安倍晋三の「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」の誤魔化し 国家はときには国民を平気で犠牲にする

2017-09-19 09:38:46 | 政治

次期衆議院議員選挙 争点とすべき


       2つのこと



  森友・加計政治関与疑惑にまみれた

     指導者を続投させるべきか否か

  成長実感ゼロのアベノミクスを

     効果があると見せかける幻想に

      今後も付き合うべきか否か



 安倍晋三が2017年9月17日、都内開催の「今年中に全拉致被害者の救出を!国民大集会」に出席、スピーチしている。

 安倍晋三スピーチ首相官邸/2017年9月17日)   

 安倍晋三「国民大集会の開催に当たり、一言、御挨拶申し上げたいと思います。

 15年前の今日、平壌で日朝首脳会談が行われ、金正日国防委員長が公式に拉致を認めました。首脳会談の後、両首脳が署名した『日朝平壌宣言』では、『日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなる』との認識が共有されています。

 しかしながら、北朝鮮は、国際社会の度重なる警告を無視し、先月29日、一昨日と、我が国上空を通過する弾道ミサイルを立て続けに発射し、さらに、今月3日には、6回目となる核実験を強行しました。これらは、国際社会に対する正面からの挑戦であるとともに、我が国を含む地域の安定と安全、そして、世界の平和に対する、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、断じて容認できません。

 北朝鮮の暴挙を止めるためには、国際社会全体で北朝鮮に対して最大限の圧力をかけなければなりません。我が国が米国と共に議論を主導し、12日に安保理が全会一致で採択した、格段に厳しい制裁措置を、各国が一糸乱れず、厳格に履行していくことが重要であります。日米韓で連携し、中国、ロシアとも協力しつつ、国連の全ての加盟国が本決議を完全に履行するよう、関係国にしっかりと働き掛けてまいります。

 同時に、北朝鮮がこのような挑発行為を繰り返す中にあっても、日本人の拉致問題を決して埋没させてはなりません。

 先週の月曜から、家族会、救う会、そして超党派の拉致議連が訪米され、米国政府や議会等に北朝鮮のテロ支援国家再指定等、拉致問題の早期解決に向けた協力を訴えてこられました。私も、今週、国連総会に出席するため訪米いたします。この機会に改めてトランプ大統領に対し拉致問題の早期解決に向けた協力を求めてまいります。また、国連総会における演説において、北朝鮮の問題を中心的に取り上げ、拉致問題についても世界に訴えていきたいと、こう考えております。

 この集会に先立ち、先ほど、御家族の皆様と懇談する機会を頂きました。拉致問題が決して置き去りにされてはならないという強い訴え、そして拉致被害者も御家族も御高齢になられ、もはや一刻の猶予もない中、家族会・救う会の運動方針に盛り込まれた今年中に全ての拉致被害者を救出してほしいという痛切な思いを、伺いました。

 拉致問題の解決に当初から取り組んできた政治家の一人として、また、日朝首脳会談に官房副長官として同席した者として、この15年間、5名の被害者とその御家族しか帰国が実現していないことは、痛恨の念に堪えません。

 拉致問題は、安倍内閣の最重要課題であり、最優先で取り組んでいくという姿勢にいささかの変わりはありません。

 被害者の方々と御家族の皆様が抱き合う日が訪れるまで私の使命は終わらない、拉致問題は安倍内閣で解決するとの強い覚悟の下、私が司令塔となって、度重なる北朝鮮の暴挙に対する国際社会からの厳しい圧力をテコとしつつ、北朝鮮に対して、拉致問題の早期解決に向けた決断を迫ってまいります。

 拉致問題の解決のためには、日本国民が一致団結して、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意志を示すことが重要です。私もまた、皆様と心を一つにしながら、拉致問題解決に向け全力を尽くしてまいります。北朝鮮との、最終的には交渉をしなければならないわけであります。極めて難しい課題ではありますが、皆様と共に、日本国民と共に一日も早い被害者の帰国を目指して全力を尽くしていくことをお誓いいたしまして、総理大臣としての御挨拶とさせていただきます。全力を尽くしてまいります。ありがとうございました」

 安倍晋三の「被害者の方々と御家族の皆様が抱き合う日が訪れるまで私の使命は終わらない」は耳にタコができる程に耳にしたが、何度口にしているのだろうか。その覚悟で口にしているのだろうか。

 「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題」と言い、「最優先で取り組んでいくという姿勢」に変化はないと宣言している。

 と言うことは、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験・ミサイル搭載目的の水爆小型化実験を国際的な安全保障上の脅威と見做して「国際社会全体で北朝鮮に対して最大限の圧力」を掛け、阻止する安倍晋三の日本の安全保障政策よりも拉致問題を最優先させていなければ、言っていることは誤魔化しそのものとなる。

 逆に対北朝鮮最大限圧力の安全保障政策を「安倍内閣の最重要課題」とし、「最優先で取り組んでいくという姿勢」が実情となっているとしたら、拉致問題は対北朝鮮ミサイル開発・核開発阻止の二の次だと正直に言わなければ誤魔化しを働いていることになる。

 大体が残すところ後3カ月の今年中に全拉致被害者救出の目途が立っていなければ、「今年中に全拉致被害者の救出を!」と謳った国民大集会に出席してスピーチすること自体が図々しいまでの誤魔化しそのものであるし、「北朝鮮がこのような挑発行為を繰り返す中にあっても、日本人の拉致問題を決して埋没させてはなりません」と言っていることも拉致問題を対北政策よりも二の次としていることの現れであって、この点にも誤魔化しがあることになる。

 ある問題の埋没しかねない状況というのは非優先の取扱い、あるいは二の次の取扱いとなっていることからの危惧であって、最優先の取扱いとなっていたら、埋没とは反対の常に目の前に浮上している問題となって、「埋没」などという言葉は出てこない。

 要するに安倍晋三自身がそういう言葉を使うこと自体、あるいは使わなければならない状況にあること自体が拉致問題を置き去りにしているからであろう。

 更に言うと、「国連総会における演説において、北朝鮮の問題を中心的に取り上げ、拉致問題についても世界に訴えていきたい」との文言にしても、取り上げるべきことは北朝鮮問題が中心であって、その中心問題に「拉致問題についても」と追加させていることも、「安倍内閣の最重要課題」、「最優先で取り組んでい」ることが北朝鮮問題であって、拉致問題を二の次としている姿勢の現れそのものであって、「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題」と言っていることの誤魔化しは計り知れない。

 逆であるなら、「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題であるが、北朝鮮の挑発行為も疎かにはできない」、あるいは「国連総会における演説において、拉致の問題を中心的に取り上げ、北朝鮮問題についても世界に訴えていきたい」と優先順位を逆転させなければならない。

 対北朝鮮ミサイル開発阻止・核開発阻止があくまでも主であって、拉致問題が従となっているから、「日本人の拉致問題を決して埋没させてはなりません」と言いながら、埋没させないための方法を「拉致問題についても世界に訴えていきたい」と、言葉で訴えることしか提示できないことになる。

 言葉の訴えで終わらせるのではなく、北朝鮮問題が安全保障上「最優先で取り組んでいく」「安倍内閣の最重要課題」であることを前提としていたとしても、いわば拉致問題を二の次に置いていたとしても、対北朝鮮圧力を拉致解決へとどう繋げていくのか、その方策を国民の前に提示しなければならないはずだ。

 提示しないままに一方で「国際社会全体で北朝鮮に対して最大限の圧力をかけなければなりません」と言い、他方で「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題」、あるいは 「最優先で取り組んでいくという姿勢にいささかの変わりはありません」と言っていることも誤魔化しそのもとなる。

 問題は拉致問題に関わるこのような誤魔化しは安倍晋三自身が気づいていなくても、拉致被害者を犠牲にすることによって成り立つということである。

 犠牲とは何も命を奪うことだけを意味しない。拉致を解決できなくて北朝鮮で生活する時間を長引かせてしまい、逆に日本に帰って生活する時間を奪うことになっていることも犠牲を強いていることになる。時間が経てば経つ程に精神面の命を削り奪い取る犠牲となって跳ね返っていく。

 安倍晋三は対談集『この国を守る決意』で「命を投げ打ってでも(国を)守ろうとする人がいない限り、国家は成り立ちません」と国民の国家への犠牲を最大の国家奉仕と考えている政治家である。戦前の国家がそうであったように国家はときには国家主義の立場から国民を平気で犠牲にする。安倍晋三は戦前の国家と簡単に同列に立つことができる位置にいる。

 安倍晋三のこのような国家主義的な姿勢が拉致被害者の精神面の命を削り奪い取る犠牲に繋がる危険性があるにも関わらず、具体的な動きも見せずに「拉致問題は、安倍内閣の最重要課題」だと言う誤魔化しは拉致被害者や拉致被害者家族だけではなく、国民に対する誤魔化しでもある。

 森友疑惑・加計疑惑に関わる国会答弁の誤魔化し、アベノミクスにおける不都合な統計隠しの誤魔化し、選挙での国民に不人気な政策の争点隠しの誤魔化し等々、安倍晋三は様々な誤魔化しを国民に対して働いている。

 いわば数々の誤魔化しが首相延命の手段となっている。

 誤魔化しを得意とする一国の指導者程、危険な存在はない。

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安倍晋三の臨時国会冒頭解散・総選挙:森友・加計疑惑指導者の続投問題と成長実感ゼロのアベノミクスが争点

2017-09-18 11:45:38 | 政治

 選挙に勝ちさえすればいい計算高い安倍晋三が支持率が低いときに解散するはずはない。森友疑惑・加計疑惑を両手に花とばかりに抱え込んだ安倍晋三の内閣支持率は国会で安倍晋三の政治関与を厳しく追及されて下がり続け、その追及は6月18日の通常国会閉会で一応は打ち止めになったものの、その後遺症で7月初旬の世論調査では30%台半ばにまで落ち込み、7月10日午前の衆議院、午後の参議院、さらに7月24日衆議院、25日の参議院の共に加計疑惑閉会中審査で追及が再燃、疑惑を益々深めることになったが、2017年8月3日ゲン直しの内閣改造を行ったことが功を奏したのか、8月の世論調査内閣支持率は両手に花の森友疑惑・加計疑惑の完全払拭とまではいかなかったものの、6~8ポイント増の40%前後への回復には役立った。

 この内閣支持率がマスコミの9月の世論調査ではそれまで逆転していた支持率が支持が上回り、中には50%前後にまで急回復した世論調査があるのは北朝鮮の脅威が貢献することになったからだろう。

 北朝鮮は定期的に弾道ミサイル発射実験を続けていたが、日本時間の8月26日土曜日午前6時49分から午前7時19分までの30分間に短距離弾道ミサイル3発を発射した際の安倍晋三は(米軍は当初、3発共発射に失敗と発表したが、マスコミは夕方の時刻になって米軍が最初の発表を訂正、2発目は失敗したが、1発目と3発目は発射に成功し、北東方向に250キロ余り飛行して日本海に落下したと修正したことを伝えた直した。)午後2時近くから午後5時過ぎまでの約3時間、東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」の「NAGOMIスパアンドフィットネス」で生活習慣病予防のためなのか、優雅にエクササイズに励む程に北朝鮮ミサイルの発射を定期的実験の一環と見る程に余裕があったようだ。

 ところが3日後の8月29日日本時間5時58分頃、北朝鮮が北海道上空を通過させて襟裳岬沖1180キロの太平洋上落下させる中距離弾道ミサイルを発射させると、俄然危機感を露わにして、危機感そのままにトランプ大統領と4回の電話会談を立て続けに行っている。

 第1回目の電話会談は発射当日の発射時間から約3時間30分後、午前9時24分から約37分間。第2回目は翌日の8月30日の午後11時半過ぎから約30分間。第3回目は9月3日午前9時頃から約20分間。

 4回目は北朝鮮が9月3日午後0時半頃に水爆実験に及ぶと、その日の夜11時3分から同13分までトランプと電話会談。

 それぞれの電話会談の内容は北朝鮮の行動は「深刻かつ重大な脅威」であり容認できない、核とミサイルを放棄させるために北朝鮮に対して圧力を掛けていくことで認識を一致させたというもので、4回の電話会談後共に自身をマスコミに露出させることになるぶら下がり記者会見を開いて、同じように「深刻かつ重大な脅威」であることを訴えて、そのことを印象づけ、2回目の記者会見以外はそのような脅威から「国民の生命、安全を守る」ことを約束、その責任ある指導者像を演出している。

