生活の党PR
《鈴木克昌代表代行・幹事長の2014年1月29日衆議院本会議代表質問全文》を生活の党HPに載せています。関心のある方はアクセスしてみてください
1月30日(2014年)の参議院本会議。安倍晋三の施政方針に対する2日目の代表質問。
安倍晋三「アメリカとの関係では、これまで首脳レベルを含むさまざまな機会に日米が緊密に協力し、世界の平和と安定に貢献していくと表明してきている。日米同盟は揺るぎないもので、靖国神社参拝に影響されることはない」(NHK NEWS WEB)――
〈安倍晋三がアメリカ政府の控えるよう前以ての要請を無視して12月26日靖国参拝を強行したのに対して在日米大使館が同日12月26日、「近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに米政府は失望している」(TOKYO Web)との声明を出した。〉と、1月4日(2014年)の当ブログ記事に書いた。
在日アメリカ大使館の声明であったことから、日本政府は安倍晋三の靖国神社に対して一定の配慮を示したと受け止めたが、同じ12月26日、〈サキ国務省報道官が在日米国大使館声明と同内容の声明を発表、「失望」は米政府の態度であることを表明、日本政府の一定の配慮との見方を否定することになった。〉と付け加えた。
但しアメリカ政府は日米関係に変化がないことを表明。
このことに勇気づけられたのか、安倍晋三は「日米同盟は揺るぎないもので、靖国神社参拝に影響されることはない」と、心理的には胸を張って堂々の主張を展開している。
だが、アメリカが必要としているのは米軍の駐留を可能とする日本の国土と日本国土に米軍の駐留を認める政権であって、当面、駐留を認めない政権の樹立は想定外としているのだから、駐留継続は各政権を超えて予定調和の状況となっていて、そうである以上、安倍政権そのものを必要としているわけではないことになる。
いわば日米同盟は安倍政権とのみ結んでいるわけではなく、歴代政権が継続している日米同盟であって、安倍政権以降の政権も継続する日米同盟の状況にある。
アメリカにとってそうであるなら、安倍政権を取り除いたとしても、継続の保証は失わないことになる。
駐留の必要性の理由はアメリカ政府が日本を米本土防衛の重要なコマとしているからなのは誰もが承知していることである。安全保障上の仮想の敵国中国・北朝鮮・ロシアに最も近くに位置した日本国土であり、米本土防衛に最も適した戦略的な地理的特性を備えているからである。
さらに言うと、米国政府にとって米軍駐留に対して日本政府の思いやり予算という特典付きがあるという点である。
防衛省のHPに出ている日本政府の米軍駐留にかかる労務費・光熱水料費・訓練移転費・提供施設整備・基地従業員対策・その他に対する負担額は次のように推移している。
平成20年度予算額1925億円
平成21年度予算額1897億円
平成22年度予算額1869億円
平成23年度予算額1862億円
平成24年度予算額1916億円
平成25年度予算額1864億円
6年間で合計1兆1333億円の高額となる。
さらに上記予算に既に一部含められているが、沖縄米海兵隊の一部グアム移転にかかる総移転費86億ドルのうち28億ドルを上限に負担する約束をしているという。
いわば日本は至れり尽くせりの米本土防衛の有利な地理的特性を備えたコマとなっている。
また、仮想敵国からの米本土防衛は米経済の防衛と重なる。
勿論、米本土防衛と米経済の防衛は日本国土防衛=日本経済防衛を可能な限り前提としなければならない。
とは言っても、米国土防衛と米経済防衛のコマの役目を担っているのは日本だけではなく、韓国もその役目を担っている。米国にとって日本だけでは十分ではなく、韓国も加えて、より十全な安全保障の形を取る。
だが、安倍晋三の靖国参拝によって米国にとって同じ同盟国である韓国と日本の関係が悪化したことで、安全保障上必要となった場合の米日韓の連携への懸念材料を靖国参拝がつくり出したことは否定できな い。
米日韓の連携の非円滑化・機能不全は日本自身や韓国自身に対してだけではなく、想定している米国土防衛と米経済防衛に対するその想定に綻(ほころ)びを与える懸念を抱えることになるゆえに避けなければならない要素であるはずである。
アメリカにとって安倍晋三は痛し痒しの存在であろう。アベノミクスによる日本の経済の復活はアメリカ経済にも恩恵を与える。だが、靖国参拝による韓国の反発は米日韓の連携に不協和音を与えるだけではなく、中国の反発による日中関係悪化が日中の偶発的な軍事衝突を誘発しない保証はなく、その衝突がアメリカを巻き込まない保証はさらにない。
いわば歓迎、日本経済の復活、歓迎しない安倍晋三の存在といった好悪入り混じったアンビバレンツな感情で安倍晋三を眺めているに違いない。当然、アメリカにとって日本が経済復活の道を辿りさえすれば、首相は安倍晋三ではなくてもいい、いや、安倍晋三でない方が好都合と見ている可能性は高い。
この見方が見当違いであったとしても、上述したように靖国参拝が日米間の安全保障上の連携の懸念材料となっていることと日中関係のさらなる悪化がいつ危険水域に達しない保証はない状況になっている以上、安倍晋三が自身の靖国神社参拝で「日米同盟揺るがず」と言っていることは私自身の見当違い以上に見当違いな程度の低い認識能力ということになる。
もし安倍晋三が以上のことを承知していて「揺るがず」と言っているのだとしたら、国民を騙していることになり、よりタチが悪いことになる。