安倍晋三の「国民の生命・財産を守る」が空疎なスローガンであることを露わにした2月10日衆院予算委答弁

2014-02-11 10:36:05 | Weblog



 2月10日衆院予算委員会で海江田万里民主党代表が憲法と集団的自衛権をテーマに質問した。安倍晋三が軍事的作戦上の危機管理に無知であることを露わにした個所のみを文字起こししてみた。

 安倍晋三「日本が法的根拠に於いてシーレーンを守ることができるかどうか、具体的にどういうことが起こったときにそういう事態(集団的自衛権)が生じるかどうかについて議論を我々は行うことができたと考えています。

 例えば、ミサイル防衛に於いて日本を通過するものについては撃ち落とすことができるけれども、将来それが可能となった場合、グアム、あるいはハワイに向かっていくミサイルについて撃ち落とすことができないのか、あるいはミサイル防衛に当たって、警戒に当たっている米国のイージス艦がイージス機能を全部空に向けているときに周りの防空力が落ちる中に於いて近傍の、日本の自衛官が、例えばイージス艦がそれを守るのかどうかという議論、そういうそれぞれの個別的な議論を今進めているところでございまして、そういう議論が終局に至って結論を得た段階で、先程申し上げたようなプロセスに入って行きたいと思います」

 「先程申し上げたようなプロセス」とは懇談会(集団的自衛権を含めた今後の安全保障問題を議論する安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)の最終報告を自民党で議論し、そこで纏まった案を内閣で議論、法案として提出するプロセスを言っている。

 海江田万里「総理の言っていることは荒っぽいんですよ、本当にグアムにミサイルが飛んでいくって言うけども、そのときにグアムやハワイの米軍基地に飛んで行く時は、そのミサイルがどこから発射されるか分かりませんけれども、やはりアジアの方から発射されるとしたら、その前にある在日米軍基地はどうなるのか、在日米軍基地に一切手付かずでハワイやグアムに直接ミサイルが飛んでいくとは思えないし、それがイージス艦がですよ(安倍晋三が首を大きく傾げて笑う。)、いや、そういうことはないですよ。

 そしてイージス艦にしたってですね、イージス艦というのはそもそも防空の護衛艦が巡洋艦なんです(?)。あの八角形のレーダーで以って200の目標を捕らえることができるんです。実際にミサイルを撃てるのは(聞き取れない。)艦ですよ、はっきり言って。

 しかもそういう精度の高い、しかもアメリカは90隻ぐらいイージス艦があって、今、米軍の太平洋と大西洋で大体55ぐらいでやってるんですから。日本、何隻イージス艦がるかご存じですか」

 小野寺防衛相「6隻でございます」

 安倍晋三「先程ですね、どう相手が行動するかっていうのが分からないから、これは大変なのですよ。これは国際政治、あるいは安全保障でですね、こちらが予めですね、相手の思惑を決めて防衛政策を立てるんだったら、こんな簡単で安易で危険なものはないと、私は言ってもいいと思いますよ。

 予めここはここでしないんだ、予めここはここでしなんだ(身体を左、右と向けて、手で掴むジェスチャーをする。)、ということはあり得ないわけでありまして、それはまさにですね、どういう行動を取るかは分からない、わけであります。

 そしてそんな中に於いて私たちは国民の生命・財産をしっかりと守っていく必要があるわけでありまして、今おっしゃったようにグアムやハワイを攻撃する可能性はないんだ、それはあなたはそっちの国の指導者ではないんですから(委員席から大笑いが起きる。)。それは民主党のリーダーであることは認めますよ。

 ですから、そこはあり得ない話であります。そしてまた、イージス艦の議論についてもですね、イージス機能についてはですね、飛んでくるミサイルについて対応するということは、イージス機能を上に向けてででありまして、そこでですね、そこで、イージス艦の配置について、今50隻と、50隻がですね、今50隻が日本海にいるわけでは勿論ありませんし、広いアジア・太平洋の中でどういう展開をするかということについてはこれはいわば軍事上の話でありますから、 勿論ここで申し上げることはできませんよ。

 しかし日本のイージス艦が少ないから、アメリカが関係するかということは、また別の話でありまして、日本に向かってミサイルが発射される可能性がある中に於いて、日本のイージス艦が主体的にイージス機能を使ってやっていくんですよ。

 しかしそんな中に於いて、米国もですね、米国も、日本のイージス艦とリンクできる中に於いて、共同で対処できるのであれば、これは極めて合理的になるわけであります。そしてそん中に於いてですね、米国の艦船がどいう役割をする中で、例えばゾーンデフェンス、今実際やっているわけで、実際やっているわけですね、我が国も海賊対処でやっているわけでありまして、まさにゾーンデフェンスをですね、日本海、あるいは太平洋で行うことができる。

 ちゃんとリンクされて、ということでありまして、そういう意味に於いて、まさにそういう意味に於いてまさに起こり得る可能性というのは極めて高いということであります。

 日本のイージス艦が少ないからですね、米国は日本を全く当てにしていないということではなくて、まさに日本事態になる可能性がある中に於いてですね、ある中に於いての可能性を言っているわけでありまして、そして今海江田委員が言われたように、その可能性、それが排除されるわけではないことを申し上げておきたいと思います」
 
 海江田万里「私はハワイやグアムにミサイルが飛んでこないと言っているのではなくて、その時は当然のことですけれども、日本に飛んでくるんじゃないのかということを言ってるんですよ。

