■2007年度第4施設団創立記念行事
今回から、5月27日に実施された大久保駐屯地祭詳報を掲載したい。大久保駐屯地祭詳報は、記念式典編、観閲行進編、模擬戦闘訓練展示編、装備品展示編の四回に分けて掲載する予定である。
京都府宇治市にある陸上自衛隊大久保駐屯地は、中部方面隊直轄の施設科部隊である第4施設団が駐屯しており、陸上自衛隊初の国連平和維持活動への参加となったカンボジアPKO派遣に際しては、その中核部隊を編成したことで、この第4施設団大久保駐屯地を自衛隊国際貢献活動発祥の地、とする人も多い。
大久保駐屯地は近鉄大久保駅から程近く、近傍には、関西補給本処が駐屯する宇治駐屯地、弾薬補給処が置かれた祝園分屯地があり、京都市の桂駐屯地とともに中部方面隊の後方支援部隊中枢を形成する地域であるが、同時に実戦部隊である第4施設団が、この大久保に駐屯している。
0935時頃から式典参加部隊が会場に入場を開始する。第4施設団は、人員1900名。隷下に団本部、第6施設群、第7施設群、第304施設隊、第305施設隊、第102施設器材隊、第307ダンプ車輌中隊より編成された部隊で、施設団とは、部隊の英語表記が4th Engineer Brigadeとあるので、旧軍呼称を引用すると工兵旅団にあたる。
0951時、徒歩部隊の入場が完了するとともに群長、各中隊長、部隊幹部が73式小型トラックにて一斉に入場する。車輌には施設団旗、施設群旗を初めとした部隊旗が掲げられており、一糸乱れず迅速に展開、隷下部隊まえで各車輌が停車、部隊長が旗とともに降車した。
第4施設団長兼ねて大久保駐屯地司令が車輌により観閲台まえに展開。車輌から降車し観閲台に足を進める。同時に何台かのバスが式典会場に入場する、こうして貴賓席には市町村長、国会議員や代議士代理が車輌にて到着した。五月のやや強い日差しの下で、いよいよ大久保駐屯地祭が開始される瞬間である。
第4施設団長に敬礼!部隊旗が勢い良く掲げられる。施設群は本部管理中隊の下で三個施設中隊と器材中隊より成り、施設器材隊は本部付隊、架橋中隊、浮橋中隊、整備中隊より成る。その部隊旗が一斉に舞うこの瞬間は、施設団の力強さを垣間見えさせる瞬間だ。
1005時、国旗入場。着剣した小銃隊員に護られつつ、日章旗が会場に厳かに入場する。その背景には整列した部隊が望見できる。大久保駐屯地は、中部方面隊管区内ではかなり規模の大きな駐屯地であり、正門から会場までは徒歩だと、慣れない事もあり十分ほどかかる。途中、小さな駐屯地の式典会場に匹敵するグラウンドがあり、会場の隣には渡河訓練に用いる池が水を湛えている。
部隊巡閲!1010時、小川祥一陸将補が整列した部隊を車上から巡閲する。施設団旗を掲げた小川施設団長の車輌が進むとともに部隊が旗を掲げ、隊員は敬礼し指揮官に応える。大久保駐屯地祭式典編のハイライトとなる瞬間である。
部隊巡閲を終えて訓示を行う小川陸将補。第4施設群は、京都府南部と奈良県全域の防衛警備及び災害派遣任務を担っている。東海地震、東南海地震、南海地震という、京阪神中京圏に計り知れない脅威をもたらす地震災害に睨みをきかせる中部方面隊の直轄施設部隊であり、同時に国際人道支援任務をも担うべく日々訓練を重ねている部隊である。施設科部隊の任務は、野戦障害構築、野戦築城、渡河、障害処理、道路整備補修、架橋、拠点建設など多岐に及ぶが、師団施設大隊が築城や障害構築、障害処理などの第一線を担うのに対して施設団は、これら全般を前線から後方に至るまで、任務担当とする。このマンパワーは大きく、したがって災害時にも期待される部隊である。小川団長は使命の自覚、団結の強化、個人の充実などを挙げ、一層の精強化を訓示とした。
代議士による祝辞。90年代初期まで、陸上自衛隊では民間企業によってでは採算が取れない山間部や沿岸の道路工事を部外委託業務として請け負っており、地元との結びつきが強い部隊でもある。更に、部隊の性格上、迫る大震災の脅威に対して、官民一致協力で臨む必要があり、この日の来場者の多さが、何よりもその重要性を反映しているように見える。
整列した部隊。大久保駐屯地所在部隊のほか、富山駐屯地第7施設群第382施設中隊、和歌山駐屯地第304水際障害中隊、豊川駐屯地第6施設群、鯖江駐屯地第6施設群第372施設中隊、岐阜分屯地第369施設中隊、出雲駐屯地第304施設隊、三軒屋駐屯地第305施設隊から代表が、さらにここ大久保駐屯地にて前期教育中の新隊員が参加している。
号令とともに訓示、祝辞、祝電披露が終了し、大久保駐屯地祭は静から動に転じる。それは観閲行進である。観閲行進の待機位置まで、整列部隊は駆けて行く。施設科部隊ということで完全に機械化されており、待機位置までは入場と同様に車輌により展開する。
次々と入場し、幹部が車輌に乗り込む。大久保駐屯地祭では大規模な観閲行進が有名であるが、今回は50周年ということで、どういったことが行われるのだろうか、そうした観覧者の期待を背に受けつつ、迅速かつ速やかに部隊が観閲行進待機位置に向かってゆく。
音楽隊が演奏位置に向かって行進してゆく。併せて観閲行進では大規模な車両行進が行われる為、部隊により砂埃がたたないように散水が行われる。そしてその後方に続々と観閲行進参加車輌が集結を始めた。車輌ランプが砂煙の向こうに重なってみえる。遥か遠方に聞こえるエンジン音は装甲ドーザーか、はたまたヘリコプターか。その観閲行進編は次回に詳しく掲載したい。
HARUNA
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