた「予算」のうちにボードで示した外務省の「海外の学生との交流など約92億円」であったり、農水省の「反捕鯨団体の妨害対策約23億円」であったり、財務省の「税務署などの耐震改修工事約12億円」であったり、文科省の「国立競技場の修復工事約3億3000万円」であったり、法務省の「受刑者の職業訓練のための機械や教材整備約2800万円」であったりの予算を入れて、言っていることの正当性を得ると思っているのだろうか。

 とても破綻阻止に有効性を持つ予算付けに当たるとは思えないし、それ程大事(おおごと)の対策には思えない。思う人間がいるだろうか

 発言にこのような矛盾がありながら、細野は「当初は被災地に限定することを考えて法律を出した」が、自民党の意見を聞いて、日本全体の経済の状況を考え、復興予算のうちのいくらかを被災地限定から外した。外した予算が上に挙げた対策費や工事費というわけである。

 矛盾の屋上屋を架す発言でしかない。勿論、この矛盾は自己正当化のためであり、矛盾した論理で自己正当化を図るということは責任逃れの意識を背景としているからに他ならない。

 自己正当化は、このような被災地外の予算使途の「判断は全体としては間違っていなかった」という発言に凝縮されている。

 ウソや矛盾や詭弁を用いて平気な政治家に対して将来の一国のリーダーとして目されているという評価は倒錯そのものである。

 Web記事が取り上げている結論は1年経過して、被災地以外の日本の経済は落着きを取り戻しているから、今後は復興予算は被災地以外には使わない、被災地限定とするという、ウソと矛盾と卑劣な自己正当化と責任逃れの発言を経過させた挙句の薄汚い結論でしかない。

 さらに細野は予算の被災地外使途とは無関係の除染の予算を持ち出して、他の予算と比較して「除染に1兆円以上の差」を付けたことを自らの手柄とし、その手柄で以って被災地外の予算使途の正当化を謀るゴマカシにまで出た。

 細野豪志「環境省の役人が出してきたのはですね、100億円の予算のオーダーの除染でしたので、それで話にならないんで、ゼロが一つ、もしくは二つは違うって言ってつけて」云々。

 予算とはそういう付け方をするものだろうか。ドンブリ勘定そのものではないか。除染のモデル事業を行なっているのである。そのモデル事業でいくらの経費を必要としたかで、全体の除染事業の経費を計算して算出する方法を採るはずであり、そういった方法をとって初めて予算額は正当性を得るはずである。

 しかも、「それだけ大きな予算をつけて、業者にも大号令を出したからこそですね、除染が進んだという面があるんです」と、被災地外使途をさらに正当化しているが、野田首相は10月7日に福島第1原発視察視察後に福島県楢葉町の除染作業現場を視察して次のように発言している。

 野田首相「福島の復興・再生の基盤になる除染をスピードアップしなければならず、先程長浜環境相に指示した」(毎日jp

 これは除染が遅れていることからの指示であって、順調に進んでいたなら出すはずはない指示であろう。

 進んでもいない除染を進んでいると見せかけて、その一事で以って、「去年の状況で付けた予算というものを今から見て、ここがムダなんじゃないかと一つ一つ取り上げて、やるというのは、ちょっと状況が変わっていますので、私は、あのー、ホントに、そこは全体としてどうかなという評価は是非して頂きたいと思います」 と、自分の発言が矛盾だらけであることに気づかない将来のトップリーダーと目されている政治家の頭の程度だからだろう、さらに自己正当化の邁進に心がけている。

 猪瀬東京都副知事の質問に答えて、「去年の補正予算から、えー、まあ、ホントに極めて短期間の中で、膨大な予算を付けました。その中で、党側としてもチェックを仕切れなかったところがあったと、いうふうに思うんですね」と言っているが、チェックは党側だけの問題ではないはずだ。各省庁の大臣、副大臣、政務官の政務三役が主として行うべき役割でもあり、政府側の問題でもあるはずである。

 要するに党側も政府側もチェック仕切れなかった。

 これは責任が関係してくる大問題である。

 例えそれが「極めて短期間の中」での「膨大な予算」付けであったとしても、チェックは万全でなければならないはずだ。いい加減であっていいはずはない。だが、細野は「党側としてもチェックを仕切れなかったところがあったと、いうふうに思うんですね」と、チェックが万全でなかったことを自ら認めて、それだけで済ます無責任を示している。

 もし被災地外の予算使途の「判断は全体としては間違っていなかった」と言うなら、「日本経済ってものが破綻をするじゃないかという瀬戸際にあった」とか、「ホントーに死ぬか生きるかの生死の境を彷徨(さまよ)っていて」とか、「去年の状況とは今とは違う」とか言わずに、被災地外の予算使途を一つ一つ取り上げて、日本の経済全体と被災地の復興にどう効果があったか、その費用対効果を具体的に証明すべきであろう。

 証明できないからこその発言の矛盾であり、ウソであり、ゴマカシであり、詭弁であり、これらを使った自己正当化と責任逃れだろう。

 飛んだ将来の一国のリーダーである。

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