安倍晋三の「国民の生命・財産を守る」が口先だけと分かる今回の大雪被害対応遅れ

2014-02-27 10:26:00 | Weblog




      《生活の党PR》


      《2月24日(月) 鈴木克昌代表代行・幹事長記者会見要旨

      【質疑要旨】
      ・徳田毅衆議院議員辞職に伴う補欠選挙について
      ・みんなの党、党大会での保守政党宣言について
      ・大阪市長選挙について
      ・東日本大震災からの復興に関する議論について
      ・結いの党との合流報道について    

 2月14日から降り始めて2月16日にかけて観測史上最大の積雪量、あるいは記録的降雪量を各地にもたらした大雪は交通遮断や孤立集落をつくり出し、農業被害額が2月24日までの推計で栃木、群馬、埼玉、東京、山梨、長野の1都5県で計約621億円に達したとマスコミが伝えていた。

 その他にも和歌山とか静岡とか、周辺自治体でも被害を出している。

 政府が豪雪非常災害対策本部を設置したのは2月18日午前10時半で、フジテレビの「新報道2001」が伝えていた、山梨県で2月14日に降り始めた雪が2月15日午前9時には143㎝の積雪量に達した3日後の迅速さである。

 この一点を見ただけでも、「国民の生命・財産を守る」の約束が怪しくなる。

 首相官邸は各地の積雪量をリアルタイムで刻々と把握するだけの危機管理能力を持ち合わせていなかったのだろうか。特に国交省管轄の中央自動車道は多くの車両が雪で立往生、車内に閉じ込められ、2月25日のNHK「クローズアップ現代」が、閉じ込められた一人の話を、「2月14日夜から25時間閉じ込められ、死の恐怖を感じた」と伝えていた。

 別の男性は72時間以上立往生したと証言している。

 午後8時に大雪のために大月インターチェンジ下り線が通行止め。車両が国道20号線に流れたが、雪は中央自動車道のみに降るわけではない。ほぼ同じ量で国道20号線にも降る。大月インターチェンジより西側が雪で通行不能となれば、それ以上に早く国道20号線は通行できなくなるはずだ。

 除雪体制が高速道よりも一般国道の方が劣るからでもある。にも関わらず、中央自動車道の入口の八王子インターチェンジを交通止めにしたのは大月インターチェンジ下り線交通止めの8時よりも2時間半遅い午後10時半だと上記NHK「クローズアップ現代」が伝えていた。

 要するに大月ンターチェンジと八王子インターチェンジはリアルタイムの情報交換を行っていなかった。当然、大月インターチェンジ付近の交通状態の情報を共有していなかった。

 車両立ち往生の長時間化は中央自動車道の場合は積雪量と比較して過剰な台数を流入させ、除雪作業をより困難にさせたことに原因がある。立ち往生の車両が少ない程、除雪が早く済み、より短時間に交通を再開できるからなのは断るまでもない。

 だが、中央自動車道の交通止めによって一般国道や一般道に流れて雪に閉じ込められた車両の立ち往生長時間化は除雪体制の不備にあったはずだ。今回普段は大雪が降らない地域が大雪に見舞われることになったために満足に除雪車両を装備していなくて、大雪が降る他県から除雪車両の支援を受けた自治体が多く存在する。

 但し、NHK「クローズアップ現代」での中央自動車道のホイールローダーを使った除雪作業を見ていると、作業のまずさに気づいた。停車した先頭の車両まで除雪していくと、ホイールローダーが車両の進行を妨げるために取り除いた雪が積み上げあてある道路左右のうち、車両進行方向の左側個所にホイールローダーが雪を取り除いて車両の一時退避スペースを拵え、そこに車2台を退避させてから、ホイールローダーが次の先頭車両まで進んで、その間に退避していた2台が退避スペースを出て走行していくという方法を取っていた。

 例え乗用車であっても、2台が並んで駐車する幅よりも、ホイールローダーの幅の方が狭い。ホイールローダーは大型で幅3メートル以内。普通乗用車は1台1.8メートル以内、2台駐車させるとなると、4メートルは雪を取り除かなければならない。

 ホイールローダーの雪掻きによって2台の車両が動くことができるなら、なぜホイールローダーが退避スペースに退避して、2台を直ちにその場から走行させる方法を取らなかったのだろうか。退避スペースを作る時間も短縮でき、車両の走行もより早くできる。

 また、先頭の車が動くことができれば、後続の車との間にはそれ程雪は積もっていないはずだ。自力で走行できない程に雪が邪魔していたとしても、ホイールローダーが牽引すれば、動かすことができる。

