安倍晋三がどう否定しても参院選前支給1人3万円・総額3600億円の臨時給付金は選挙対策、バラマキ

2016-01-07 10:32:19 | 政治


 昨日2016年1月6日、衆院本会議で各党代表質問が行われ、民主党の岡田代表が今年度の補正予算案に盛り込まれた所得の低い高齢者などに1人3万円を支給する臨時給付金を「バラマキの選挙対策だ」と批判し、安倍晋三がバラマキでないと反論したと「NHK NEWS WEB」記事が伝えていた。 

 双方の発言を記事の中からと記事添付の動画から拾ってみた。

 岡田克也「1人3万円、総額3600億円は参議院選挙直前の5月6月に配られると言います。国民の税金を使ったバラマキの選挙対策です。断固やめるべきだと考えます。バラマキ政治の最大の被害者は若者であり、補正予算案はその典型だ」

 安倍晋三「GDP=国内総生産600兆円の実現に向け、今年前半にかけての個人消費の下支えのため、経済の下振れリスクにも対応することが必要です。

 現役世代には賃金引き上げの恩恵が及びやすい一方、そうした恩恵が及びにくいのは高齢者です。アベノミクスの果実を活用し、低所得の高齢者に給付金を支給することにしたものだ。バラマキとの指摘は全く当たりません。ましてや選挙対策という批判は全く的外れであります」

 バラマキか、バラマキではないのか、その判断基準は一過性の恩恵か、持続性ある恩恵か、あるいは対処療法的恩恵か、原因療法的恩恵かで決められるべきであろう。

 支給対象者はそれ以上収入が増えることのない限られた少額の年金でカツカツの暮らしを強いられている高齢者である。そういった高齢者に対して1回限りの一時金でしかない3万円を支給する。

 3万円を使ってしまえば、元のカツカツの生活に戻る、いわば持続性は皆無の一過性の恩恵であり、原因療法とは無縁のいっときの対処療法的恩恵に過ぎない。

 つまり3万円は3万円の購買以外は何も生まない。中には3万円を元手としてパチンコや競輪・競馬等、ギャンブルに注ぎ込んで、何倍にも増やそうとする者が存在したとしても、殆どは失敗して、その多くが3万円を一時的に手にしただけで終わるという結果を招くのは目に見えている。

 当然、一過性であり、その場限りで持続性を持たないという点で対処療法の価値以外を与えることはできないことから、バラマキ以外の判断を下すことはできない。

 但し一過性のバラマキでしかなくても、低所得の高齢者が担うことになる消費動向次第で景気に一定程度の効果を与えることはできる。

 限られた少額の年金で計画的に堅実な生活を送らなければならない多くの高齢者はそうしなければたちまち生活そのものが破綻してしまうことを知っていて、今ある生活の規律を頑固に守ることを余儀なくされているだろうから、私自身の経験をも加えて言うと、臨時給付金が一時金という一過性の支給であることを弁えて、一度に消費してしまうことはせず、貯蓄に回して普段通りの生活を送り、臨時の出費が生じたときに、と言っても、元々全体的な生活資金の規模自体が小さいから、臨時の出費にしても大した額ではないはずで(大した額なら対応困難となる)、僅かずつ当てて、元々の自分のカネからの出費でないことにほんの少しの有り難みを感じる程度の消費動向で終わる可能性が高い。

 この証拠として、ソフトブレーン・フィールド社が2015年12月17日に公表した主婦中心の同社サービス登録者814名(平均年齢45歳)を対象に行った平均額63万9668円の夫の冬のボーナスについてのアンケートでの用途は「貯蓄に回す」が80.8%(複数回答)と圧倒的多数を占めていることを挙げることができる。  

 ボーナスの平均額63万9668円の現役世代でさえも貯蓄に回して将来的な臨時の出費に備える。ましてや少額の年金でカツカツの生活を送らざるを得ない高齢者が余程の必要を感じない限り、一度に使い切ることができるだろうか。

 少ない年金を日々僅かずつ支出していく生活を送っていく。既にそのような金銭感覚に慣らされているのである。

 つまりその多くが一度に使ってしまうのは勿体無くて、可能な限り使い切ることを先延ばしにする。

 このような生活状況にある低所得高齢者への一時金でしかない1人宛3万円を、例え総額で3600億円になろうと、安倍晋晋三は「GDP=国内総生産600兆円の実現」という大きな計画の一部に加える、あるいはすぐに使うのかどうかも分からないし、例え使ったとしても3600億円を税金から支給して「今年前半にかけての個人消費の下支え」に役立てようと策す。あまりにも姑息的に過ぎ、誰が正攻法だと評価するだろうか。

 夏の選挙のための急の間に合わせだから、勢い正攻法とは縁遠い姑息な手段に走ることになる。

 もし安倍晋三がバラマキでもない、選挙対策でもないと言うなら、低所得の高齢者に3万円を使い切った以後も生活に何かしら余裕を与える持続性を保証しなければならない。

 安倍晋三がどう否定しようとも、3万円を使い切ったら、元の苦しい生活に戻るようでは、一過性のバラマキそのものであろうし、その目的は選挙対策以外にないことになる。

 岡田克也と安倍晋三の代表質問での遣り取りはバラマキであるか否かを決める判断基準に則って応酬したわけでもなく、前者が単にバラマキだと批判し、後者がその批判に応じてバラマキでないと反論した芸のないものであった。

 いつまでも同じことを繰り返しているようでは安倍晋三を追い詰めることはできない。

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