衆参本会議1月8日北朝鮮抗議決議の無意味と国連制裁決議の儀式化と山本太郎の参院抗議決議棄権

2016-01-09 10:58:33 | Weblog



      「生活の党と山本太郎となかまたち」

      《11月10日(日)小沢一郎代表NHK『日曜討論』出演ご案内》    

      ◆番組名:NHK日曜討論『党首に問う 2016年 政治はどう動く』
      ◆日 時:平成28年1月10日(日)午前9:00~10:45
      ◆内 容:安倍政権の内政・外交をどう評価するか
           野党の連携強化に何が必要か
           参議院選挙にどう臨むか ほか

 1月8日の衆参本会議で北朝鮮による核実験は断じて容認できない暴挙だとして厳重に抗議すると共に政府に対して国際社会が結束して問題の早急な解決を図るために総力を挙げて取り組むよう求めるなどとした決議を全会一致で可決したと各マスコミが伝えていた。

 「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎共同代表が採決の際、参院本会議を退場、棄権したという。

 理由を自身の「ブログ」に書いている。 

 衆議院の決議文は国際社会との協調姿勢を示したもので賛成できるが、参議院の決議文は日本独自の「追加的制裁」を謳っていて挑発に乗った形になり、我が国との緊張状態を強めることになる。あくまでも国際的な合意と協力の形にするべきだとしていることが一点。

 もう一点は追加制裁を加えた場合、拉致問題の解決が遠のく恐れを挙げている。

 詳しくは氏のブログにアクセスして貰いたい。

 要するに山本太郎自身の主義主張に則って棄権した。抗議は当然だからと中身を吟味せずに機械的に賛成のボタンを押した類いと異なる。棄権を問題視するよりも、理由の妥当性を問題視とすべきだろう。

 採決の参院本会議欠席議員は30人に及び、そのうち22人は7月に任期満了を迎える「改選組」だそうだ。内訳は自民党10人、民主党11人全員、共産党1人。

 全員が全員そうではないだろうが、北朝鮮に対する抗議よりも地元の選挙運動を優先させたのではないかと疑われても仕方がない。つまり抗議決議採決よりも地元活動に価値を置いた。

 このことを裏返すと、地元活動に優先的な価値を置くことができる程度の抗議決議ということであるはずだ。

 逆なら、いくら選挙が大事でも、うかうかと欠席はできない。

 つまり抗議決議だろうと、非難決議だろうと、儀式の意味しか持っていないということである。
 
 このことは国連安保理が2006年の北朝鮮核実験以来、4回の制裁決議を採択し、金融制裁など様々な制裁を科していながら、今回の水爆爆発と称する核実験をやすやすと許したことが何よりも証明している。

 安保理決議さえ儀式化しているのである。にも関わらず、今回の核実験を受けて、安保理はより厳しい制裁を科す方向で動き出した。

 金正恩は自らの核実験が安保理の新たな厳しい制裁を招くことを予想していなかっただろうか。その日の暮らしに困らない余裕ある北朝鮮国民のスタンディングオベーションは予想しただろうが、中ソを除く世界各国の殆の首脳のスタンディングオベーションを予想するはずはない。

 新たな制裁を覚悟し、少しは北朝鮮経済に影響するだろうが、それを凌ぐ自信がなければ、核実験を行うことはできない。と言うことは、金正恩にとっては国連安保理制裁決議は儀式的な意味しか持たないことになる。

 儀式的な意味しかないから、新たな制裁を覚悟することができるし、それを凌ぐ自信を胸に実験を行うこともできた。

 金正恩の誕生日は1月8日、核実験はその2日前の1月6日。世界には直ぐにバレてしまうが、国民には信じ込ませることができる水素爆弾の実験と称する大型爆弾の北朝鮮初の成功を演出した。

 そうまでしても行う必要性は誕生日を迎えるに当たって指導者としての自身の価値、その偉大さを高める。そのこと以外に考えることはできない。

 衆参も国連安保理も抗議決議だ、制裁決議だといった儀式化した意味のないことはやめて、何か実効性ある方法を創造する時がきたのではないだろうか。

 抗議や制裁が儀式化していることと、実効性ある方法法となり得ることを示唆している記事を挙げてみる。

 韓国与党の尹相現議員が中国税関統計等を分析して算出した北朝鮮の2014年の贅沢品輸入額が約8億ドル(約940億円)であることを「時事ドットコム」記事が伝えている。  

 金正恩体制発足直後の2012年は約6億4600万ドル、2013年は約6億4400万ドル。2014年は24%の増加率。

 電子製品(約4億2500万ドル)
 自動車(約2億3100万ドル)
 カーペット類、船舶類が2013年より大幅に増加――

 年々贅沢品の輸入額が増えていることは抗議や制裁がさしたる効果がないこと、いわば儀式としかなっていないことの何よりの証明であろう。

 尹相現議員「金正恩第1書記が海外の秘密口座に隠し持つ統治資金は最低でも40億~50億ドルに達するとみられる。北朝鮮の核開発を止めるには、これを見つけ出して凍結するしかない」――