 除雪作業で牽引ロープ、もしくは牽引ワイヤを用意していないはずはない。ホイールローダーが車を傷つけないように慎重に車両前面ギリギリにまで馬鹿正直に除雪する時間よりも、牽引ロープや牽引ワイヤは両端にフックがついていて、簡単に操作ができ、簡単に牽引ができる。結果として時間節約ができ、道路再開がより早くなるはずだ。

 「新報道2001」で、「重機が来るのが遅い」という声を伝えていた。自衛隊のヘリコプターが孤立地域に物資を輸送したニュースは目にしたが、重機を運搬したニュースは目にしていない。なぜ緊急的に重機を必要とする地域に自衛隊のヘリコプターを使って運搬しなかったのだろうか。

 以下は以前ブログに書いたことを再度ここに記すが、2008年5月12日に発生した四川大地震ではロシア製大型ヘリコプターM-26型(最大吊り下げ重量20トン・世界最大)とM-17型(最大吊り下げ重量3t)が重機の運搬に用いられた。

 1カ月後の2008年6月14日岩手・宮城内陸地震による土石流の直撃で温泉宿「駒の湯温泉」の倒壊建物内に生き埋めとなった7人の宿泊客等に対する自衛隊員・レスキュー隊員の救出は「道路の寸断等が理由で重機を入れることができないために手作業で作業を行わざるを得ず、救出が捗っていない」と新聞が伝えていた。

 いわば中国当局がしている大型ヘリによる重機運搬を日本ではできないとしていたのである。少なくとも、「道路寸断」をクリアできる唯一の方法、重機の空輸を1週間以上、できないとして手をこまねいていた。

 6月14日地震発生から12日後の6月26日になってやっと「駒の湯温泉」現場に自衛隊ヘリによって重機搬入が行われたことを言う。

 福田内閣時代のことである。それまで自衛隊員がスコップを使って手作業で土石流を取り除いていた。結果として、生き埋めとなった7人が死亡している。「国民の生命・財産を守る」の一つの結果でもある。

 日本の自衛隊はアメリカ軍が使っている大型ヘリコプターCH-47チヌークを所有している。最大12.7tの貨物を吊り下げることができるそうだ。標準バケット容量2.0立方米、運転質量(運転している状態での車体重量)10.29トンのホイールローダーなら、十分に吊り下げることができる。

 ホイールローダーは掘削用のユンボよりも小回りが効き、一般的な大型ユンボのバッケト容量0.7立米よりも中型で2.0立米と、バッケト容量も遥かに大きい。

 上記「新報道2001」に古屋圭司防災担当相が出演していて、次のような大雪危機管理を得意気に話していた。

 古屋圭司「つい先日、ある豪雪地帯の知事がこういう提案をしました。あまり雪が降らないところはマンパワーも普段から用意していたら、これは費用がかかりますよね。国土強靭化の考え方の一つに、平時に活用できて、有事の際にはその機能を発揮するというのがありますが、そうしたら、そうした豪雪地帯の人だけは予めですね、もしそういうあまり雪の降らない所で起きたら、そういうものをチームを組んで、予め派遣できるシステムを(つくっておいて)、そしたら、派遣した方にもちゃんと(財政)支援するというシステムを作っておけば、地方公共団体も、安心して、そういうルール作りができる」――

 今さら豪雪地帯の知事の提案を受けなければ対策システムを考えることができない危機管理能力となっている。防災担当大臣である古屋圭司がこんな考え方をしているということは安倍内閣全体がこの程度の危機管理能力しか備えていないということであろう。

 この程度で、「国民の生命・財産を守る」と機会あるごとに吹聴する。

 自治体同士の連携はNHK「クローズアップ現代」でも紹介していた。

 だが、見逃していることが一つある。大雪が降ると、土木工事は一般的には中止となるということである。いわば土木会社の重機と人員も重機レンタル会社の重機も遊休状態となる。わざわざ離れた自治体から重機と人員を派遣して貰わなくても、土木会社の重機と人間、重機レンタル会社の重機を災害が発生した場合の出動契約を結んでおけば、出動費用は割高になっても、年間通して必要となる維持費よりも少なくて済むし、短時間で作業にかかることができる。

 但しホイールローダーを自前で所有している土木会社は殆ど無く、レンタル会社に頼ることになるが、各地にレンタル会社はいくつもある。不足した場合のみ他の自治体の応援を頼めばいい。

 ヘリコプターで重機を運搬する件だが、これもかなり前にブログに書いたことだが、2006年2月22日に当時の「災害時緊急支援体制検討委員会」が『大震災・大事故に当たり、迅速な人命救助・被災地復興支援のため、全国主要地に予め基地を設け、救援する具体策を提案する』とした提案書を同じく当時の安倍晋三内閣官房長官に提出している。

