籾井会長の全理事に対する日付欄空白辞表提出強制の権威主義性も問題だが、理事全員提出の無条件従属も問題

2014-02-26 11:15:09 | Weblog

 

 籾井NHK会長が会長就任当日の1月25日に臨時役員会を開いて、NHK理事10人全員に日付空欄署名捺印させた辞表を提出させていたと各マスコミが2月25日付で伝えている。

 イキサツを詳しく知りたいと思って、衆議院インターネット審議中継から動画をダウンロードして文字に起こしてみた。2月25日衆議院総務委員会での福田昭夫民主党議員と籾井会長の遣り取りである。 

 福田昭夫「NHK会長としての今回の人事権行使の狙いについてお聞きします。1月25日の(会長)就任初日、臨時役員会を開いて、理事全員に辞表を求めたと報道がありますが、これはほんとうですか、会長」

 籾井勝人NHK会長「本件はまさしく人事のことでございますので、私としてはコメントを差し控えさせて頂きたいと思います」

 福田昭夫 「籾井会長、そう簡単に人事のことだからと言って、あなたが否定することはできないんですよ。多くのマスコミが籾井会長が就任初日に理事らに辞表を預けるように求めて、会長の人事権を強調していたいたことが、2月22日に複数のNHK関係者への取材で分かった、と。

 現在まで任期途中で辞任した理事はおらず、辞表は籾井会長が預かっていると見られる、関係者によると、当日、あなた方は前の会長が選んだ、今後の人事は私の遣り方でやると、いう趣旨の発言をして、辞表を預けるよう出席者に求めた。

 そうですね。多くのマスコミが報道しております。是非お答え下さい」

 籾井勝人NHK会長「多くの新聞とおっしゃいましたが、そういう新聞がどこから、どういうふうな ニュースを察知されたか知りませんけれども、私としてはやはり、人事は非常に重要なポイントでございまして、それをこの場でですね、新聞をベースにコメントするわけにはいかないと思います」

 福田昭夫「それでは最後に聞きますね。国会でウソをついて辞職に追い込まれた会長をご存じですか」

 籾井勝人NHK会長「お答え致します。私としては確認をしておりません」

 福田昭夫「逆にですね、国会軽視の虚偽答弁をして引責辞任に追い込まれた実力会長がおりました。籾井会長、マスコミ各社の報道にありますように、内部情報が洩れてくるということは、既に籾井会長がNHK内部で信頼されていないという証拠ですよ。これ、どう思いますか」

 籾井勝人NHK会長「お答え致します。まあ、色んな組織に於いては色んな意見があると思います。しかし我々は、今からNHK職員、経営者、一丸となってですね、よりよいNHKのために最大限の努力をして参りたいと思っております。どうぞよろしくご理解ください」

 福田昭夫「どうも答えないようでありますが、最後にまた聞かせて貰いますが、理事の任期は省略して、理事の任期満了前に辞表の提出を求めた会長はあなたが初めてだそうであります。

 歴代の会長で辞表を提出しろと求めた会長はいなかったそうじょありませんか。どう思いますか」

 籾井勝人NHK会長「お答え致します。そういうことは確認しておりません」

 福田昭夫「籾井会長、聞いておりますか。あなたが初めてなんですよ。こんな強引なことをやるのは初めてだと、聞いてないんですか。

 それではね、経営委員長、浜田経営委員長、予告はしておりませんが、お伺い致します。放送法第27条、第3項で、副会長及び理事は経営委員会の同意を得て、会長が任命するとあります。浜田委員長はこの辞表を預かったことを承知しておりますか」

 浜田NHK経営委員会委員長「そのような報道があるということは承知をしております。会長に委任している業務執行に関することなので、経営委員長としてはコメントを差し控えさせて頂きたいと思います」

 福田昭夫「浜田委員長、じゃあ、籾井会長から相談されていないんですか、相談されているんですか。どうですか」

 浜田経営委員長「先程申し上げましたように会長の業務執行に関わる判断ですので、相談は受けておりません」

 福田昭夫「浜田委員長、おかしいじゃありませんか。放送法第27条、第3項で 副会長及び理事は経営委員会の同意を得て会長が任命するんですよ。浜田委員長が同意しなければ、任命できないのですよ。