 あくまでも想定だから、実際に秘密の隠し口座が海外に存在するかどうかは分からないし、存在したとしても、簡単に見つかる隠し方はしていないだろうから、見つけ出すことができるかどうかは分からないが、世界が一丸となって隠し口座を見つけ出して、その口座の凍結に力を注ぐと宣言したなら、金正恩側が見つけ出されたなら叶わないと何か動きを見せて、手掛かりを掴むことができるといった幸運に恵まれる可能性は否定できない。

 少なくとも儀式的な意味しか持たなくなった抗議決議だ、制裁決議だよりも試してみる価値はあるはずだ。

 また、韓国は1月8日正午から南北の軍事境界線の近くから大音量のスピーカーを使った北朝鮮向けの宣伝放送を再開した。宣伝放送は韓国がより発展していることをアピールする内容だとマスコミが伝えているが、その宣伝放送の届く範囲が軍事境界線近辺に限られることを考え併せると、一定程度の効果しか見込むことはできないはずで、北朝鮮国民に対する宣伝と言うよりも、金正恩に対する神経戦の意味を持たせた宣伝放送であろう。

 韓国の民間団体が2003年からなのか、ビニール製のビラを毎年200万~300万枚、水素ガスで膨らませた12~15メートルの大型のビニール風船に吊るして、北朝鮮に飛ばしていると「Wikipedia」に書いてある。

 ビラの内容は朝鮮戦争は北朝鮮の南侵だったことや金総書記の私生活を暴露するものだという。国家指導者の人物像の失墜を狙っているにしては内容がぬるい気がする。

 日本も特定失踪者問題調査会が北朝鮮向け短波放送(名称「しおかぜ」)を行っている。

 放送目的を次のように紹介している。

 (1)拉致被害者に対して日本で救出の努力をしていることを伝える。
 (2)北朝鮮当局に注意しつつ情報を外部に出してもらうよう伝える。
 (3)その他、北朝鮮に関わる事について、外部からを情報注入する。
 (4)北朝鮮の体制崩壊時など情勢に変化が起きた場合、避難場所や緊急情報を伝える。(金正日死亡時に実施)――

 2010年2月7日の当ブログ記事――《北朝鮮独裁者金正日の「トウモロコシ飯」から「白いご飯」への約束を阻む独裁政治のパラドックス - 『ニッポン情報解読』by手代木恕之》に次のように書いた。 

 〈国家指導者の為すべきことは満足のいく衣食住の保障を含めた国民の生命と財産と基本的人権の保障を確立し、維持することであるにも関わらず、独裁者の存在自体がその保障を蹂躙する元凶であり、国家指導者としての資格を失うなら、国際社会は独裁者を排除する行動を一致して取るべきだが、北朝鮮に限っては(6者協議という)テーブルに就く交渉によって却って独裁者の地位にとどまることを許している。

 さらには金正日が自身の独裁権力をその子ジョンウンに父子世襲すべく企み、北朝鮮国民の生命と財産と基本的人権の保障蹂躙の元凶である北朝鮮の独裁政治が維持されようとしていることに対しても手をこまねいている。

 そういうことなら、国際社会が最低限すべきことは北朝鮮に対して、「国家予算を国民を満足に食べさせる方向に有効に支出せずにその多くを核開発、ミサイル開発等の軍備増強にまわし、尚且つ外国からの食料援助をムダにし、国民生活の困窮を放置状態に置いて、結果として国民の生命・財産と基本的人権を保障せずにいるのは国家指導者としての責任の放棄に当たり、国家指導者としての資格がない」とするメッセージを常に発して、国民生活向上への政策へ転換させるせめてもの圧力とすべきではないだろうか。

 勿論簡単にはいかないことは分かる。だが、民主国家がこの手のメッセージを四六時中大合唱することによって、独裁体制下であっても国民を十分に食べさせること、基本的人権を保障することが国家指導者としての務めであり、その方向にに少しでも進む圧力とすべきではないだろうか。

 北朝鮮に多くの飢えに苦しむ者、食物がなく空腹の苦痛を抱えて息絶えていく者がいるにも関わらず、何ら有効な政策を打てないでいる無能な独裁者の存在に何ら憤りを感じないと言うなら話は別である。〉・・・・・・・・・

 要するに国民を過不足なく食べさせ、過不足のない生活を保障できない国家指導者は自らの責任は果たすことのできない無知・無能な指導者失格者であり、国家指導者の地位に就いている資格はないことを金正恩自身と北朝鮮国民にありとあらゆる手段を使って知らしめ、そのことを以って北朝鮮国民を過酷な独裁政治の軛(くびき)から解放することを名目とした実行を各国に求める制裁決議を国連安保理が行ったなら、決議に則った目的の宣伝ビラの撒布にしても、宣伝放送にしても、あるいは新たに加える手としてインターネットを経由して個人や企業のパソコンに侵入する不正アクセスにしても各国家の北朝鮮に対する制裁行為として正当化されて、より直接的でより強力な国家指導者の人物像の失墜に役立つように思えるが、どうだろうか。

 衆参の抗議決議が抗議としての役に立つと言うなら、国連安保理の制裁決議が制裁の役に立つと言うなら、今後共続ければいい。

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