 内容は、災害発生時に「瓦礫に埋もれている人を出来る限り短時間に救出するため、自衛隊所有の大型ヘリコプターで(組立てなしの)12トン前後のハサミ重機を、被災現場に空輸する。」ためとしている。

 2006年2月22日の提案でありながら、2008年6月14日岩手・宮城内陸地震では、自衛隊ヘリコプターによる重機運搬と搬入は12日後となり、東大日本大震災では、今回の大雪被害では自衛隊ヘリが物資運搬に利用されたが、吊り降ろす方法での物資運搬にも利用されず、道路が交通可能になってからの陸路運搬・搬入となっている。

 この証拠に河野太郎のブログを紹介する。 

 《自衛隊のヘリから物資を投下する?》(河野太郎公式サイト/2011年3月22日 00:21)
 
自民党の対策本部によく来る問い合わせの一つが「日本には空中から物を投下してはいけないという法律があるので、自衛隊のヘリから物資の投下ができない。なんとかしてくれ」というもの。

対策本部にいたヒゲの隊長こと佐藤正久参議院議員(元一等陸佐)に、なんとかなりませんかと尋ねると、隊長、首をひねる。

「河野さん、なんで自衛隊のヘリから物を落とすの。ヘリが降りればいいじゃない。」

「でもよくニュースなんかで、ヘリから物を落としているシーンありますよね。」

「それは固定翼、飛行機からでしょ。ミサイルで狙われるようなところは飛行機で行って上空からパラシュートで投下するけど、今回は違うでしょ。」

ことら大尉こと、宇都隆史参議院議員(元一等空尉)が詳しく説明してくれる。

「日本の航空法89条は空中からの物件の投下を禁止しているけれど、自衛隊は適用除外。今回の支援でヘリから物資を投下しているかといえば、していない。なぜならヘリを降ろして積み卸しをしているから。

自衛隊のヘリが物資を投下する方法は二つあって、ひとつは低速前進しながら後部ハッチを開け、機首を上げると物がハッチから連続して滑り落ちていく。これは滑走路のような場所でやるが、今回はなかなかそんな場所がない。

二つめは、大きな網の中に物資を入れて機体の下に吊す。低空でホバリングしながら降ろすことはできるが、これも今回、着陸して積み卸しができるので、あまり意味がない。

物資の投下は固定翼(飛行機)でよく行うが、気象の安定と落下ポイントにかなり大きなエリアが必要になり、その場の安全の確保も必要になる。投下した物をどうやって回収するのかも問題。物が壊れないように特殊な梱包なので普通の人では開封できない。もちろん地上の誘導員も必要になる。」

航空法があるから自衛隊が物資の投下ができず、被災地に物が届かないというのは、どうやら都市伝説のようです。

ちなみに、3月18日までに、国交省は、警察や消防などによる救援活動に従事する航空機を対象に航空法89条の適用除外にしています。民間の小型ヘリならば、物資を投下する場面が出るでしょうか。

 当時のブログに、〈ヘリは「着陸して積み卸し」するものという固定観念があるようだ。〉と書いた。

 ヘリをホバーリング状態にして空中停止させて、ロープで吊り降ろしすれば可能だという発想がない。兵士をロープで吊り降ろし、釣り上げる訓練があるはずだ。

 だが、今回の大雪災害では自衛隊ヘリコプターが物資輸送に利用されたものの、重機運搬を伝える記事に出会っていない。

 東南海地震等が言われている。自衛隊の大型ヘリコプターを使った大型重機や救援物資の運搬・搬入を、「国民の生命・財産を守る」の言葉を少しでも実行可能とするためにも自然災害発生時の日常的行動としなければならないはずだ。

 このことの裏を返すと、2006年2月22日に自衛隊大型ヘリによる大型重機運搬の提案を受けながら、日常的に実行可能とする体制づくりを放置していたことも考え併せると、安倍晋三がいつも掲げている「国民の生命・財産を守る」は依然として口先で終わっているということになる。

 提案にあるように〈全国主要地に予め基地を設け全国主要地に予め基地を設け〉る必要はない。既に書いたように土木会社所有や重機レンタル会社の重機を借り受ければいいことである。

 今回の安倍内閣の大雪被害に対する対応の遅れは危機管理意識の希薄性に対応した即応体制の不備である以上、この不備は安全保障でいくら偉そうなことを言っても、軍事的安全保障面にも反映される即応体制の不備となって現れるはずだ。

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