 これまでの森友疑惑・加計疑惑一色からその色を遥かに薄めることになった北朝鮮脅威一色を受けた安倍晋三の「国民の生活と安全を守る」指導者像としてのマスコミ露出が9月の世論調査に現れた。

 10月28日に召集する方針の臨時国会開催前に民進党は与党との国会対策委員長会談で加計学園問題審議の衆院予算委員会等の閉会中審査開催を要求していた。

 閉会中審査が開催されようが開催されまいが、加計学園獣医学部新設に関わる安倍晋三政治関与疑惑の追及は臨時国会でも繰り広げられるのは目に見えていた。疑惑がそれ程根深いからであり、対して政府側の答弁は逃げの一手のみとなっていて、なお一層疑惑を深める役にしか立っていなかった。

 こういったことが内閣支持率を下げる原因になっていたのであり、北朝鮮の脅威が前面に押し出されてきたことによって森友疑惑・加計疑惑を政治の背景に一時的に遠ざけ、逆に「国民の生命、安全を守る」指導者像のマスコミへの露出が功を奏して折角上昇線を見せ始めた支持率が臨時国会での再度の疑惑追及で再び下降線を辿ることは安倍晋三にしても十分に予想できていたはずだ。

 衆議院議員の任期は2018年12月13日。落ちっぱなしの内閣支持率の状況下では選挙は戦うことはできない。北朝鮮の脅威のお陰で政治の背景に追いやることができた森友疑惑・加計疑惑が臨時国会で再び政治の前面に躍り出ることになって支持率を下げる前、支持率をある程度回復できた今こそ解散・総選挙の残された好機だと見たとしても、選挙に計算高い安倍晋三からしたら、極く自然な判断であろう。

 選挙の勝敗が首相としての進退に影響する。勝てば、その進退は保証されるが、負ければ、進退の保証は失われる。野党第1党の民進党は新体制となったばかりである上に離党者が続いていて、足許が揺れていることも解散に傾いた理由の一つだと、誰もが見るはずだ。

 9月17日付マスコミが安倍晋三が10月28日招集臨時国会冒頭に衆院解散の見通しと報道すると、民進党代表の前原誠司は党本部で記者団に「自己保身解散だ」と批判した。
 
 前原誠司「「北朝鮮が核実験やミサイル発射を行う状況の中で、『本気で政治空白を作るつもりなのか』と極めて驚きを禁じえない。『森友問題』や『加計問題』の国会での追及から逃げるため、国民の生命・財産そっちのけで、まさに『自己保身解散』に走っているとしか言えない」(NHK NEWS WEB)  

 疑惑追及を覚悟して内閣支持率下落を取り、解散・総選挙の好機を狭めるか、支持率が高いうちに解散・総選挙を取って、選挙での勝利に期待を賭けるか、自身の進退を最優先に考えてのことだから、前原誠司が言うようにまさに「自己保身解散」である。

 総選挙となると、安倍晋三はこれまでも人間が生活の生き物であることを利用し、それが選挙勝利の最大要因となってきたように再び生活に訴えて、国民の支持を得る作戦に出るに違いない。

 2016年7月の参院選挙では各地の応援演説で「アベノミクスは失敗していない、だが、道半ばだ」と繰返し発言、道到達こそが国民の生活向上の最善の選択肢とばかりに訴えて、参院選に勝利した。

 2016年7月3日の千葉市内街頭演説。

 安倍晋三「アベノミクスは失敗していない。しかし、道半ばだ。やめてしまえば逆戻り。前に進もう。雇用を増やした。千葉県の有効求人倍率は1・13倍ある。給料も上がっている」

 2016年7月5日の新潟県十日町市街頭演説。

 安倍晋三「アベノミクスは決して失敗はしていないが、まだ道半ば。やるべきことは、この道をしっかり前へ力強く進めることだ。ギアを2段も3段も引き上げる」

 7月8日選挙活動最終日の東京都中野区街頭演説。

 安倍晋三「国民を豊かにするために経済を成長させていく経済政策に全面的に取り組んできた。アベノミクスは決して失敗はしていない。でも道半ばだ。私たちの政策がまだ不十分であることは率直に認めなければいけない。しかし、だからといって、この政策をやめてしまえば、あの暗い時代に逆戻りだ」

 2017年8月3日内閣改造後の同日記者会見。

 安倍晋三「最優先すべき仕事は経済の再生です。安倍内閣は、これからも経済最優先であります」

 要するにいつまで経っても「まだ道半ば」から一歩も出ることができないアベノミクスでこれからも行くことの何度目かの宣言となっている。

 2012年12月26日に第2次安倍内閣発足以来、4年9カ月も経つにも関わらず、この間2015年10月の10%への消費税増税予定を2017年4月に1年半延期、さらに2019年10月に2年半延期までして、尚且つ公共事業費を増額して景気対策に手を打ちながら、さらにデフレが日本の「失われた20年」と称する経済低迷の最大原因だとしてデフレ脱却を掲げ、「アベノミクスによって『デフレではない』という状態まで来ました。デフレ脱却は、もう目の前です」と何度も同じことを言い続けていながら、今以ってデフレ脱却を宣言できずにいる、その程度のアベノミクスである。

 アベノミクスがこのような体たらくだから、自民党から離党した東京都知事の小池百合子に「アベノミクスは成長の実感を伴わない」(2017年9月16日発言)と批判される始末となる。

 安倍晋三が解散した場合の総選挙で「アベノミクス」の進捗の必要性を選挙の争点として最前面に掲げたとしたら、必ず掲げるだろうが、憲法改正問題等は特定秘密保護法や新安保法制のときと同じようにウラ争点にして目立たない遣り方で発言する(選挙に勝てば、これまでのように憲法改正問題も信任を得たと前面に押し出してくる。)柳の下に何匹目かのドジョウ作戦を繰返すことになるに違いない。

 同じ手に乗るのか、同じ手に乗らないとしたら、森友疑惑・加計疑惑にまみれた指導者安倍晋三の続投は是か非か、成長実感ゼロのアベノミクスは経済政策として失格か否か、その双方を争点とすべきだろう。

 先ずは安倍晋三の指導者としての資質を問題としなければならない。


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河野太郎のジュネーブ軍縮会議に関わる薄汚い情報操作に基づいた「後ろから鉄砲玉」とする東京新聞批判

2017-09-17 12:36:45 | 政治
 
 覗き趣味があって「Google ニュース」を覗いていたら、神奈川15区、54歳の外相河野太郎が「核軍縮の政治的利用」、「後ろから鉄砲玉」とかの言葉を使って東京新聞を痛烈に批判する記事を自身のブログに載せていると「産経ニュース」が紹介していたから、早速そのブログを覗いてみた。   

 全文を引用してみる。文飾当方。

 後ろから鉄砲玉河野太郎公式サイト「ごまめの歯ぎしり」/2017.09.16)  

日本で脱原発を唱える者や団体には二種類ある。

実際に脱原発を実現しようとして、一歩ずつでも前に進もうとするものと脱原発が実現するかどうかはどうでもよくて、脱原発を使って票や金、支持を集めようというものだ。

現実に脱原発を実現しようとするものは、同じ方向を向いているものすべてでスクラムを組んで前に進もうとする。

その一方で、脱原発を政治的に利用しようとするものにとっては、同じような主張をするものが邪魔になる。

だから少しでも主張が違ったり、現実的に妥協しながらでも前に進もうとしたりするものを徹底的に批判する。

残念なことに核軍縮に関しても同じようなことが起きている。

少しずつでも核軍縮を進めていくためにスクラムを組もうというものと、核軍縮を利用しようというものにやはり分かれる。

その一つの典型が、ジュネーブ軍縮会議で日本の代表部がとった行動に対する後ろからの鉄砲玉だ。

これまで日本政府は、高校生平和大使のうち一人を政府代表団として登録し、軍縮会議のなかで日本政府の代表としてスピーチをする機会を作ってきた。

しかし、そうした日本政府の行いを快く思ってこなかった国もあった。

そしてとうとう今年、日本政府に対して、高校生を代表団として登録することに明確に反対するという申し入れが行われた。

軍縮会議の運営は、コンセンサス、つまり参加国の全会一致で行われるため、もし、日本政府が高校生の登録を強行すれば、コンセンサスを与えないとまで主張してきた。

日本の代表部はやむを得ず、高校生平和大使の政府代表団としての登録をあきらめたが、それで終わりにはしなかった。

日本の軍縮大使は、代表部で高校生平和大使のために夕食会を開き、そこに核兵器国、非核兵器国で核兵器禁止条約に賛成している国と反対している国など立場の違う国の代表を招いて、高校生から話をしてもらった後、双方向の議論を実現させたのだ。

昨年までは、平和大使の中から一人だけ代表団に登録をして会議でスピーチをするだけだったが、今回は高校生平和大使全員が各国代表と双方向の議論をすることができた。

平和大使としてジュネーブを訪れた高校生にとっては、様々な考え方を聞き、考え、議論をする良い機会になったはずだ。

そしてこういう事実を外務省並びにジュネーブの政府代表部でメディアに説明をした。

その結果、何が起きただろうか。

例えば東京新聞は、8月23日付けの記事の中で、「高校生たちがスピーチで、禁止条約に触れることに危機感を覚えての対応ではないか」という
第三者のコメントを引用している。

それが事実でないことを東京新聞は知ってしまっているから、記者はそう書けないが、第三者が言ったコメントを載せるぶんには責任はないと考えたのだろうか。

さらに「夕食会の場で話すのと議事録に残る会議でスピーチをするのとでは意味が全く違う」というやはり第三者のコメントまでわざわざ載せている。

参加した高校生全員が立場の違う各国の代表と双方向で議論できるのと、一人だけが会議で一方的にスピーチをするだけなのでは、参加した高校生にとって意味合いが大きく違うはずだが、それを正確に伝えていない。

そして高校生のスピーチに反対した国がどこか、取材していればわかっているだろうはずだが、その国の政府に対する批判は一言もない。

さらこの東京新聞の記事によれば、まるで核兵器禁止条約は素晴らしいが、「核保有国もそうでない国も巻き込んで着実にこの脅威を減らす方向へ歩んでいくことを考える」のはけしからんことでもあるかのようだ。

エベレストの頂上をヘリコプターで一気に目指すのもありかもしれない。
しかし、頂上付近にヘリコプターを着陸させるのは極めて非現実的だと思うならば、ベースキャンプから一歩一歩、着実に歩いて登るやり方もあるはずだ。

核軍縮をただ何かに利用しようというならば何を言おうが勝手だが、現実に核軍縮を進めるならば、同じ方向を向いている者同士、手を携えていかなければならない。

後ろから鉄砲玉を撃つ必要はない。

 脱原発にはその実現に向けて地道に「スクラムを組む」者と脱原発を口実に政治的な利用の面から票やカネ集めに奔走する者の二種類あるように核軍縮に関してもその実現に向けて地道に「スクラムを組む」者と「核軍縮を利用しようというものにやはり分かれる」

 その典型例が「ジュネーブ軍縮会議で日本の代表部がとった行動に対する後ろからの鉄砲玉だ」と批判している

 既にこの時点で矛盾が現れている。脱原発活動と核軍縮活動に於ける肯定的例と否定的例を並べた以上、核軍縮活動に於ける否定例は核軍縮を口実に行う政治的な利用の面からの票やカネ集めの奔走ということでなければならない。

 ところが、例えそのことが非難されなければならない行動だとしても、「ジュネーブ軍縮会議で日本の代表部がとった行動に対する後ろからの鉄砲玉」は明らかに政治的な利用の面からの票やカネ集めの奔走の部類とすることはできない。

 では、「後ろからの鉄砲玉だ」とはどのような行動に対して言っているのか。

 ジュネーブ軍縮会議に日本政府は高校生平和大使の一人を政府代表団として登録、「軍縮会議のなかで日本政府の代表としてスピーチをする機会を作ってきた」が、「そうした日本政府の行いを快く思ってこなかった国もあった」

 そのような国が今年の会議に関して「日本政府に対して、高校生を代表団として登録することに明確に反対するという申し入れが行われた」

 会議の運営は全員合意の全会一致をルールとしている都合上、「日本政府が高校生の登録を強行すれば、コンセンサスを与えないとまで主張してき」て、全会一致が崩れるため、「日本の代表部はやむを得ず、高校生平和大使の政府代表団としての登録をあきらめた」

 但しその代償として、「日本の軍縮大使は、代表部で高校生平和大使のために夕食会を開き、そこに核兵器国、非核兵器国で核兵器禁止条約に賛成している国と反対している国など立場の違う国の代表を招いて、高校生から話をしてもらった後、双方向の議論を実現させた」