 それからさっきのイージス艦の話だって、これは共同でやっているわけですから、自衛隊法95条をわざわざ新しくしたんじゃないですか。それでできるんですよ。そういうこともこれから議論していけば、(安倍晋三がまた首を傾げる。)いやできるんですよ」

 ここで海江田代表は、安倍晋三がこれまで憲法9条との関係で集団的自衛権はあるが、使うことはできないと言ってきたが、それを内閣法制長官を代えて解釈変更で個別的自衛権から集団的自衛権の行使可能とするとしているが、立憲主義に基づいて国会が議論しなければならない問題を首相の私的諮問機関で行っていることは総理大臣に対して憲法が厳しく縛りをかけている関連法との関係でどういうふうに考えているか、正面から答弁して貰いたいと迫る。

 安倍晋三「先程私が指摘したのはですね、先にじゃあ、ハワイとかグアムに対して撃たないということは否定していないけど、その前に日本に必ず落とすはずだ、しかし前か同時にか落とすはずだというのもですね、相手国のですね、指導者の判断ですから、それを海江田さんが決めるんじゃなくてですね(皮肉っぽく笑いながら)、それは某国の指導者が決めることであって、それに対してそれは常識でも何でもないですよ。外交では様々なことが起こるんですね。

 我々はそれができないという中に於いて日米同盟が危うくなることをやるかもしれないじゃないですか。それは常識として十分に蓋然性のあることであって、これぐらいのことを考えられないとすれば、この私は指導者としての資格はないと言わざるを得ないと思いますよ。

 安倍晋三は立憲主義との関係に関しては、立憲主義とは憲法に則って政治を行うことではるが、安全保障環境が変わっている中で平和や安全等の生存の権利まで憲法が否定しているのかどうか議論を進めなければならないと答弁。

 最後は少々端折ったが、説明しなくても、安倍晋三の軍事的作戦上の危機管理に無知を露わにした答弁内容となっている。

 先ず安倍晋三が集団的自衛権行使の一つの例としてグアム、あるいはハワイに向けて発射されたミサイルを自衛隊が撃ち落とすことができないのかと発言したことに対して海江田代表が、敵国がハワイやグアムに向けてミサイルを発射する前に在日米軍基地への攻撃の可能性に言及した。

 多分、海江田代表に「総理の言っていることは荒っぽいんですよ」と言われたことにカッとなったのかもしれない。だが、カッとなること自体、危機管理対応の資格を失う。

 安倍晋三は海江田代表の言うこととは反対に在日米軍に一切手付かずでハワイやグアムにミサイルが発射される可能性に拘泥する。

 安倍晋三「先程ですね、どう相手が行動するかっていうのが分からないから、これは大変なのですよ。これは国際政治、あるいは安全保障でですね、こちらが予めですね、相手の思惑を決めて防衛政策を立てるんだったら、こんな簡単で安易で危険なものはないと、私は言ってもいいと思いますよ。

 予めここはここでしないんだ、予めここはここでしなんだ(身体を左、右と向けて、手で掴むジェスチャーをする。)、ということはあり得ないわけでありまして、それはまさにですね、どういう行動を取るかは分からない、わけであります。

 そしてそんな中に於いて私たちは国民の生命・財産をしっかりと守っていく必要があるわけでありまして、今おっしゃったようにグアムやハワイを攻撃する可能性はないんだ、それはあなたはそっちの国の指導者ではないんですから(委員席から大笑いが起きる。)。それは民主党のリーダーであることは認めますよ」――

 「どう相手が行動するかっていうのが分からないから」、軍事的作戦上の危機管理が存在する。敵の不測の攻撃に備えてその攻撃の方法を予測し、想定して複数パターン化して備える。想定外の攻撃だったなら、実際に起こった攻撃に対応した迅速・的確な防御方法を構築し、機動的に対処していくことをも予想し、想定して備える。

 また、一度予測・想定してパターン化した軍事的作戦上の攻撃と防御の危機管理は固定化させるのではなく、状況に応じて柔軟且つ臨機応変にパターンを少しずつ変えていくこともするはずだ。

 いわばあらゆる可能性・危険性を予測・想定して備える。

 当然、軍事的危機管理上、敵国がハワイやグアムに向けてミサイルを発射する前に在日米軍基地を攻撃する可能性を予測・想定しているだろうし、その逆の在日米軍に一切手付かずでハワイやグアムにミサイルを直接発射される可能性も予測・想定しているはずだ。

 安倍晋三はこういった軍事作戦上の危機管理を読み取ることができたなら、「相手の思惑を決めて防衛政策を立てる」といった危機管理が存在しないことは前以て承知していなければならないことであって、そうである以上、「相手の思惑を決めて防衛政策を立てるんだったら、こんな簡単で安易で危険なものはない」などという言葉は口をついて出ないはずで、こういった言葉を吐くこと自体、危機管理に無知であることを曝したことになる。

 しかもミサイル発射等の攻撃は「相手国のですね、指導者の判断ですから、それを海江田さんが決めるんじゃなくてですね、それは某国の指導者が決めることであって」と言うことで、軍事的作戦上の危機管理が存在しないかのような、あるいは機能しないかのような詭弁まで用いて、海江田代表の発言を否定しようとしている。

 これぐらいのことを考えられないとすれば、まさに安倍晋三は指導者としての資格はないと言わざるを得ない。資格がないとなれば、「私たちは国民の生命・財産をしっかりと守っていく」の言葉にしても、単に口先だけで言っているスローガン化させた国家・国民の安全保障だと批判せざるを得ない。

 果たして安倍晋三という指導者に日本国家を任せることができるだろうか。甚だ怪しい。

コメント (2)
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