石原慎太郎が記者会見で選挙制度に関して小沢一郎国民の生活が第一代表をバカ呼ばわりした妄言

2012-10-26 11:01:31 | Weblog

 昨日(2012年10月25日)、石原慎太郎東京都知事の辞任・新党立ち上げ記者会見が行われた。その中で現在の選挙制度に関して妄言とも言うべき聞き捨てならない頭足らずの発言があったから、取り上げてみる。

 会見の発言を「MSN産経」記事が「詳報」として伝えていたから、それを利用するつもりでいたら、テレビの生放送と大分違っていて、かなり省略した“詳報”となっている。第2日テレ「ノーカット工房」にアクセスしてみたら、載っているから、双方を利用して発言を構成することにした。

 先ず「MSN産経」詳報)から。

 記者「次の衆院選では新党からどのくらい候補者を立てるのか。自民と連立を組むつもりはあるのか」

 石原慎太郎「いやいや、自民は過半数をとれないと思う。私は自民にいた当時、苦い思いをした人間。自民に戻らないし、戻りたくもない。

 ・・・・・・・

 新党の候補者については、この前、平沼(赳夫衆院議員)さんたちと一緒に塾を開き、30-40人を育成した。当選するかどうかは分からないけど、レベルは高かった。やっぱり日本は選挙制度が悪い。中選挙区制に戻さないといけない」――

 記事はテレビの生中継では触れていた小沢氏に対するバカ呼ばわりには触れていない。

 動画から選挙制度に関する箇所のうち、以下の発言を引用。

 石原慎太郎「だが、やっぱし、選挙制度が良くないよ。やっぱ中間選挙に戻さないとね。政治家がスケールが小ちゃくなっちゃってね。

 兎に角、この間、ある時期に橋下君が、8月か9月に、皮肉たっぷりに、『衆議員、今頃みんな盆踊りやってるいるよ』ってことでね。

 そんな体たらくになっちゃった。

 これはね、やっぱり小沢一郎と河野洋平がバカだからね、完全に間違いましたね」(次の質問に移る。)――

 小選挙区制は小沢一郎氏が政権交代を可能にするためにその実現に尽力した。

 橋下大阪市長が「皮肉たっぷりに」言っていたとしている、「衆議員、今頃みんな盆踊りやってるいるよ」とは、選挙の年、あるいは選挙が近く行われると予想される年に特にそうなのだろう、議員が地元に入って、有権者と触れ合うと称して盆踊りの場に顔を出し、一緒に踊ったりする政治文化、あるいは政治風土を指している。

 だが、このような政治文化、あるいは政治風土は何も小選挙区制に変わってから現れた風景ではなく、中選挙区制の昔からあった風景であって、それを引き継いでいるに過ぎない。

 要するにコケが生え、垢が溜まって、いわゆる大物政治家となるとやらなくなるだけの話である。自身はやらなくなっても、往々にして秘書がピンチヒッターを買って出て、ハッピを纏って盆踊り用のうちわを手にして櫓の周りを一緒になって踊りまわるといったことをする。

 中選挙区制を絶対善の如くに言い、小選挙区制を絶対悪とし、その導入に力を尽くした小沢一郎「国民の生活が第一」代表と引退した河野洋平をさも極悪人、A級戦犯の如くに扱いかい、「バカ」呼ばわりしているが、頭足らずの妄言も甚だしい。

 どのような制度にしても絶対はない。矛盾は抱えている。どちらの制度が矛盾が少ないかである。

 かつての中選挙区制は当選者が2~6人となっていて、政党が数の力を得るために一つの選挙区に同じ政党から複数立候補することになり、対立政党との戦いと同時に同一政党内の戦いとなることから、勢い政党内の有力議員の力を借りて、それをバックに選挙を有利に運ぶ構造が出来上がり、有力議員ごとの派閥が形成されて、初めて議員を志す者にしても、寄らば大樹の陰とばかりに最初から派閥の力をバックに立候補する慣習が出来上がった。

 いわば派閥の長を親分として自身を子分とする、親分子分の関係の端緒である。

 最初の段階でそういう構造を取ると、それぞれが地元選挙区内で自己を有利な位置に立たしめるために派閥を率いる有力議員の力を同じように借りて地元利益誘導を謀って有権者の歓心を買い、同一選挙区内・同一政党内の他議員及び対立政党議員との差別化を謀る戦いを相互に凌ぎ合う段階へと進み、地元利益誘導政治が肥大化していったのは見てきたとおりである。

 地元利益誘導政治は与党が最大限有利であるのは断るまでもなく、官僚が省益と辞職後の天下り等の私利私欲レベルの自己益のために協力、結果としてムダな公共事業やその他に国の財源を費やすことになり、財政赤字を増やしていった。
 
 こういった弊害ばかりではなく、政治家の政治行動自体が派閥という縄張りを基準とした狭い政治を行うようになった。

 日本が高度成長を続けている間は国民はその矛盾を深刻には受け止めなかったが、バブル景気が弾け、低成長時代になると、あるいは経済低迷時代に入ると、巨額の財政赤字の一部分をなすムダな事業やムダなカネ遣い、天下り等々の矛盾が噴き出て、そのような矛盾に否応もなく目を向けるようになり、それは多くの国民による政治不信へと高まっていった。

 そのような過程での中間選挙区制から小選挙区制への移行である。

 この移行はまた、政権交代を可能としやすいとする小選挙区制の特徴を生かして、長期政権は腐敗するの譬えを地で行った自民党一党独裁体制の腐敗にストップを掛け、自民党を野(や)に下す方策ともなったはずだ。

 結果は芳しくなくても、一度は自民党一党独裁腐敗体制を打破、民主党に政権交代をもたらした選挙制度である。

 このことのどこが「バカだ」というのか。

 「バカ」でもないのに「バカだ」という自分自身こそが、「バカ」ではないのか。

 完璧な制度は存在しない。何らかの矛盾は抱えている。また時代の変化に応じて矛盾でなかったものが矛盾に姿を変え、それが大きくなって弊害をもたらすこともある。

 その時その時で民意を汲み、民意の賛意を得てより最善と思える制度に手直ししていけばいいことで、「バカ」呼ばわりする問題ではないはずだ。

 この程度の考えしか頭にない国家主義者石原慎太郎です。

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