 この方法は実際の軍縮会議では高校生平和大使の一人が議場でスピーチを行う一方通行の意思伝達と違って、夕食会では高校生たちと「立場の違う国の代表」同士との議論が行われて、双方向の意思伝達となり、却って有意義な展開となり、高校生平和大使にとっては良い機会となった。

 そしてこういう事実を外務省並びにジュネーブの政府代表部でメディアに説明をした。

 ところが東京新聞は8月23日付け記事の中で「第三者のコメント」引用で「高校生たちがスピーチで、禁止条約に触れることに危機感を覚えての対応ではないか」とか、「夕食会の場で話すのと議事録に残る会議でスピーチをするのとでは意味が全く違う」と、事実ではない批判を行い、「高校生のスピーチに反対した国がどこか、取材していればわかっているだろうはずだが、その国の政府に対する批判は一言もない」と東京新聞の「夕食会」での有意義な議論を無視した不正確な報道を逆に批判、さらに「核兵器禁止条約は素晴らしいが」、「核拡散防止条約」のことを言っているのだろう、日本政府が「『核保有国もそうでない国も巻き込んで着実にこの脅威を減らす方向へ歩んでいくことを考える』のはけしからんことでもあるかのようだ」と日本政府の核軍縮対応を正当化している。

 そして高校生平和大使が正式の議論の場でスピーチできなかった東京新聞の記事での取扱いを政府に対して「後ろから鉄砲玉を撃つ」行為であり、「核軍縮をただ何かに利用しようというならば何を言おうが勝手だが、現実に核軍縮を進めるならば、同じ方向を向いている者同士、手を携えていかなければならない」と警告している。

 東京新聞の記事での取扱いが何か魂胆のある邪なものであったとしても、政府に対して「後ろから鉄砲玉を撃つ」行為だと批判しなけなければならない程悪質だと言えるだろうか。

 ここは間違っていますと訂正を求める程度で済む問題に見える。

 大体が「後ろから鉄砲玉を撃つ」という行為は現場での言葉が意味する両者の態勢の間での直接的な行為を言う。

 例えば首相の支持率が極端に低くなって、これでは選挙は戦えないからと反首相の集まりを何人かで持つ。首相と利害を同じくする閣僚、議員はそのような集まりを首相の足を直接的に引っ張る行為と見て、比喩的に「後ろから鉄砲玉を撃つ」ということを言う。

 高校生のスピーチに反対する国があり、会議の仕組み上、その反対を受け入れた。対して東京新聞が記事で間違った批判をした。そのことがジュネーブ軍縮会議で日本代表部の足を直接的に引っ張ることになる、あるいは比喩的に足を引っ張ることになる何らかの損害、あるいは何らかの不利益を与えたとでも言うのだろうか。
 
 与えたことによって初めて「後ろから鉄砲玉を撃つ」行為だと批判できる。ところが、文章のどこからも直接的な被害や不利益は見えてこない。

 受けた損害を具体的に説明しなければ、「後ろから鉄砲玉を撃つ」は逆に誹謗中傷となる。

 こういったことだけではない。河野太郎の批判の進め方には薄汚い情報操作を混じえている。「高校生のスピーチに反対した国がどこか、取材していればわかっているだろうはずだ」と言っているが、公式サイト、もしくはブログは会員制の体裁を取っていない限り、不特定多数の解釈に委ねる骨格となっている以上、核保有国なのか、非核保有国なのかで「反対」の解釈が異なってくるのだから、河野太郎自身がブログ上で明らかにすべきだが、それを伏せている。

 これは明らかに情報操作に当たる。

 反対した国がどこかネットを調べたが、知ることができなかった。社民党の福島みずほがスピーチ中止の理由を問い合わせた外務省軍備管理軍縮課の回答を自身のブログに載せていた。

 「福島みずほのどきどき日記」2017年08月22日)  

<外務省軍備管理軍縮課回答>

軍縮会議は政府間交渉の場であり,通常政府代表の発言しか認められていない。これまでは,高校生平和大使を当日のみ政府代表団として登録するという例外的な対応を取ってきたが,近年こうした例外的な措置を問題視する国が出てきた。

そうした状況の下,意思決定においてコンセンサスを必要とする軍縮会議において,こうした例外的な対応を継続しスピーチの機会を得ることは困難であることから,本年は高校生平和大使の関連団体に対してその旨お伝えすると共に,日本政府代表部において核兵器国,非核兵器国を含む各国外交官と高校生平和大使との意見交換の機会を設けたところである。

核兵器禁止条約の採択や高校生の発言内容とは関係がない。(以上)

 この回答でも核保有国なのか、核非保有国なのかで意味が違ってくることを無視して反対国を明らかにしていない一種の情報操作が存在する。

 情報操作はこれだけではない。高校生のスピーチに「高校生を代表団として登録することに明確に反対」した理由である。理由の存在しない意思表示はあり得ない。理由も無く、反対だから反対だといった暴論でしかない意思表示が罷り通るとしたら、民主主義は存在意義を失う。

 河野太郎は反対理由を明らかにせずに東京新聞の記事を「後ろから鉄砲玉を撃つ」行為だと批判している。

 このような経緯にしても明らかにしないという情報操作の介在があって初めて可能となる。

 反対理由を明らかにすれば、その正当性に応じて「日本の代表部はやむを得ず、高校生平和大使の政府代表団としての登録をあきらめた」ことの正当性如何が明らかになる。

 河野太郎は理由や具体的な経緯を明らかにせずに「登録をあきらめた」ことの正当性を一方的に言い立てているに過ぎない。

 河野太郎が、もしくは日本代表部が全てを明らかにしていれば、東京新聞は「第三者のコメントを引用」して「高校生たちがスピーチで、禁止条約に触れることに危機感を覚えての対応ではないか」とか、「夕食会の場で話すのと議事録に残る会議でスピーチをするのとでは意味が全く違う」とか、記事に書くこともなかったはずだし、書くこともできなかったはずだ。

 河野太郎はまた反対の「申し入れ」に対して「登録をあきらめた」理由を「コンセンサスを与えないとまで主張してき」たためだと、全会一致のルールが崩れる点に置いているが、日本代表部が何ら反論もせずにその主張を一方的に受け入れたのか、あるいは何らかの反論を試みたが、賛成多数で相手の主張が通ったのか、いずれをも明らかにしていないことも情報操作に当たる。

 もし前者であったなら、日本政府、あるいは日本代表部の正当性は一切失う。また後者であるなら、どのような反論を試みたのか、その結果はどうなったのか、具体的に全てを明らかにしなければ、高校生のコメントが排除されることになった経緯の正当性・不当性は第三者は誰も判断できないことになって、前者・後者共にマスコミによって「第三者のコメントを引用」した記事を誘うことになる。あるいは「第三者のコメントを引用」した記事に頼らざるを得なくなる。

 河野太郎は高校生大使が本会議でスピーチできなくなった代わりに「日本政府代表部において核兵器国,非核兵器国を含む各国外交官と高校生平和大使との意見交換の機会を設けたところである」とその意義を伝えているが、このことが外務省サイトに詳しく記載されている。一部省略。

 「高校生平和大使のジュネーブ訪問」外務省/平成29年8月22日)
  
1 8月21日午後6時(現地時間)から,髙見澤將林軍縮会議日本政府代表部大使主催により,外務省のユース非核特使としてジュネーブを訪問した22名の高校生平和大使と各国外交団との意見交換会が行われました。この意見交換会には,49名の外交団職員その他関係者が参加しました。

(注)核兵器保有国からはフランス,中国,ロシア及びパキスタン,非核兵器国からはオーストラリア,韓国,マレーシア,インドネシア,スリランカ,カナダ,イタリア,オランダ,オーストリア,フィンランド,ポーランド,スウェーデン,ルーマニア,ベラルーシ,南アフリカ,ジンバブエ,コスタリカ,エクアドル等が参加。また,国連軍縮部,赤十字国際委員会(ICRC)も参加。

2 冒頭,髙見澤大使から,様々な国の代表の意見を直接聞く貴重な機会として積極的に対話をして欲しい旨の挨拶を行いました。続いて,高校生平和大使の代表者2名が活動につき報告した後,1名が被爆三世として自分の祖父の体験を発言し,核兵器のない世界の必要性を訴えました。

3 高校生平和大使は,少人数のグループに分かれ各国外交団との個別の意見交換を実施しました。意見交換会は予定時間を超過し午後8時30分に終了しました。各国外交団からは,初めての試みである高校生平和大使との対話を重視したこの意見交換会を評価する声が寄せられました。

4 この意見交換会は,ジュネーブを訪問した日本の高校生の核廃絶に向けた思いを各国に直接訴える機会として,新たに実施されたものです。

5 高校生平和大使は本22日,軍縮会議を傍聴した後,国連軍縮部を訪問し,活動報告及び核廃絶に向けた署名の手交を行う予定です。

 高校生平和大使が核廃絶を訴えている関係から、「日本政府に対して、高校生を代表団として登録することに明確に反対」した国は核保有国に思えるが、河野太郎は東京新聞の記事には高校生のスピーチに反対した「国の政府に対する批判は一言もない」と書いている。

 どうも矛盾するように見えるが、それが核保有国の場合、河野太郎が言っている「夕食会」、ここで言っている「意見交換会」にジュネーブ軍縮会議参加国でありながら参加していない「核兵器保有国」はアメリカ、イギリス、インドのみである。

 核保有国と限定した場合、反対した国はアメリカの疑いが最も濃く、次にイギリス、三番目がインドということになる。

 これがゲスの勘繰りだと言うなら、薄汚い情報操作など行わずに反対した国はどこか、反対の理由は何か、反対に対して日本代表部はどのような反論を試みたのか、反対に対する反論がどのような経緯を経て反対という結末を迎えたのか、全てを明らかにすべきである。

 また外務省は意見交換会には「49名の外交団職員」が参加していると書いているが、「外交団職員」であって、軍縮会議に参加する各国外交団の長に当たる特命全権大使というわけではない。

 聞き手の格によって直接耳に届くか届かないかの違いが出て、説得効果は異なってくるし、質疑応答があったとしても、肝心の「核兵器保有国」は自国の軍事的安全保障を錦の御旗にして高校生に対して単に尋ねる、単に聞き置くといった形式が罷り通らなかった保証はない。

 当然、「有意義な展開となった」、「良い機会となった」と請け合うには参加した高校生に聞くのが最も正直な反応で、河野太郎の保証だけでは十分とは言えない。
 
 河野太郎は自分たちが満足な情報公開を行いもせずに、逆に情報操作を交えて必要とする情報を明らかにしないままに東京新聞の記事を「後ろから鉄砲玉を撃つ必要はない」と不当に批判する。

 外務大臣という重要な閣僚を担いながら、薄汚い情報操作に基づいたこの不当な批判は河野太郎個人の資質なのだろうか、安倍晋三の閣僚になると、安倍晋三の影響を受けて朱に交われば赤くなるということなのだろうか。

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安倍晋三は対北朝鮮「圧力、圧力」と騒がずに日本上空や経済水域飛来のミサイルは撃墜すべきではないのか

2017-09-16 12:20:18 | 政治
  
 【謝罪】2017年9月15日の当「ブログ」冒頭部分で、最初は9月7日のウラジオストクでのプーチンとの首脳会談後に一般的には行こなわれる内外記者会見は行われなかったと書き、少し後の方で、〈ネットで日ロ共同記者会見の動画を見つけて、文字に起こしてみた。〉と書いたが、間違っていました。1時間程度後に冒頭部分に〈幾つかのマスコミが「会談後の共同記者発表で」と、共同発表が行われたことは伝えている。〉と新たに一節を書き加えて、現在の文章、〈ネットで日ロ共同記者発表の動画を探したところ、「共同記者会見」という名称で見つけることができて文字に起こしてみたが、共同記者発表の間違いではないかと思う。発言から、日ロ平和条約締結議論が何ら進展していないことが分かる。文飾は当方。〉と書き直しました。訂正以前に矛盾した文章を読むことになった読者に謝罪します。

 北朝鮮は国際社会の警告、国連安保理の制裁にも関わらずミサイルの発射実験を続けている。8月26日、2017年に入って12回目となる短距離弾道ミサイル3発を発射、1発は発射直後に爆発したものの、2発は250キロ飛来して日本海に着水させている。

