高村の「罠を仕掛けられた感がある」は甘利が口利きでカネを受け取る政治家であることの証明としかならない

2016-01-26 10:20:54 | 政治
 

 口利きとその見返りにカネを受け取ったと週刊誌に報じられて金銭疑惑の渦中にある経済再生担当の甘利明がスイスで開かれたダボス会議に出席、日本時間の1月23日夜、アメリカのシンクタンクの関係者などと共に基調講演後に行われるパネルディスカッションに出席、金銭疑惑報道について釈明している。

 甘利明「大変お騒がせしている。私自身、もう少し明るい気持ちでここに来たかった。安倍内閣の重要閣僚の1人として、安倍総理大臣にご迷惑をおかけしていることは、本当にじくじたる思いがある」(NHK NEWS WEB) 

 ダボス会議とは約2500名の選ばれた知識人やジャーナリスト、多国籍企業経営者や国際的な政治指導者などのトップリーダーが一堂に会し、健康や環境等を含めた世界が直面する重大な問題について議論する場だと「Wikipedia」が紹介しているが、国際シンポジウムであるそのようなダボス会議のパネルディスカッションの場で一国の大臣が自身の金銭疑惑について弁明しなければならない。

 問われもしないのに自分から話すはずはないし、その必要もないはずだから、外国のジャーナリストか誰かに問われたのだろう。

 2日前の当「ブログ」に、安倍晋三が口利き疑惑・金銭疑惑を晴らさないうちに甘利明の2月4日のTPP署名式に参加させることを決めたことについて、〈出席後、疑惑報道が事実とされたなら、疑惑の渦中にあるままの大臣を会議に出席させたことを安倍内閣の失態と糾弾されるだろうし、汚いカネを受け取った大臣が署名した日本のTPPという事実が記録されることになって、日本の恥として記憶されかねない。〉と書いたが、国際的なディスカッションの場で早くも名誉とは決して言えない不名誉な口利き疑惑・金銭疑惑を話題にされた。 

 一点の曇りもなく説明責任を果たすことができなければ、国会審議の場だけではなく、TPP署名式を含めた国際会議でも釈明や弁解を引きずることになるに違いない。

 自分は間違いなくシロだとする説明責任を果たすまでは口利き疑惑・金銭疑惑にまみれることになるこのような甘利明を自民党副総裁の高村正彦が擁護した。

 高村正彦「罠を仕掛けられた感がある。その罠の上に、周到なストーリーがつくられている。記事を裏付けるメモや録音データなどがある。

 甘利氏が説明責任を果たす。その言葉を聞いた上で判断されるべきことだ」(YOMIURI ONLINE/2016年01月24日 09時09分)  
 
 「記事を裏付けるメモや録音データなどがある」と言っていることは口利きを依頼し、カネを渡した人物が週刊文春にその情報を売り込んだとき、自分の身を守る手段として全て事実であると証明することのできる両者間の会話録音、面会記録、領収書とそれぞれがどのような領収書なのか、説明をつけたメモを保管してあると週刊誌に話していることを指す。

 高村正彦は甘利明を陥れるために仕掛けたシナリオにまんまとハマってしまった謀略ではないのかと謀略説を持ち出すことで謀略側に加害者の印象を持たせて、そのことが対比的に甘利明に被害者の印象を与えることになることから、そうすることで野党や世論の追及を和らげたいと欲したのだろう。

 自民党副総裁高村正彦の折角の努力だから、甘利明を陥れるために仕掛けた謀略説を取ろう。

 口利きは千葉の建設会社がUR(独立行政法人都市再生機構)との間で道路建設をめぐりトラブルが発生、その補償問題での口利き依頼だという。トラブルとは建設会社にとっては正当とは言えない何らかの被害をUR側から受けたとしていることであろう。

 当然、その口利きは建設会社の要請を受けて建設会社の利益を図る性質の行為ということになって、相手が週刊誌に「口利きの見返りとして甘利大臣や秘書に渡した金や接待で、確実な証拠が残っているものだけでも1200万円に上ります」と告発している以上、口利きが成功した場合に建設会社が補償として受け取ることができると胸算用した利益は1200万円に数倍する金額でなければならない。

 1200万円相当の補償を受けるための口利き料に1200万円も使うはずはないからだ。5倍や10倍は胸算用していたかもしれない。

 であるなら、口利きを依頼された時点でどの程度の被害規模・被害金額に対してどの程度の金額の補償を求めているかを確認したはずで、その要請をUR側に持ち込んだときも、「これこれこういう話があるが」と、同じ確認をしているはずだ。

 勿論、UR側が金額に納得するかどうかは別問題である。少なくとも単価がどの程度の工事でどの程度の被害を受け、その補償を求めているという事実については確認したはずで、確認できたとき初めて補償についての口利きという行為を開始することができる。

 確認できなければ、口利きに動くことはできない。

 つまり甘利明側が口利きに動いたということはそこに建設会社とUR間に補償問題が浮上していることを確認していたことになる。

 口利きに動き、口利きの時々に接待を受けたり、大臣室で封筒に入れた10万円のカネを甘利明は受け取ったり、占めて1200万円のカネが建設会社から甘利明側に渡った。

 ところがその口利きを建設会社側は週刊誌に内情を暴露する形で告発した。一般的に考えると、その口利きに対して建設会社側が甘利明側から何らかの不利益を被ったために仲間割れが生じて告発することになったと考えるのが自然だが、高村正彦の望み通りにそれが建設会社が甘利明を陥れるために仕掛けた謀略の疑いとすることにする。

 事実謀略だったとしても、口利きを依頼され、業者の利益を図るためにその口利きを引き受けて動き、その代償として接待を受けたり、事務所だけではなく、甘利明自身にしても大臣室でカネを受け取った数々の行為は、そういった類いの口利きをしてカネを受け取る政治家であることを証明していて、謀略如何に関係しないはずだ。

 つまりそのような政治家である以上、謀略だから乗った、謀略だから乗らなかったということではなく、謀略であろうとなかろうと、そうと気づいていなければ、乗ったということである。

 自民党副総裁高村正彦の甘利明を被害者に仕立てる意図の「罠を仕掛けられた感がある」の発言は甘利明が口利きで動き、カネを受け取る政治家であることの改めての証明としかならない。

 この証明は高村正彦がいくら大事な身内だからと言って、そのような発言をするのは贔屓の引き倒し(贔屓が度を越えて、却ってその人を不利にすること)に過ぎないことに気づかない頭の程度をしていることの証明でもあろう。

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