安倍晋三、罰当たりにも消費税増税を冗談のネタにして茶化している

2014-02-08 09:06:26 | Weblog



 インターネット上を時間潰しの散策をしていたら、作詞家の秋元康氏と安倍晋三の新春対談中の発言を取り上げて批判するブログに出会った。元記事にリンクが張ってあるから、アクセスしてみた。当のブログ記事とは違った視点で早速批判することにした。

 《【新春対談】安倍晋三首相×作詞家・秋元康氏(2)五輪契機に日本担う自覚を》MSN産経/2014.1.1 20:31)  

 秋元康「新しいものを生むときは予定調和を壊さなきゃいけない。壊すときには、違う目がすごく必要で、女性に着目したのはいいですね。当たり前のことなんですけどね、女性の進出は。でも、わざと声高に言うことは重要です。

 リニア新幹線にしても有言実行だと思いますね。言霊(ことだま)ではないですが、言うことで何か力を持つのではないかと。何か言うと責任を取らされるので、難しいことは言うまいと思うわけですよね。確実なものにしか言わない時代になったのですが、どこかで無理を超えなければいけない。

 どうなんですか、首相は。政治家としては有言実行は大変ですよね。不言実行なら、後で「ああ、すごいな、安倍さんは」となるけれども。

  安倍晋三「一般的に不言実行は美徳ですが、政治の世界は『言わなかったことをやるなよ』となりますから(笑)。民主党政権は不言実行でね。消費税を上げないと言って上げました」――

 確かに民主党政権は消費税を上げないと言って上げて支持率を失った。衆院議員任期4年後の増税であっても、マニフェスト違反にもならず、よかったはずだが、タイミングを間違えて消費税増税法案を通して、その代償として政権を失った。

 だが、野田民主党政権は先進国最悪の赤字財政再建には消費税増税を待ったなしで必要と考えたからだろう。

 先進国最悪の巨額の財政赤字を延々・着実無策に積み上げてきたのは戦後ほぼ一党独裁状態で政権を担ってきた自民党政権である。自民党政権下での二度の消費税増税でも焼け石に水で財政再建は追いつかなかった。さらなる消費税増税を必要とする財政環境をつくったのは自民党政権である。

 それらのツケが今回の消費税増税であり、自民党も賛成票を投じたことによって民主党政権の「不言実行」とは一蓮托生の関係にある。

 いわば安倍晋三が一般的な美徳に反すると批判した民主党政権の「消費税を上げないと言って上げ」た「不言実行」に自民党は手を貸し、「不言実行」を完遂させた立場にある。

 「不言実行」という諺を逆手に取って、民主党政権の「不言実行」を笑う資格がどこにあるだろうか。

 一国の首相でありながら、物事を深く考える頭がないから、冗談のネタにして茶化すことができる。罰当たりとしか言いようがない。

 罰当たりなのは民主党政権を嘲笑ったことだけではない。消費税増税に対して生活への不安を抱えている国民がどれ程いるのか、そのことが頭にあったなら、消費税増税に関してどのようなものであっても、冗談を言って茶化すことはできなかったろう。

 安倍政権は消費税増税時、生活困窮者に対して1万円程度の現金支給を方針としているが、支給された1万円の現金から日々消費税を支払っている計算となって生活費自体の余分な支払いは差引きゼロとなったとしても、元々の生活困窮者で少ない生活費を遣り繰りしてきた状況は続くことになって、長年余儀なくされてきた苦しい切り詰めた生活自体の経済的な抑圧に変化を与える1万円とはならないはずである。

 いわば生活困窮者にとって消費税増税に対して1万円現金支給で片付く消費税増税問題ではないということである。

 1月27日(2014年)放送のNHKクローズアップ現代「あしたが見えない ~深刻化する“若年女性”の貧困~」が、現在20代のシングルマザーのうち、約80%が年収114万円未満の貧困状態に置かれていて、中には幾つものパートの仕事を掛け持ちしていて、体力的にも困難な生活を余儀なくされていると伝えていた。

 1月31日総務省発表の2013年平均の労働力調査(基本集計)は 雇用者全体に占めるパートやアルバイトなどの非正規労働者の割合は前年比1・4ポイント93万人増の1906万人、過去最高の36・6%となったとマスコミが伝えていた。

 また、厚生労働省が昨年11月の生活保護受給者、生活保護受給世帯共に2カ月連続で過去最多を更新したとする発表をマスコミは伝えていた。

 企業が戦後最高益だ、過去最高益だといった儲けを手に入れる代償として雇用者の多くを不安定な非正規雇用の地位に陥れて人件費を削る倒錯した社会を、特に自民党政治がつくり出してきた。

 安倍晋三が消費税増税を冗談のネタにして民主党政権を茶化すことができたなのは、消費税が増税することになったとしても生活に何ら困らない生活余裕者の立場にいるからだろう。

 逆であるなら、生活困窮者に対する同情を持ち得たはずで、消費税を冗談のネタにしたどのような茶化しもできなかったはずだ。

 国家優先・国民従属の国家主義者だから当然ではあるが、安倍晋三は富裕層の気持は理解できても、生活困窮者の気持は理解していない不誠実な政治家だということである。

 安倍晋三が唱えている「女性の社会進出」にしても、秋元康は「女性に着目したのはいいですね」と持ち上げているが、国際機関「世界経済フォーラム」が去年発表した、 政界や経済界に於ける男女間の地位格差調査によると、日本は136カ国中105位という名誉を得ている。

 NHKの報道からの引用だが、勿論、NHKがその順位を名誉だとは表現していない。女性の研究者の割合は去年の時点で14%とアメリカやイギリスの半分にも満たないとも伝えている。

 このような男女格差状況を戦後一貫してつくり上げてきた。特に自民党政治の責任は重いはずだ。それが今になって安倍晋三は「女性の社会進出」を唱えているが、あくまでも経済向上の観点からの社会進出であって、女性の地位そのものの向上――厳格な男女平等を目指しているわけではない。

 なぜなら、今以て伝統的家族制度の中に女性を閉じ込めようとしているからだ。伝統的な家族制度は男性を上に置き、女性を下に置く男女格差で成り立っている。安倍晋三が夫婦別姓に反対する理由はここにある。夫婦別姓は男女平等の大いなる象徴の一つとなるからだ。

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