 3日後の8月29日に中距離弾道ミサイル「火星12号」を何の予告もなく発射、ミサイルは北海道上空を通過して襟裳岬から1180キロ沖の太平洋上に落下させている。

 この立て続けのミサイル発射と5回目となる日本上空飛行に安倍晋三は北朝鮮に対する圧力強化を主張、国際社会に圧力強化を訴えた。

 文飾は当方。

 安倍晋三政府としては、ミサイル発射直後からミサイルの動きを完全に把握しており、国民の生命を守るために万全の態勢を取ってまいりました。

 我が国を飛び越えるミサイル発射という暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威であり、地域の平和と安全を著しく損なうものであり、断固たる抗議を北朝鮮に対して行いました。国連安保理に対して緊急会合の開催を要請します。国際社会と連携し、北朝鮮に対する更なる圧力の強化を日本は強く国連の場において求めてまいります

 安倍晋三は3回もトランプと電話会談して、3回共、圧力強化で認識を一致させている。圧力万能であるかのように。

 いや、「圧力強化、圧力強化」と言い立てていたのだから、“圧力万能信仰”に取り憑かれているのだろう。

 北朝鮮は国際社会の軍事行動の可能性を含めたこのような圧力一辺倒の姿勢にも関わらず、5日後の9月3日午後、水爆実験を行う強硬姿勢を見せた。北朝鮮側から言うと、日本を含めた西側の圧力をモノともしなかったのだから、安倍晋三の“圧力万能信仰”は効き目がなかったことになる。

 だが、安倍晋三は国連安保理に対して緊急会合の開催を要請して、「国際社会と連携し、北朝鮮に対する更なる圧力の強化を日本は強く国連の場に於いて求める」と“圧力万能信仰”を揺るぎなく掲げ続けた。

 国連安保理は翌9月4日から緊急会合を開催、日米両国が新たな圧力となる対北制裁決議の採択を求めた。

 「9月5日外相記者会見」(外務省) 

 記者「北朝鮮,核実験をめぐって、昨日,日本時間の遅くですが、安保理緊急会合がありました。アメリカ側から強い制裁を含むものを11日に提出したいということがありまして、一方で中露の対応がですね、また焦点になるかと思いますが、まず会合の受け止めと・・・」

 河野太郎「会合では、北朝鮮に対する強いメッセージということになったと思っております。アメリカから新たな決議案が出てくるということで、ニューヨークではその採択に向けて、様々な調整が行われると思っております」

 河野太郎は安保理が緊急会合を開いて、アメリカが新たな強い対北制裁案を提出するというだけで「北朝鮮に対する強いメッセージ」になったと見ていた。

 安倍晋三はロシアのウラジオストクで開催される東方経済フォーラムとプーチンとの首脳会談に向けて出発する前の9月6日、首相官邸のエントランスでぶら下がり会見を受けている。

 安倍晋三「北朝鮮は、今の政策を進めていく、今の道を進んでいくのであれば、明るい未来はないということを理解させ、現在の政策を変えさせなければなりません」

 勿論、強力な圧力そこが「明るい未来はないということを理解」させる最も有効な手段だという“圧力万能信仰”に基づいた発言でなければ対北朝鮮姿勢に一貫性を欠くことになる。

 国連安保理は9月11日、北朝鮮に対する新たな制裁決議を全会一致で採択した。その決議はアメリカの当初案よりも後退していたものの、それでも北朝鮮にとっては厳しい経済制裁となるはずだったし、安倍晋三も官房長官の菅義偉もそう見ていた。

 安倍晋三「北朝鮮に対する格段に厳しい制裁決議が迅速に全会一致で採択されたことを高く評価する。今後、国際社会でしっかりとこの決議を履行していくことが求められる。

 北朝鮮に対し、これまでにない高いレベルの圧力をかけ、北朝鮮の政策を変えさせることが大切だ。そのために今回、国際社会が連携・連帯し、明確な意思を示すことができた。今後も各国と緊密に連携しながら、北朝鮮の政策を変えさせるべく日本もそのリーダーシップを発揮していきたい」(NHK NEWS WEB)  

 決議を以てして「国際社会が連携・連帯し」、対北朝鮮圧力の「明確な意思を示すことができた」。その意思を実効あらしめるためには決議の完全履行が求められると、履行されさえすれば、北朝鮮を追い詰め、ミサイルと核の放棄に繋がると見た。

 “圧力万能信仰”に則った発言そのものとなっている。

 菅義偉「今回の決議では初めて、北朝鮮への原油・石油の供給量の上限が設定されるなどしており、今回と過去の決議を完全に実施した場合、北朝鮮の輸出による外貨収入の約90%の削減が見込まれる。引き続き日米韓で連携しつつ、中国・ロシアとも協力し、決議の完全なる実施の確保のために力を尽くしたい」(同上)

 「北朝鮮の輸出による外貨収入の約90%の削減が見込まれる」という計算は北朝鮮経済に相当な打撃を与えることができるという期待でもあり、次にミサイル開発放棄・核開発放棄への期待を置いていることになる。

 安倍晋三も菅義偉も、安保理が緊急会合を開いただけで「北朝鮮に対する強いメッセージ」になったと見た河野太郎も含めて、これで北朝鮮は音を上げるだろうと少なくとも期待を込めたはずだ。
 
 音を上げさせることを目的としない圧力強化・安保理制裁決議というものは努力する意味を失わせる。

 北朝鮮は9月11日の国連安保理対北朝鮮制裁決議全会一致採択から僅か4日後の9月15日午前6時57分頃、全部で6回目となる北海道上空通過、太平洋沖落下の中距離弾道ミサイルの発射実験を再び何の予告もなしに行った。しかも飛距離を1000キロも伸ばし、グアムを射程距離に優に収めることになった。

 北朝鮮が再び行った北海道上空通過のミサイル発射当日の9月15日に安倍晋三は官邸エントランスでぶら下がり記者会見を行っている

 安倍晋三「先般の国連決議で示された国際社会の一致した平和的解決への強い意志を踏みにじり、北朝鮮が再びこのような暴挙を行ったことは断じて容認できません。安保理に対して緊急会合の開催を要請します。

 世界の平和を脅かす北朝鮮の危険な挑発行為に対して、国際社会で団結して、一致して、明確なメッセージを発しなければなりません。今こそ国際社会の団結が求められています。

 先般の制裁決議を完全に履行しなければならないことが改めて明らかになりました。北朝鮮がこの道を更に進めば明るい未来はない、そのことを北朝鮮に理解させなければなりません。

 今回も、日本政府は、ミサイル発射直後からミサイルの動きを完全に把握しており、万全の態勢をとっておりました。

 引き続き強固な日米同盟の下、緊張感を持って、国民の安全、安心の確保に万全を期してまいります」

 安倍晋三は北朝鮮の9月3日午後の水爆実験後に「北朝鮮は、今の政策を進めていく、今の道を進んでいくのであれば、明るい未来はないということを理解させ、現在の政策を変えさせなければなりません」と、圧力を強化していくことで「明るい未来はない」ことを思い知らせるという意味合いの警告を発していたが、今回の弾道ミサイル発射でも繰返す形で同じ警告を発している。

 水爆実験と今回の弾道ミサイル発射の間に国連安保理によるより厳しい対北朝鮮制裁決議の採択があった。と言うことは、制裁決議という圧力を以てしても警告が役に立たなかった、あるいは効き目がなかったにも関わらず、繰返し同じ警告を発し、しかもなお圧力を強めていく姿勢を見せたことになる。

 安倍晋三の警告が役に立たなかった、あるいは効き目がなかったことは安保理制裁決議採択から僅か4日後という極く短い日数に如実に現れている。発射が安保理制裁決議採択への反発であったとしても、経済制裁を恐れていないという金正恩の強い意志表示を示してもいるはずだからだ。

 もし恐れていたなら、決議が履行されるかどうか暫く様子見をして、これなら大丈夫と判断したところでミサイル発射なり核実験を行うなりするだろう。ところが、3日という日数を間に置いただけでミサイル発射の挙に出た。

 一方の金正恩が経済制裁を恐れない姿勢を頑固に守って、それが虚勢であったとしても、虚勢の方が却って始末に悪いのだが、弾道ミサイル発射実験や核実験を強硬に繰返して、もう一方の日米等が“圧力万能信仰”一辺倒で行き着くところまで圧力を強めていった場合、軍事的解決という手段も真剣に検討されるだろうから、このような事態進行の過程で当然、衝突の危険性は高まっていき、北朝鮮の暴発という最悪の場面を迎えない保証はない。

 暴発の場合の被害は韓国、日本、日本駐留の米軍が最も大きく受けると言われている。そうなってからでは遅いのであって、“圧力万能信仰”は却って国民に仇をなすことになる。

 安倍晋三はいくら圧力を強めても、ミサイル開発と核開発断念のところで終わりを告げるとでも考えているのだろうか。戦前の日本軍は戦況が最悪の状況に陥り、もはや戦争を維持する能力を失った後も戦争継続に拘り、却って犠牲者の数を多くし、被害を広げることになった。

 圧力一辺倒が招きかねない北朝鮮の暴発を防ぐには北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する技術を獲得する前に日本上空や経済水域飛来のミサイルは破壊措置命令を出して、韓国や日本海巡回の米軍艦艇とも協力して、日本の場合は海上自衛隊イージス艦の海上配備型スタンダード・ミサイルSM-3か、航空自衛隊の地上配備型のパトリオット・ミサイル3(PAC3)のいずれかの迎撃ミサイルで、あるいは双方を使って撃墜すべきではないだろうか。

 兎に角政府は閣議決定した答弁書で日本の弾道ミサイル防衛システムを100発100中の論理で装わせているのだから、撃墜が不可能ということはないはずだ。

 迎撃することによって、いくらミサイルを開発してもムダであること北朝鮮に思い知らせることができる。迎撃ミサイルのなお一層の性能向上にも役立てることができる。

 もし北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する技術を獲得以後迎撃ミサイルで破壊したとしても、その場合は破壊された核弾頭からの放射性物質が風向きによって朝鮮半島に達したり、日本に飛来してくる恐れが出てくる。福島の東電の比ではない拡散を考えなければならない。

 安倍晋三は前回の5回目となる日本上空ミサイル発射後に「政府としては、ミサイル発射直後からミサイルの動きを完全に把握しており、国民の生命を守るために万全の態勢を取ってまいりました」と言い、今回6回目も同じとことを発言しているが、この言葉の有効賞味期限は北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載する技術の獲得以前であり、尚且つ暴発以前ということを肝に命じておかなければならない。

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安倍晋三の不都合な事実の国民に対する説明責任回避の情報操作・隠蔽の2例 日ロ問題と拉致問題

2017-09-15 11:59:13 | 政治

 安倍晋三が20017年9月6日と7日、ウラジオストクを訪問、7日午前、「東方経済フォーラム」出席の韓国の文在寅大統領と会談。午後に「東方経済フォーラム」に出席、その後プーチンとの首脳会談。

 安倍晋三は9月7日の首脳会談後、一般的には行われる質疑を伴う内外記者会見は行わなかった模様だ。幾つかのマスコミが「会談後の共同記者発表で」と、共同発表が行われたことは伝えている。その発言要旨が普段は外務省サイトに公表されるのだが、それも公表されず、9月15日の今日に至っても前者のテキストと共に動画が官邸サイトに載せられていないのは当然ということになるが、外務省サイトに共同記者発表の要旨も載せられていない。

 但し「外務省」サイトに首脳会談で取り上げられた議題の要旨が記載されている。そこに共同記者発表の写真が載っているのだが、共同記者発表の写真を参考までにここに載せておいた。

 日ロ関係に於ける似たような例は2017年4月27日のモスクワで行われたプーチンとの首脳会談の際にも見ることができる。首脳会談後共同記者会見を行ったが、いつもは2、3日後に公開される首相官邸サイトにその動画とテキストは今回に限ってどちらも載らずじまいとなっている。

 2016年12月15日山口での日ロ首脳会談と12月16日東京での日ロ首脳会談後の12月16日日ロ共同記者会見は動画とテキスト共に公開されている。公開は国民に対する説明責任の部類に属す。

 そうである以上、2017年4月27日の日ロ首脳会談に関しても、今回のウラジオストクでの日ロ首脳会談に関しても、安倍晋三は国民に対する説明責任を満足に果たさず、その責任を回避したことになる。

 なぜ回避したのか。今回でプーチンとの首脳会談は19回を数えることになるのだそうだが、19回と数える程には共同経済活動に関しては議論が前に進んでいるが、北方四島の帰属を決めて日ロ平和条約を締結する議論に関しては何ら進展を見ないから、そのことの批判を避けるためだとは誰の目にも明らかであろう。