 そしたら、しっかり人事権に同意をする人が知らないでやってるんですよ。それを許すんですか、あなたは」

 浜田経営委員長「えー、理事の任命に当たりましては、経営委員会の同意を、(福田昭夫)委員のご指摘のように得る必要がありますので、経営委員会としては個別の人事が提案された時点で適切に判断してまいりたいと思っております」 

 福田昭夫「では、相談を受けていないということですね。初めてなんですよ。こんなことをやった会長は。

 次は(高木総務委員会)委員長、それではですね、副会長、専務理事、理事、お一人お一人に辞表を既に提出したのかどうかですね、お伺い致します。みなさんもですね、会長とおんなじで、ウソの答弁すると、引責辞任するようになりますから、正直に答えてください。

 しかもですね、いずれ時期が来ればですね、全てが分かってしまうんですよ。ですから、ここはしっかりと正直に答えて頂きたいと思います。じゃあ、副会長から順にですね、お一人お一人簡潔答えて下さい。イエス・ノーで結構です」

 堂本副会長「お答え致します。私は今月の12日に副会長に就任致しました。えー、現時点で辞表は提出しておりません」

 塚田専務理事「私は辞表届は辞任の日付は空欄のまま、記入せずに署名捺印し、提出致しました」

 吉田理事「私も日付を入れない形で辞任届を提出しております」

  以下全ての理事が同じ趣旨の答弁。

 福田昭夫「副会長、専務理事、理事の皆さん、ご苦労さまでした。これ、籾井会長のウソがはっきりとしましたね。辞表はきちっと提出されると (「ウソがはっきりとした」という言葉にヤジが飛ぶ。)

 (ほんの暫く間を置いて言い直す。)それでは、要するに正直じゃないということですね。それでは次の質問に入りますけれども、2月に任期切れの二人の理事は再任されたと聞きますけどもどうして認めたのですか。籾井会長、その理由を答えて下さい」 

 籾井勝人NHK会長「お答え致します。ちょうど会長の交代時期が1月25日でご ざいます。この日は3月末というNHKにとりまして非常に大事な日にちを控えております。そいう中でですね、やはりこの二人の専務理事の力というものは必要だと、いうふうに感じてですね、2月9日に、あ、ごめんなさい。2月ですね、任期が切れる二人の専務理事には、えー、尽力してほしいと、いうふうに思いました」

 福田昭夫「籾井会長、次の質問に入りますけどもね、今年の4月24日、または来年の4月24日には専務理事、理事の多くが任期満了となるわけでありますけれども、全理事に任期満了前にですね、辞表を提出させた理由は何ですか」

 籾井勝人NHK会長「お答え致します。これまた人事上の問題でございますので、私としてはコメント差し控えたいと思います」

 福田昭夫「籾井会長、会長はですね、自分の考え(就任記者会見での慰安婦発言など)は先程発言は取り消したと、自分の考えは変えていないんですが、もう一度答えてください」

 籾井勝人NHK会長「お答え致します。何度も同じ答で申し訳ありませんが、私は1月25日の不適見解・不適発言について取り消しを致しました。発言したことを取り消しました」

 福田昭夫「籾井会長、自分が発言したことは取り消したと。考え方は変えていないわけですね。そうするとですね、いいですか、辞表を提出させて、人事権を行使すると言うことはですね、俺の考えに従った放送をしろ、ね。俺の言うことに従え、俺の考えに添った放送をしろと、同じ意味になるんですよ。

 ですから、自分の考えは放送に反映されることはないと、いくら籾井会長が言っても、人事権を持っている人がいつでもお前をクビにできるんだぞと、こういうですね、権力を行使したら、籾井会長に誰も逆らう人はいなくなるんですよ、籾井会長。

 ね、ですから、籾井会長がいくら自分の考えを放送に反映させることはないと、言っても、それは通用しないんですよ。如何ですか」

 籾井勝人NHK会長「何度も申し上げておりますが、個人的な発言は既に取り消させて頂いております。また、これは何度も申し上げておりますが、個人的な見解を番組に反映させることはないと。