 と言うことは、安倍晋三にとっては不都合な事実の国民に対する説明責任回避の情報操作・隠蔽に当たる。もしそうでないなら、ウラジオストクでのプーチンとの首脳会談後に記者会見を開くべきだし、共同記者発表を行ったなら、そのテキストなり動画なりを官邸サイトに載せるべきだったろう。

 ネットで日ロ共同記者発表の動画を探したところ、「共同記者会見」という名称で見つけることができて文字に起こしてみたが、共同記者発表の間違いではないかと思う。発言から、日ロ平和条約締結議論が何ら進展していないことが分かる。文飾は当方。

 「日テレNEWS24」(2017年9月7日 20:22)   

 安倍晋三「1年前の約束通り、美しいウラジオストクを再び訪れることができました。ロシア側の温かいお迎えに心から感謝します。

 本日の会談では重大且つ差し迫っている脅威となっている北朝鮮についてプーチン大統領と深く意見交換を行い、そして北朝鮮が強行した核実験が朝鮮半島及び地域の平和と安定に対する深刻な脅威であり、グローバルな国際間関係に対する重大な挑戦となるという認識で完全に一致を致しました。

 弾道ミサイルの発射や最大の核実験を行った北朝鮮を最も強い言葉で非難します。北朝鮮がこのような道を進んでいけば、北朝鮮に明るい未来はない、このことを北朝鮮に分からせて、こうした政策を変えさせる必要があります。

 日ロ両国は国連安保理も含め、今後共緊密に連携、緊密に協力していくことで一致致しました。

 この1年間に日ロ関係は大きく進展しました。大統領と私が進める8項目の協力プランは今回50件を超える成果を生み出しました。ウラジオストクをアジア太平洋のゲートウエイとする開発の青写真。日ロ経済医療分野のでの協力、プロジェクトチームのための10億ドルの投資枠組みの創設、改正租税条約も署名されました。

 8項目の協力プランが共に利益を享受する形として結実するよう、私達の努力は続きます。4島を巡っても、昨年12月の長門の会談以降、様々な進展がありました。

 両国民が活発に行き来しながら、4島で互恵的に協力できるようにしたい、元島民の方々がふるさとを訪問し、墓参りができるようようにしたい、このような未来を心から願う。70年以上動かなかった過去を乗り超えられる。

 この新しいアプローチが現実のものとなります。私達が協議を進めている4島に於ける経済共同活動、昨年12月の長門での合意に基づき、今回早期に取り組むプロジェクトとして5件の候補を特定しました。

 海産物の共同増養殖プロジェクトと温室野菜栽培補助、島の特性に応じたツアーの開発、風力発電の導入 、ゴミの減容対策、これら5件のプロジェクトを早急に具体化します。

 人の移動の枠組みの検討も加速させます。その他のプロジェクトに就いても、引き続き話し合っていきます。またもし貝殻島灯台の改修が実施されれば、補助を行うでしょう(?)

 プーチン大統領の指示によりアクセスが閉ざされていた墓地への訪問が8月に実施されました。訪問団長は120%満足とおっしゃっています。歴史上初めての航空機を利用した墓参も9月下旬を目途に実施します。

 元島民の方々に代わって感謝の気持ちを伝えます。(プーチンの方に顔を向けて)ウラジミール。ありがとう。今後も人道の観点から改善策に取り組んでいきましょう。

 国民交流を進めていくことは重要です。来年はロシアに於ける日本年、日本に於けるロシア年です。来年5月26日、伝統あるボリショイ劇場で開会式を開催します。2018年を両国国民の信頼と友好の年にしようではありませんか。

 日ロ関係にとって最も重要なのは平和条約の締結。プーチン大統領は訪日の際、こう述べました。『平和条約を私達の手で結ぶ』との決意を新たにしました。

 ウラジミールとは11月のAPECの際にも改めて会談することを約束しました。私達はあらゆる機会を捉えて、会談を重ねていきたいと思います。

 「この1年間に日ロ関係は大きく進展しました」と言い、「4島を巡っても、昨年12月の長門の会談以降、様々な進展がありました」と言っているが、経済協力に関しての「進展」のみで占められているに過ぎない。

 そして最後の最後になって平和条約の話が出てくる。「日ロ関係にとって最も重要なのは平和条約の締結。プーチン大統領は訪日の際、こう述べました。『平和条約を私達の手で結ぶ』との決意を新たにしました」、たったこれだけで、尻切れトンボのように切り上げている。 

 「平和条約を私達の手で結ぼう」と決意新たに確認し合うだけでは首脳会談を更に1回積み重ねる意味は出てこない不都合な事実であるはずだ。もし何らかの進展が目に見える具体的な形で成果とすることができていたなら、その成果を決意の結実として取り上げていただろう。

 取り上げていないということは成果とできる進展が何もなかったことを意味する。だから、経済協力の話題が発言の殆どを占めることになって、平和条約に関しては触れない訳にはいかないから、安倍晋三にとっては不都合な事実ではあるが、最後の最後に申し訳程度に発言することになったということなのだろう。

 プーチンのこれまでの発言やロシア側の北方四島に関わる言動や政策を総合すると、安倍晋三が、当たり前のことだが、北方四島を日本に返還する形、そのような帰属を決めた上での平和条約の締結を考えているのに対してプーチンは北方四島に於けるロシアの主権を維持したままでの同床異夢の平和条約の締結を描いているに過ぎない。

 当然、安倍晋三とプーチンが「平和条約を私達の手で結ぼう」と何度決意を新たにしようとも、同床異夢となっている以上、日本側にとって何ら意味を成さない。

 同床異夢だからこそ、ロシア側は北方四島の開発にせっせと精を出し、軍備増強にせっせと励んでいる。目に見えない形で「北方四島はロシアの領土だぞ」と書いた旗を立てているようなものである。

 いずれにしても19回目となるプーチンとの首脳会談でありながら、北方四島返還問題で見るべき議論がなされなかった不都合な事実を明らかにした場合の批判やら咎めやら、とやかく言われるのを忌避したい思いがあったからこそ、記者からの質問が出る内外共同記者会見を開かず、共同記者発表を行いながら、その発言を首相官邸サイトに載せなかったこと以外の理由は誰も考えることはできないはずだ。

 自身に都合の良い事実に関しては国会答弁や記者会見で「ファクトこそが重要だ、全てだ」と勇ましく宣伝はするが、都合の良い事実だけを選んで言うことも一種の情報操作だが、不都合な事実は明らかにしないようにすることは情報操作であると同時に情報隠蔽に当たる。

 結果として不都合な事実の情報操作・隠蔽は国民に対する説明責任の回避の形を取ることになる。

 一国の首相としての責任は見当たらない。

 この安倍晋三にとっての不都合な事実の国民に対する説明責任回避の情報操作・隠蔽は拉致問題に関しても発揮されている。

 9月12日(2017年)、スイスで開かれていた北東アジアの安全保障に関する国際会議に出席していた外務省アジア大洋州局の鯰(なまず)博行参事官が同じく出席していた北朝鮮外務省北米局のチェ・ガンイル副局長と短時間意見交換を行った際、核実験など北朝鮮の一連の挑発行動に厳重に抗議すると共に核やミサイル開発を禁じた国連安保理決議を順守することと、北朝鮮が拉致被害者を含む日本人行方不明者の全面的な調査を行うと約束したストックホルム合意を履行し、一日も早く全ての拉致被害者を帰国させるよう求めたことを発表したと、2017年9月13日付「NHK NEWS WEB」が伝えている。        

 この発表は日本側が求めたことのみで、北朝鮮側の反応は一切発表していない。拉致から40年経過しているということで、被害者は50代、60代となり、被害者の家族の中には年老いて亡くなっている親もいる。9月13日には拉致被害者家族会や支援団体「救う会」、超党派の「拉致議連」の訪問団が米国のワシントンでシンポジウムを開き、トランプ政権や米議会に対し、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定するよう訴えてもいる。

 安倍晋三としては北朝鮮のミサイル開発・核開発に対して圧力を加える政策だけではなく、拉致問題の解決に向けて取り組んでいる姿勢見せなければならない。

 だが、北朝鮮側の反応を一切伝えないと言うことは日本にとって北朝鮮側から不都合な事実しか伝えられなかったことの証明としかならない。逆に都合の良い事実を伝えられていたなら、安倍晋三自身が記者会見を開いて、大体的に発表しているはずだ。

 このことも不都合な事実は国民には伝えない情報操作・隠蔽に相当し、国民に対する説明責任の回避そのものとなる。

 一国の首相が不都合な事実は情報操作し、隠蔽して国民に対する説明責任を回避する。このような不誠実・不正直が罷り通っている。

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安倍晋三の北朝鮮ミサイル対応:国会答弁や政府答弁書と矛盾する「国民の生命財産を守る」は単なるカラ約束

2017-09-14 11:43:55 | 政治

 2017年4月4日、シリア政府が同国北西部の反政府勢力支配地域をサリン使用の化学兵器で空爆、翌々日の4月6日、トランプ米大統領はその懲罰、報復として地中海展開の2隻の米駆逐艦から59発の巡航ミサイルを用いてシリア政府軍の空軍基地の航空機、防空システム、燃料貯蔵庫等を攻撃、破壊した。

 文飾は当方。

 2017年4月13日参院外交防衛委員会

 浅田均(日本維新の会)「今まで巡航ミサイルを配備するとかいうことになると、それは攻撃であると。我が国は防衛を主体に先制攻撃という能力は持たないわけですから、だから巡航ミサイルというものの配備についてもそういう考え方で排除されてきたと思うんですけれども、(北朝鮮が)本当にもう200キロまで撃ち込んでくると。だから、方角さえ間違えれば北朝鮮からの弾道ミサイルが日本に着弾する、そういう差し迫った危機を迎えているわけです。

 そういう危機を排除する、それに対して抑止力を持つために、巡航ミサイルの配備、あるいは、日本の戦闘機というのは航続距離が短いですから、空中給油を可能にして、そういう敵基地に接近できる作戦を展開できる、そういう能力を持つために空中給油機能を強化する、あるいは最初に申し上げましたように、巡航ミサイルを配備する、そういうことも選択肢の中にある、検討項目に加えていただきたいと思うんですが、この点はいかがですか」
 
 安倍晋三「言わば、日本がいわゆる先制攻撃をするということは、これはあり得ないわけでございますが、言わば北朝鮮がミサイルを発射し、日本に残念ながらミサイル防衛能力をくぐり抜けて着弾するという事態が起こる中において、それを反撃をする能力を持つべきではないかというのが自民党の議論、あるいは提言の問題意識の中心でございます。

 言わば抑止力として、ミサイル防衛能力はいわゆる抑止力とはならないわけでありまして、彼らに対して反撃する能力を持って、それを抑止力とするべきではないかという、そういう論点でございます。

 しかし、日本においては、言わば米国にその抑止力は、打撃力としての抑止力は、敵基地攻撃能力については米国に依存をしているわけでありまして、現在自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系は保有しておらず、また保有する計画もないわけでありますが、しかし、その上で、先ほど申し上げましたように、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しくなっているわけであります。

 先ほどシリアについての議論が出されたわけでありますが、言わばサリンを弾頭に付けて着弾させるという能力については既に北朝鮮は保有している可能性があるわけでございまして、先般シリアにおいて100名近くの赤ん坊や子供たちも含む無辜の民が犠牲となったわけであります。ああした現実をしっかりと踏まえながら、それはさせないという言わば抑止力をしっかりと持つべきであろうという議論が当然あるわけでございます。

 その上において、今、日米の同盟を強化をしているわけでございますが、その上で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中で、日米間の適切な役割分担に基づいて日米同盟全体の抑止力を強化をし、そして国民の生命と財産を守るためには我が国として何をなすべきかという観点から、常に様々な検討は行っていくべきものと考えております。

 日本の総理大臣であり、自衛隊の最高指揮官である安倍晋三自身が「北朝鮮がミサイルを発射し、日本に残念ながらミサイル防衛能力をくぐり抜けて着弾するという事態が起こる」可能性に言及しだけではなく、「サリンを弾頭に付けて着弾させるという能力については既に北朝鮮は保有している可能性」を指摘した。

 日本の弾道ミサイル防衛システムは海上自衛隊イージス艦の海上配備型スタンダード・ミサイルSM-3が大気圏外で迎え撃ち、失敗した場合は航空自衛隊の地上配備型のパトリオット・ミサイル3(PAC3)が高さ十数キロの地上近くで迎撃する2段構えの仕組みとなっていると言う。

 2段構えとなっていること自体が迎撃ミサイルが100発100中でないことの証明だとブログに何度か書いてきたが、海上配備のSM-3が迎撃失敗した弾道ミサイルを迎撃する地上型PAC3にしても同じとしなければ、論理的矛盾が生じる。

 この論理的矛盾に日本の総理大臣であり、自衛隊の最高指揮官である安倍晋三自身が「ミサイル防衛能力をくぐり抜けて着弾するという事態」の可能性を口にしたことで整合性を与えたことになる。

 安倍晋三のこの発言は2017年4月13日のことだから、それから5カ月しか経過していない。5カ月の短時間で迎撃サイルの命中率が100%近くに到達したと言うことはあり得ないはずであし、もし到達していたなら、安倍晋三はそのことをさも自身の貢献であるかのように誇らかに宣言するはずである。

 迎撃ミサイルが100発100中ではないという技術的不足は日本本土に向けて発射された場合の北朝鮮ミサイル対応の「国民の生命と財産を守る」システムにしても100発100中でない技術的不足を抱えていて、前者・後者はその相互的言い替えとなる。

 こういったことに危惧を抱いだのだろう、民進党衆議院議員の逢坂誠二が質問主意書で政府に尋ねた。

 質問本文情報(平成29年4月19日提出)   

質問第240号

北朝鮮軍のサリンを弾頭に付けた弾道ミサイルの迎撃に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二

 現在、防衛大臣は、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射する可能性が高いとして、自衛隊法第82条の3でいう「破壊措置命令」を発令しているものと承知している。かかる破壊措置命令は、昨年八月以降持続的に命令を出しておく常時発令の状態にあり、我が国の防衛に寄与しているものと承知している。

 平成29年4月13日、参議院外交防衛委員会において安倍総理は、「サリンを弾頭に付けて着弾させるという能力については既に北朝鮮は保有している可能性がある」と答弁した。

 これらを踏まえて、以下質問する。

一 北朝鮮軍が「サリンを弾頭に付け」た弾道ミサイルを発射し、我が国の首都圏に着弾する可能性が生じた場合、市ケ谷の防衛省敷地内に配備された航空自衛隊の地上配備型迎撃ミサイルのパトリオットなどで迎撃するという理解でよいか。

二 パトリオットの対弾道弾射程は20キロ程度であり、首都圏で「サリンを弾頭に付け」た弾道ミサイルをパトリオットなどで迎撃した場合、その弾頭も破壊され、運搬されてきたサリンも我が国の領土に拡散されるという理解でよいか。

三 首都圏で「サリンを弾頭に付け」た弾道ミサイルを迎撃した場合の国民への被害シミュレーションを行った事実はあるか。

四 首都圏で「サリンを弾頭に付け」た弾道ミサイルを迎撃する場合、比較的地表に近い高度で弾道ミサイルが破壊されるため、首都圏に在住する国民への健康被害が生じることは否定できない。政府はかかる被害はどの程度であると評価しているのか。死傷者は生じる可能性があると考えているのか。

五 首都圏で「サリンを弾頭に付け」た弾道ミサイルを迎撃した場合の被害想定を政府が公表できないとすれば、国民の不安をどのように払しょくするのか、政府の見解を明らかにされたい。

六 パトリオットの対弾道弾射程は20キロ程度であり、国民への健康被害が皆無であるとは到底考えられない。政府はこれに対して国民に分かりやすい説明を行う準備はあるのか。見解を示されたい。

 右質問する。

 答弁本文情報(2017年4月28日受領) 

 答弁第二四〇号

 内閣衆質一九三第二四〇号
 平成29年4月28日

 内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 麻生太郎

 衆議院議員逢坂誠二君提出北朝鮮軍のサリンを弾頭に付けた弾道ミサイルの迎撃に関する質問に対する答弁書

 一について

 弾道ミサイルへの対処については、現実に生起した個別具体的な事態を踏まえて、最も適切な対応をとることとしており、一概に申し上げることはできないが、一般論として申し上げれば、我が国の弾道ミサイル防衛システムは、スタンダード・ミサイルSM-三搭載イージス艦による上層での迎撃と、ペトリオット・ミサイルPAC-三による下層での迎撃を組み合わせた、多目標対処を念頭に置いた多層防衛システムであり、サリン等の化学兵器が搭載された弾道ミサイルについても、これにより対処することとしている。

 二から六までについて

 お尋ねの「『サリンを弾頭に付け』た弾道ミサイル」を含め、化学兵器が搭載された弾道ミサイルをペトリオット・ミサイルPAC-三等により破壊した場合の我が国の領土における被害については、弾頭の種類・性能、迎撃高度・速度、気象条件等様々な条件により異なることから、一概に申し上げることは困難である。その上で、一般論として申し上げれば、弾道ミサイルに搭載された化学兵器については、弾道ミサイルの破壊時の熱等により、無力化される可能性が高く、仮に、その効力が残ったとしても、落下過程で拡散し、所定の効果を発揮することは困難であると考えられる。

 政府としては、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に万全の備えを整備しておくことが必要であると考えており、サリン等の化学兵器が搭載された弾道ミサイル対処についても、不断の検討を行っているが、その詳細についてお答えすることは差し控えたい。

 我が国に向けて弾道ミサイルが発射された場合には、政府としては、できる限り速やかに、警戒しなければならない地域の住民に対して屋内への避難を呼び掛けるなど、所要の情報を国民に提供することとしている。また、その際に留意すべき事項については、内閣官房の国民保護ポータルサイトにおいて説明されているほか、国と地方公共団体による共同訓練や都道府県の国民保護担当者に対する説明会等のあらゆる機会を利用して周知に努めているところである。

 この答弁書は平成29年4月19日提出の質問主意書に対して同年4月28日に閣議決定、同4月28日に衆議院議長が受領と言うことだから、安倍晋三が閣議を欠席していて、代理の麻生太郎が閣議決定の判を押したとしても、提出から閣議決定までの10日近くの間に安倍晋三は目を通していなければならないはずだから、我関知せずとは言えないはずだ。

 にも関わらず、日本の総理大臣であり、自衛隊の最高指揮官である安倍晋三が国会答弁で指摘した、「日本に残念ながらミサイル防衛能力をくぐり抜けて着弾するという事態」の可能性を無視して、日本の弾道ミサイル防衛システムを100発100中の論理で装わせた答弁書の内容となっている。

 100発100中としているから、「化学兵器が搭載された弾道ミサイルをペトリオット・ミサイルPAC-三等により破壊した場合」のみを取り上げて安全性云々を展開することができることになる。

 勿論、この100発100中論は化学兵器搭載の弾道ミサイルに限らないはずだ。例え核搭載の弾道ミサイルであっても、同じ100発100中の防御システムとなっていなければ、矛盾することになる。

 100発100中の危機管理となっているからこそ、「弾道ミサイルへの対処については、現実に生起した個別具体的な事態を踏まえて、最も適切な対応をとる」、事後対応の危機管理体制とすることができるのだろう。

 答弁書の以下の文言も100発100中論の危機管理で成り立っている。

 「一般論として申し上げれば、弾道ミサイルに搭載された化学兵器については、弾道ミサイルの破壊時の熱等により、無力化される可能性が高く、仮に、その効力が残ったとしても、落下過程で拡散し、所定の効果を発揮することは困難であると考えられる」

 この文言はあくまでも「破壊」した場合に限った、いわば100発100中であった場合のみ有効な安全性の保障であって、安倍晋三が国会答弁したように可能性として否定できない「ミサイル防衛能力をくぐり抜けて着弾するという事態」が発生した場合は、即ち「破壊」できなかった場合は口先だけの安全性の保障に堕すことになる。

 ところが一方で100発100中だとしていながら、「その詳細についてお答えすることは差し控えたい」と前置きしているが、「政府としては、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に万全の備えを整備しておくことが必要であると考えており、サリン等の化学兵器が搭載された弾道ミサイル対処についても、不断の検討を行っている」と、あらゆるケースに備えた危機管理に手を尽くしているような矛盾したことを言っている。

 こういったことを考慮せずにこの答弁書が確約している北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する日本の防衛システムの危機管理上の安全性の保障だけを信じた場合は一歩間違うと、国民の生命と安全に関して安全神話を成り立たせかねない。

 迎撃ミサイルの100発100中と言うことはそういうことであろう。

 この答弁書は安倍晋三の国会答弁の“非安全性”と矛盾する“安全性”の保障となっているが、あるいは安倍晋三の国会答弁の“非安全性”とこの答弁書の“安全性”の保障とは矛盾することになるが、この答弁書とも、安倍晋三の国会答弁とも矛盾する“非安全性”を示すことになる国民生活に関した危機管理が繰り広げられている。
 
 政府が内閣官房を先頭にして自治体と手を組んで各地で実施している、北朝鮮から発射された場合の「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」のことである。

 政府答弁書が保障するように日本の迎撃ミサイルが100発100中であるなら、「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」は必要ない。

 この矛盾にどう整合性をつけるのだろうか。

 安倍晋三が国会で答弁したように迎撃ミサイルが100発100中ではなく、「サリンを弾頭に付けて着弾させるという能力については既に北朝鮮は保有している可能性」を事実としているなら、「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」がサリン等の化学兵器搭載、あるいは核搭載の弾道ミサイルの地上着弾を受けた毒ガス拡散・放射性物質拡散を想定した内容となっていない国会答弁との矛盾はどう整合性をつけるつもりなのだろうか。

 整合性を何ら付けないままの「国民の生命・財産を守る」はカラ約束に過ぎない単なるスローガンと化す。安倍晋三たちはカラ約束のスローガンで、「国民の生命・財産を守る」を繰返し口にしていることになる。

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安倍晋三の支持率改善は北朝鮮の危険な行動による森友学園・加計学園のマイナス要素の一時的な棚上げが要因

2017-09-13 06:11:11 | Weblog

 2017年9月8日~10日実施の「NHK 世論調査」    

 「安倍内閣を支持する」44%(先月比+5ポイント)
 「支持しない」36%(先月比-7ポイント)

 「北朝鮮の日本上空通過弾道ミサイル発射とICBM搭載目的の水爆核実験についての不安」

 「大いに不安を感じる」52%
 「ある程度不安を感じる」35%
 「あまり不安を感じない」7%
 「まったく不安を感じない」2%

 「安倍晋三の対北朝鮮圧力強化姿勢について」

 「大いに評価する」21%
 「ある程度評価する」48%
 「あまり評価しない」18%
 「まったく評価しない」7%

 「北朝鮮への石油輸出禁止を必要だと思うか」

 「必要だ」49%
 「必要ではない」12%
 「どちらともいえない」31%(以上)

 安倍晋三が採用している対北朝鮮政策の全てが相対的に支持されている状況が示されている。

 他の質問で安倍晋三に関係あるのは「人柄」とか「政策への期待」等を問う安倍晋三支持・不支持の理由のみで、あとの質問は民進党新代表の前原誠司に対する期待・不期待、山尾志桜里の幹事長起用断念と既婚男性との交際疑惑報道で離党したことの民進党への影響、民進党と共産党の野党連携の是非であって、安倍晋三自身には関係ない。

 安倍晋三自身の身辺について言うと、ここ数カ月の森友疑惑・加計疑惑に代わって急激にクローズアップされたのは北朝鮮問題である。特に日本上空通過の弾道ミサイル発射実験は日本の安全保障に深く関係してくる。

 もしミサイル搭載の水爆の小型化に成功し、それが日本に向けて発射されたら・・・・・・・・・

 北朝鮮の危険性に対して安倍晋三は苦労もなく日本を正しい側に置くことができ、さらに「国民の生命・財産を守る」責任ある役目をウリにマスコミを通して自身を国民の前に頻繁に露出することができた。「北朝鮮に対話の用意がないことは明らかであり、いまは圧力をさらに高めるときだ」と毅然とした態度を好きなときに示すことができて、それなりにブレない指導者像を演ずることができた。

 森友疑惑・加計疑惑のマイナス要素からプラス要素への転換である。何を話しても胡散臭げに見られるダーティなイメージから日本の正しさを訴えることができることによって自身も正しさを纏うことができるイメージへの一時的な棚上げである。