 あー、放送放任基づきまして、私どもはNHKをやっていくつもりでございます。えー、公平公正・不偏不党・表現の自由を確保しまして、適切に放送を行っていく所存でございます」

 福田昭夫「いくら籾井会長がそう言っても、私は組織を動かした経験がある。市長・知事、首長として。人事権のある人に逆らう人は左遷されるか、どうかなる。

 籾井会長が人事を振りかざせば、NHKの内部でまさに民主主義がなくなるんですよ。放送法が籾井会長がまさに守ると言っている、公共放送がですね、不偏不党・公平公正、編集権の独立、これが脅かされることになるんです。

 籾井会長、それを自覚しておりますか」

 相変わらずののらりくらりの暖簾に腕押し、糠に釘の籾井会長の答弁で、キリがないから、この辺で切り上げることにした。 

 「NHKの経営委員会によって任命される会長は、理事を罷免する権限を持っているが、それは職務義務違反などがあった場合に限られる」と「FNN」が解説している。

 ということは、籾井会長が理事全員に対して日付欄空白の辞表提出を強制したことは「職務義務違反」等の理事自身の不適格性を基準としない、慣例にはない提出の強制となる。

 もし「職務義務違反」等の理事自身の今後現れるかもしれない不適格性を考えて堤出を強制したとしたら、確かに不祥事を起こしそうでない人間が不祥事を起こして考えられない不適格性を示すこともあるが、前以て不適格性が現れそうだと理事に採用しているわけではないから、今後現れ得る不適格性を考えての辞表堤出は人格・人柄を理由もなく、あるいは根拠もなく疑ったことになって、人権問題に発展する。

 当然、不祥事等の不適格性を基準としない堤出の強制だったことになる。

 では、何を基準に辞表を提出させたのだろうか。辞表堤出を強制するとき、「あなた方は前の会長が選んだ、今後の人事は私の遣り方でやる」と言っている以上、自身の基準を頭に置いていたはずだ。

 福田議員はそれを答えさせるべきではなかったろうか。

 職務義務違反等の放送法の基準やNHK内部規定の基準に違反することは、それらの基準をNHK会長は体現していなければならないから、NHK会長の基準に対する違反ともなる。

 だが、そのような不適格性を基準としていない辞表届の強制は別の基準違反を全理事に想定していたことになる。その基準に反した場合、空欄となっていた日付欄に日付を書かせて辞任して貰うぞとしたのである。

 考え得る基準は、歴史認識に関わる発言は取り消したが、考え自体(=歴史認識自体)は変えていなとしているところからしても、1月25日の就任記者会見で発言した歴史認識を措いて他には考えられない。 

 籾井会長が2月任期切れの二人の理事は再任させた問題だが、1月25日就任当日に日付空欄の辞任届を提出させながら、2月に入って、2月任期切れの二人の専務理事の再任を決定した。

 再任の適格性を経営委員長その他に尋ねたのだろうか。例え二人と面識があっても、NHKでの能力評価に関してはNHK経営委員会委員長や理事会副会長、専務理事その他に聞いてみないことには分からないはずだ。

 相談したかどうかも問題となる。もし相談しないまま客観的な適格性判断の手続きを踏まずに自分一人の判断で決めたとなると、どのような適格性を基準として再任を決め、理事会に承認を求めたのかも追及すべきだったろう。

 なかなか正直に証言しないだろうが、情況証拠は歴史認識を適格性の基準としている。

 籾井会長の日付欄空白の署名捺印させた辞表届の、自身の強い立場を利用して相手を無条件に従わせた権威主義的な強制も問題だが、強制されて異議申立てもせずに言いなりに無条件に従って提出した全理事の下の地位に位置する者の権威主義的な従属性も恐ろしい。

 いわば思想・信条の点で対等な地位を築く術を持たなかった。

 このような術を持ち合わせていなかったために、戦前の日本の報道機関全てが日本軍大本営の国賊・非国民の威嚇性を持たせた権威主義に屈して御用報道機関に成り下がった。思想・信条の点で対等な地位を築くことのできない血を、少なくともNHKの理事たちは民主主義の今の時代にも引き継いでいる。

 これがNHK全体を覆わない保証はない。敵は安倍晋三を頭目としているのである。


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