 安倍晋三は内心では北朝鮮のミサイル開発・核開発に感謝しているのではないだろうか。日本の安全保障の脅威を理由に軍備増強を着々と進めることもできている。

 9月10日、11日実施の「朝日新聞世論調査」は安倍内閣支持・不支持は38対38だが、先月比で支持は+3ポイント、不支持は-7ポイントと改善しているのはこれまでの支持率下落を北朝鮮問題が踏みとどまらせる役目を果たしているからだろう。

 「安倍内閣の対北朝鮮対応」

 「評価する」39%
 「評価しない」39%
 「その他・答えない」22%

 「日本政府や自治体の国民への情報提供の適・不適切」

 「適切だった」42%
 「適切ではなかった」39%
 「その他・答えない」19%

 「安倍内閣の対北朝鮮対応」

 「評価する」39%
 「評価しない」39%
 「その他・答えない」22%

 「圧力の強化か、対話の努力か」

 「圧力の強化」40%
 「対話の努力」45%
 「その他・答えない」15%(以上)

 安倍晋三の対北朝鮮政策で不支持が上回っているのは安倍晋三が推し進めている「圧力の強化」40%に対して「対話の努力」45%の-5ポイントのみで、これ以外は同数か、支持が少し上回っていることが支持率下落を踏みとどまらせている要因であって、やはり日本の安全保障上の脅威を作り出している北朝鮮の現在の状況とそのお陰の国民の目に映るマスコミへの露出が安倍晋三の先月と比較した内閣支持率の回復に役立っていると言えるはずだ。

 勇ましいことを言っていれば済むのだから、北朝鮮様々に違いない。

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安倍晋三の文民でありながら、個人的に「私の誇り」とする自衛隊との一体性・一体感の危険性

2017-09-12 11:34:45 | 政治


 安倍晋三が9月11日(2017年)午前、東京市谷の防衛省で同省幹部や自衛隊の指揮官が一堂に会する自衛隊高級幹部会同に出席、「訓示」を行った。  

 最初に断っておくが、自衛隊は憲法違反である。安倍内閣が憲法解釈で集団的自衛権を行使容認する際、その根拠を「最高裁の判断こそ憲法の番人」だからと、砂川最高裁判決に置いたが、判決は集団的自衛権の行使を容認するとはどこにも書いてない。逆に自衛隊を日本国憲法第9条2項の「戦力不保持」を謳った「戦力」に当たるとの判断を示して、間接的に憲法違反に位置づけている。

 砂川判決は「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない」との見解を述べているが、一方で自衛隊が憲法第9条2項が禁じている「戦力」に当たると解釈したことから、「憲法9条は、わが国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを何ら禁ずるものではなく、外国の軍隊は、例えそれがわが国に駐留するとしても、ここにいう戦力には該当しないと解すべき」との理由付けで日米安全保障条約に基づいた米軍の日本駐留を憲法違反でない認めた上で、「国家固有の権能の行使」として認められている「自衛のための措置」を米軍に依存することは何ら問題はないとの判断を採用したに過ぎない。

 要するに安倍内閣は砂川判決が元々自衛隊違憲としていたことを「最高裁の判断こそ憲法の番人」だと主張することによって自分たちでは気づかないうちに自衛隊違憲の判決を逆に炙り出していたのである。

 にも関わらず、砂川判決に反して自衛隊合憲の立場に立っている。と言うことは「最高裁の判断こそ憲法の番人」だと言いながら、「憲法の番人」を自分たち安倍内閣に置いていることになる。

 何という僭越、何という不遜な思い上がりだろうか。

 いずれにしても多くの憲法学者が言っていることが正しい違憲存在の自衛隊幹部たちを前に安倍晋三は訓示を垂れた。

 北朝鮮が2017年8月29日早朝に事前の通告なく北海道上空を通過して太平洋上に落下させる弾道ミサイルを発射したことと9月3日正午過ぎに核実験を行ったことについて次のように触れている。

 安倍晋三「北朝鮮による、我が国上空を飛び越えるミサイル発射や核実験という暴挙。

 自衛隊は、発射直後から落下まで、ミサイルの動きを、切れ目なく完全に探知・追尾していました。速やかな放射能調査により、国民の安全を確認しました。北朝鮮がミサイル発射の検討を表明した時には、即座にPAC-3部隊とイージス艦を展開させました。県民の安心につながった。迅速な対応に感謝する。島根、広島、愛媛、高知の知事からの言葉です。国民の負託に全力で応え、与えられた任務を全力で全うする隊員諸君。国民から信頼を勝ち得ている自衛隊員は、私の誇りであります」

 何日前かのブログに「NHK NEWS WEB」記事を参考にして北朝鮮がミサイルを発射した場合、アメリカの早期警戒衛星が最初にそれをキャッチ、おおまかな発射場所や発射の方向などを割り出して、この情報を元に日本近海に展開する海上自衛隊のイージス艦が追尾、日本国内落下の予測の場合は迎撃ミサイル「SM3」で撃墜、迎撃が失敗した場合は航空自衛隊の地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」が地上近くで迎撃するという二段構えの備えとなっていて、二段構えそのものが、100発100中の迎撃ミサイルなど存在しないことの証明そのものとなっていると書いたが、この不都合な事実について一言も触れずに100発100中であるかのような都合のいい事実のみを例の如くに得々と口にしている。

 要するにいくら自衛隊が「発射直後から落下まで、ミサイルの動きを、切れ目なく完全に探知・追尾」することができたとしても、跡を追いかけるだけのことで、いざ迎え撃つとなると、常に完全ということにはならないことになる。

 にも関わらず、「県民の安心につながった。迅速な対応に感謝する。島根、広島、愛媛、高知の知事からの言葉です」と、「PAC-3部隊とイージス艦」の展開が「県民の安心」を確約するかのように言うことができる。

 迎撃ミサイルが100発100中であるなら、政府が内閣官房を先頭にして自治体と手を組んで各地で実施している「弾道ミサイルを想定した住民避難訓練」は必要なくなる。

 大体が一方で避難訓練を行っていること自体が迎撃ミサイルが100発100中でないことの証明そのものとなる。

 安倍晋三は「国民の負託に全力で応え、与えられた任務を全力で全うする隊員諸君」と言いながら、「国民から信頼を勝ち得ている自衛隊員は、私の誇りであります」と力強い言葉で応えている。

 ある対象に対して「私の誇り」とすることはその対象に対して一体性を表明することになり、あるいは一体感を表明することになる。だが、いくら自衛隊の最高指揮官であっても、軍人ではない文民である首相は文民統制の立場上、自衛隊とは常に一線を画する姿勢を保持しなければならない。

 そのような姿勢の保持に反する自衛隊に対する首相個人の一体性の表明、あるいは首相個人の一体感の表明は自衛隊を“国民対自衛隊という関係”に置くのではなく、“安倍晋三個人対自衛隊という関係”に置くことになる。

 このことを避けるためには、「多くの国民の誇りであります」と言わなければならなかったはずだ。このように言うことによって、自衛隊を“安倍晋三個人対自衛隊という関係”に置くのではなく、“国民対自衛隊という関係”に置くことができる。

 安倍晋三が自衛隊に対して“安倍晋三個人対自衛隊という関係”に置くこと自体が危険極まりないが、自衛隊、あるいは自衛隊員に対して「国家の誇り」ですと国家の立場に立って自衛隊との一体性、あるいは一体感を示した場合は自衛隊を“国家対自衛隊という関係”に置くことになり、安倍晋三が自身を国家の立場に擬えさせるという最悪の危険な状態に突き進むことになる。

 安倍晋三には自衛隊を“安倍晋三個人対自衛隊という関係”に置いたのと類似した前例がある。

 2015年3月20日の参院予算委員会で維新の党真山勇一から自衛隊の訓練の目的を尋ねられて、「我が軍の透明性を上げていく、ということに於いては大きな成果を上げているんだろうと思います」と答弁したことについて3月27日午後の参院予算員会で小野次郎維新の党議員からその真意を尋ねられると、「共同訓練の相手国である他国の軍との対比をイメージを致しまして、自衛隊を『我が軍』と述べたもので、それ以上でも、それ以下のものでもないわけでございます」と答えているが、文民である以上、文民統制の観点から自衛隊を独立した組織として距離を置くべきを、置かずに「我」と「軍」を一体化させて「我が軍」とする呼び方には自衛隊を安倍晋三自身に限りなく引き寄せるニュアンスが否応もなしに滲み出ている。

 独裁者が自国軍隊と自身を一体化させ、軍隊を自己所有物と見做すようにである。

 それが今回図らずも自衛隊に対して「私の誇り」と一体性、あるいは一体感を示すことで、自身を“安倍晋三個人対自衛隊という関係”に置いた、

 元々が戦前国家回帰主義者であり、国家主義者であるのだから、このような関係が“国家対自衛隊という関係”という危険な領域に発展しない保証ははない。

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安倍晋三の書道展での「無信不立」の書鑑賞、民衆の信頼は自身の自己絶対性・自己愛性人格とは水と油の関係

2017-09-11 10:34:42 | 政治

 安倍晋三が9月9日土曜日のプライベートの時間を東京都内の書道展鑑賞で過ごしたとマスコミが伝えている。「ロイター」   

 首相、「無信不立」の書しみじみ

 安倍晋三首相は9日、東京都内で書道展を鑑賞した。政治の師と仰ぐ小泉純一郎元首相が座右の銘「無信不立(信無くば立たず)」(むしんふりゅう)を書いた作品の前に立ち止まると、しみじみと見入った。内閣支持率が一時続落した状況を意識し、国民的人気が高かった小泉政権に思いをはせたかのようだった。

 書道展には、祖父岸信介元首相の写経や、母洋子さんの作品なども展示されていた。案内を務めた女性書家の説明を聞きながら「澄んだ字ですね」「立派だ」と語り、書を味わった様子。挑発行動を繰り返す北朝鮮への対応などに追われる中、つかの間の休息を過ごした。

 「信なくば立たず」と言う言葉は知っていたが、「無信不立」(むしんふりゅう)なる言葉もどこからの出典なのかも知らなかったから、ネットで調べてみた。

 『論語』顔淵編(中国春秋末期の儒者、孔子の高弟)にある言葉だという。実際には「民無信不立」と言い、言葉の成り立ちについては「顔淵出典(「格言・故事成語」講座)」が詳しく伝えている。      

 要約を「コトバンク」で借りると、〈《「論語」顔淵から》政治は民衆の信頼なくして成り立つものではない。孔子が、政治をおこなう上で大切なものとして軍備・食糧・民衆の信頼の三つを挙げ、中でも重要なのが信頼であると説いたことから。民信無くんば立たず。 〉

 簡単に言うと、基本的には「政治は民衆の信頼が基礎になる」と言うことなのだろう。あるいは「民衆の信頼が政治の栄養になる」。現在では「民衆の信頼」は世論調査で表される。

 内閣支持率が下がると、「世論調査に一喜一憂しない」という言葉が一般的な慣用句として使われるが、下がっている分、民衆の信頼を失っているのだから、実際は下がっている原因を追求して反省点は反省点として改める努力をしなければならないことになる。

 そうしないと、いつかは決定的に民衆の信頼を失って、「不立」の状況を迎えることになりかねない。記事が〈内閣支持率が一時続落した状況を意識し、国民的人気が高かった小泉政権に思いをはせたかのようだった〉と書いているが、そうするだけでは済まないことになる。

 安倍晋三が書道展に出かけて、「無信不立」の書道作品を眺める。その言葉を思い噛み締めて身を以って実践するためにはその言葉が僅かであっても自らの思想となっていて、血肉化していなければならない。素地のないところに種は育たない。

 書を眺めただけで、確かにその通りだとしみじみと思い反省して、それだけで自らの思想とし、血肉化にまで持っていくことができる程に「無信不立」は簡単なことではないはずだ。

 安倍晋三が国会論戦でその政治姿勢を厳しく批判されると、ときに冷静さを失ってキレたり、詭弁でしかない言葉を用いて無理矢理な反論を試みるのは自身の非は非、欠点は欠点として素直に認めることができない自分は常に正しいとする自己絶対性に立っているからであろう。

 自己絶対性に取り憑かれると、自身を完璧な政治家だと思い込ませることになり、その反動として完璧な政治家だと認めないことになる批判を非常に不愉快な攻撃と見做すようになって、自身に不都合な事実には頑なに耳を貸さず、自身に都合のいい事実のみを受け入れ、自身もその手の事実のみを流布する情報操作で自己絶対性を守る行動に走ることになる。

 この行動性は安倍晋三の行動様式そのものに重なる。精神分析に詳しいわけではないが、このような自己絶対性は自己愛性人格障害と名付けられている。

 ありのままの自分を愛することができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込む人格障害の一類型だそうだ。

 以前ブログに、〈自身を完璧な政治家だと信じるに至っている人格は、多分、A級戦犯被疑者であった祖父岸信介の膝に抱かれ、それを揺り籠とし、戦前日本が偉大な国家であったことの数々のお伽話・メルヘンを聞かせられて育ち、偉大な政治家と信じるに至った岸信介や佐藤栄作と血のつながりがあることが影響しているのではないのか。〉と書いた。

 そのような血の繋がりから自己絶対性が生まれ、結果として自己愛性人格障害に陥ることとなった。

 安倍晋三の自己絶対性が象徴的に剥き出しになったシーンがマスコミが取り上げ、世間で取り沙汰されることになった2017年7月2日投開票の都議選最終日7月1日の安倍晋三の秋葉原での自民党候補者の応援演説であろう。

 森友疑惑や加計疑惑で内閣支持率を下げていた安倍晋三は逆効果として応援演説を忌避され、自身も遠慮していたが、自身の自己絶対性から言って、我慢できなくなったのかもしれない。最終日に初の街頭演説に立ったものの、聴衆から「安倍ヤメロー」、「安倍帰れー」のコールが湧き起こり、森友学園の籠池泰典前理事長までが聴衆に混じってコールに参加、「寄付して貰った100万円を返す」と叫ぶ始末で、騒然となったという。

 だが、安倍晋三の自己絶対性の負けん気がムクムクと頭を持ち上げたに違いない。ヤジる聴衆に向かって次のように発言した。

 安倍晋三「あのように人が主張を訴える場所に来て、演説を邪魔するような行為を私たち自民党は絶対にしません。私たちは政策を真面目に訴えていきたいんです。憎悪からは何も生まれない。相手を誹謗中傷したって何も生まれないんです。こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかない。都政を任せるわけにはいかないではありませんか」(「産経ニュース」)  

 ヤジを頭から悪としての「憎悪」だと決めつける。「誹謗中傷」だと片付ける。そして「こんな人たちに、私たちは負けるわけにはいかない」と、正しくない側の人間だと単純に色分けする。

 安倍晋三自身が自己絶対性に立っているからに他ならない。自己絶対性が自分は正しく、自分に反対したり批判したりする人間は正しくないと価値判断することになる。

 自身が招いた疑惑に対する政治不信が「安倍ヤメロー」、「安倍帰れー」等のコールに反映されているとは考えもしない。

 憎悪が全て悪と言うわけではない。民主主義者が独裁主義者を憎悪する。この憎悪は独裁主義者にとっては悪だが、民主主義者には善として自明視される。

 価値判断は常に一方的な解釈で成り立つわけではなく、ときには相対化される。こういった物事の道理を冷静に判断することができないことも自己絶対性に立ち、自己愛性人格障害を患っているからだろう。

 「政治は民信無くんば立たず」の「無信不立」は自己絶対性の価値観、あるいは自己愛性人格障害とは決して相容れることはない。自己絶対性の価値観、自己愛性人格障害共に「無信不立」の価値観に対して常に拒絶する関係を築くことになる。

 自己を絶対として自己愛性人格障害に罹っている政治家が地位を守る自己保身から民衆の信頼を重んずるポーズを取ることはあっても、それを政治の基礎に置くことなどするはずはない。

 あるいは民衆の信頼を政治の栄養にすることなどあり得ない。自己の絶対性のみを信じることになるだろう。

 このような症状こそが、自己愛性人格障害を成り立たせる。両者共に「無信不立」とは水と油の関係を築くことになる。

 安倍晋三が書道展に出かけ、「無信不立」の書の前にしばし佇んだからと言って、内閣支持率下落の苦境にある我が身を省みて民衆の信頼の大切さを噛み締め直して、その大切さに注力することになったに違いないなど解釈しようものなら、飛んでもない勘違いに後で気づくことになるだろう。

 安倍晋三は逆立ちしても「無信不立」を思想化・血肉化できる政治家には出来上がっていないことに重々留意すべきである。

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安倍晋三の拉致問題を置き去りにすることで可能となっている対北朝鮮圧力一辺倒の強硬な姿勢

2017-09-10 11:57:53 | 政治

 「私達の使命はすべての拉致被害者のご家族の皆様が、自分のお子さん達を、そしてご親族を、自らの手で抱きしめる。その日を目指して、そしてそのことが可能になるまで、安倍政権の使命は終わらない」

 安倍晋三はこういったことを数限りなく、何度も口にしてきた。

 ここに来て拉致関係の記事が続けて報道されている。

 9月7日が69歳の誕生日となる拉致被害者の鳥取県出身の松本京子さんの兄松本孟さんが娘との再会を果たせないまま5年前に亡くなった母親松本三江さんの墓参りをして、今年の誕生日までに帰国が叶わなかったことを報告したと2017年9月7日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。  

 取材に次のように話したという。

 「拉致から40年、妹も69歳になってしまった。残された時間はそう長くないと思っていますので、政府は、拉致被害者一人一人を大切に思い、救出に全力を尽くしてほしい」

 翌9月8日付「NHK NEWS WEB」記事は昭和53年に福井県小浜市で妻の富貴恵さんと共に北朝鮮に拉致され、平成14年の日朝首脳会談の後に帰国を果たすことができた拉致被害者地村保志さんと小泉元首相との13年ぶりの面会を取り上げている。    

 小泉純一郎は次のように話したという。

 「まだどれくらい拉致された人がいるかわからない。地村さんが帰って来て15年経つが進展がないのは残念だ。現職の総理大臣でなければできない問題だ。相手が孤立している中、安倍総理大臣も熱意はあると思うので期待したい」

 地村孟さん。

 「是非会ってお礼を言いたかった。安倍総理大臣をはじめ政府には拉致問題解決のために力を尽くしてほしい」

 面会後、記者団に対して。

 「安倍政権には、北朝鮮と交渉して1人でも多くの拉致被害者が帰国できるよう進めてほしい。北朝鮮をめぐる情勢は複雑になっていて、日本国民にとっては拉致問題よりミサイル問題というのが正直な心情かもしれないが、日朝交渉を進めていく上で拉致問題は必ず取り上げてもらいたい」

 翌2017年9月9日付「NHK NEWS WEB」記事は拉致されて今年で40年経過の横田めぐみさんの弟横田拓也さんがさいたま市で開かれた集会に出席、拉致被害者の早期帰国を訴えたことを取り上げているj。     

 「拉致されなければ、高校や大学に進学したり、会社に入ったり、恋人ができて家庭を持ったりという当たり前のことができたはずなのに、姉はそうした機会を一瞬にして奪われました。

 本来なら両親のどちらかでも集会に出席できればよかったのですが、80歳を越えて、来ることができないのが現実です。1日も早く姉を取り戻し、家族と抱き合える日を作ってほしい」

 集会の後、記者に対してなのだろう、次のように話したという。

 「日本政府には、外交力を駆使し、リーダーシップを持って北朝鮮をめぐる問題に取り組んでほしいし、拉致問題を解決する手腕を見せていただきたい」

 横田めぐみさんは13歳で拉致されているから、54歳になる。横田拓也さんはご両親と共にめぐみさんと抱き合う瞬間を夢見、待ち望んでいるはずだ。
 
 第3回東方経済フォーラム出席と日ロ首脳会談のためにロシア・ウラジオストクを訪問していた安倍晋三が日本時間の9月6日夕方、モンゴルのバトトルガ大統領と初めて会談している。「NHK NEWS WEB」   

 モンゴルの大統領特使に任命された大相撲の元横綱朝青龍も同席したという。

 安倍晋三「大統領は柔道の黒帯を持っていると聞いていて、日本の文化にも造詣の深い方だ。私はモンゴルを地域の重要なパートナーとして重視しており、今後ともに手を携え、両国の関係を発展させていきたい。

 (北朝鮮は)日本の上空を通過する弾道ミサイル発射に続き、核実験を強行したことは、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、北朝鮮に対する実効的な圧力を強化する必要がある」

 記事は最後に安倍晋三が北朝鮮に対する実効的な圧力強化の必要性から制裁強化の新たな安保理決議採択の実現に理解を求め、両首脳は拉致問題の早期解決を含めて北朝鮮への対応で引き続き協力していくことを確認し合ったと書いている。

 安倍晋三は一方で対北朝鮮圧力強化の必要性を訴え、他方で拉致問題の早期解決を含めて北朝鮮への対応で引き続き協力していくことを確認し合うことが如何に矛盾しているか、鈍感にも気づいていない。

 安倍晋三は北朝鮮が2017年8月29日早朝に北海道上空を通過して太平洋上を目標地点とする事前の通告ない弾道ミサイルを発射した際、トランプ大統領と最初の電話会談を行っている。

 安倍晋三「北朝鮮に対話の用意がないことは明らかであり、いまは圧力をさらに高めるときだ。『すべての選択肢がその上にある』というアメリカの立場を支持している」(NHK NEWS WEB

 安倍晋三の発言は圧力の強化のみの強硬な姿勢は対話を排除させることになる双方の関係を暗に言い当てている。あるいは対話の排除を条件として圧力強化という強硬な政策が成り立つ関係を示唆している。

 日本が北朝鮮に対して対話を排除、圧力一辺倒の強硬な姿勢で対応したとき、北朝鮮は対話で応じるだろうか。強硬な姿勢に対して強硬な姿勢という同調効果しか生まないことは次の事例が象徴的に示している。

 北朝鮮は2017年7月4日に続いて7月28日も弾道ミサイルを発射、最初の発射の翌日7月5日に大陸間弾道(ICBM)ミサイル「火星14型」の初めての発射実験に成功した発表した。

 2017年8月3日に新しい防衛相に就いた小野寺五典が2017年8月4日に報道各社の共同インタビューに応じて、自民党検討チームの座長として今年3月に政府に提言した敵のミサイル基地を叩く「敵基地攻撃能力」の保有検討を「弾道ミサイル対処能力の総合的な向上のためのに進めていきたい」と発言したことに北朝鮮は反応、8月9日、北朝鮮の朝鮮中央通信が「我々は既に、決心すれば日本列島を瞬時に焦土化できる能力を備えた。日本の反動層が引き続きせせこましく振る舞うなら、無慈悲な核の強打を免れず、日本列島が太平洋に沈むことになる」(日経電子版/2017/8/9 23:35)との声明を発表している。

 現在のところ言葉の威嚇でしかないが、圧力に対しては圧力の同調効果、強硬な姿勢に対しては強硬な姿勢の同調効果しか跳ね返ってきていない。      

 北朝鮮は9月3日午後0時29分頃に行った自らの水爆実験に対して国連安全保障理事会がアメリカや日本主導のもと、新たな制裁決議の採択の動きを見せたことに対して日米に対して次のように威嚇したと、2017年9月8日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 アメリカに対して「水爆実験に込められた意味と警告を正しく判断できず、制裁と圧迫に執着すれば到底耐えられない断固たる対応に直面する」

 日本に対して「これ以上アメリカの手足となってふるまってはならない。制裁に率先して加担してきた罪に決着をつけるときを待っている」

 同じく言葉の威嚇にとどまっているが、北朝鮮に対する圧力=強硬な姿勢のみが強まって、それに応じて北朝鮮がそれ以上の圧力=強硬な姿勢て対応せざるを得なくなって同調効果が相互にエスカレートしていった場合、いつかは臨界点に達して双方が衝突しないとも限らない。

 要するに安倍晋三は北朝鮮の強硬な姿勢だけを誘発するような日本側の圧力強化、強硬な姿勢が北朝鮮側に対して拉致解決の話し合いを持ち出す機会を与える余地を逆に奪っていることになる。

 本人は気づいていないだろうが、拉致問題を置き去りにすることで可能となっている安倍晋三の圧力一辺倒の強硬な姿勢であり、北朝鮮の同調効果としての強硬な姿勢に過ぎない。

 日本と北朝鮮が、あるいは安倍晋三と金正恩が本質的にはこのような相互関係を築いているにも関わらず、当然、拉致解決の進展を見い出すことは毛程もできない関係を築いていながら、モンゴル大統領と拉致問題の早期解決を含めて北朝鮮への対応で引き続き協力していくことを確認し合った。

 当然のことだが、「私達の使命はすべての拉致被害者のご家族の皆様が、自分のお子さん達を、そしてご親族を、自らの手で抱きしめる。その日を目指して、そしてそのことが可能になるまで、安倍政権の使命は終わらない」 の言葉を自らウソにしていることになる。

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