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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

海上自衛隊舞鶴地方隊 19年度改編後の現状と能力

2008-03-27 18:29:17 | 防衛・安全保障

■JMSDF MAIZURU REGIONAL DISTRICT

 3月24日、舞鶴地方総監として加藤耕司海将にかわり、方支春亀海将が着任された。これを機会として昨日の記事では、海上自衛隊の部隊改編について紹介したが、本日は舞鶴地方隊の部隊編成を紹介したい。

Img_6193  海上自衛隊舞鶴基地といえば、北朝鮮を対岸とした日本海の防衛警備を担当し、第3護衛隊群旗艦であるヘリコプター護衛艦『はるな』、弾道ミサイルを探知したイージス艦『みょうこう』、護衛艦として10000㌧の満載排水量を初めて突破したイージス艦『あたご』、汎用護衛艦として最新最大の『すずなみ』などの大型護衛艦を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。

Img_6403  舞鶴基地は第3護衛隊群旗艦『はるな』以下五隻の母港であるとともに舞鶴地方隊第24護衛隊の護衛艦三隻を有する舞鶴地方隊が管理する基地である。しかし、その第24護衛隊が第14護衛隊として舞鶴地方隊から護衛艦隊に移籍した、というのは昨日の記事に記した。その後の舞鶴地方隊について記載したい。

Img_7881  舞鶴地方隊の頭脳である舞鶴地方総監部は、舞鶴地方総監を頂点として、幕僚長を次席、その下に第1幕僚室(人事・監理)、第2幕僚室(情報・保全)、第3幕僚室(防衛警備・訓練・運用)、第4幕僚室(施設・造修・補給・輸送)、第5幕僚室(通信・気象)が置かれている。人員は約160名。舞鶴地方隊の任務は、基地機能保全、港湾機能保持、装備の整備、機雷処理に災害派遣任務、沿岸警備などを実施している。

Img_1471  基地施設は、舞鶴湾地区だけで地方総監部、警備隊本部、教育隊施設、造修補給所施設、補給所機雷倉庫地区、平燃料貯蔵所、大波燃料貯蔵所、白浜火薬庫、乙島貯蔵庫、岩子火薬庫、舞鶴水雷整備所、大波射撃場、空山通信中継所、第4術科学校、自衛隊舞鶴病院、舞鶴飛行場があり、この他に新潟基地分遣隊が隷下にある(参考文献:世界の艦船通巻478)。

Img_9748 舞鶴地方隊の直轄艦は、先頃舞鶴地方隊に転籍した多用途支援艦『ひうち』(満載排水量1400㌧)、輸送艦『のと』(満載排水量710㌧)がある。『ひうち』は訓練支援や軽輸送任務などをおこなう艦。『のと』はビーチング接岸方式の輸送艦で、50㌧の貨物を搭載可能、車輌であれば73式中型トラック四両を輸送可能、災害派遣任務などに対応している。

Img_5990  舞鶴地方隊隷下の第44掃海隊は掃海艇『ながしま』、『あわしま』、『とびしま』で、人員は135名。日本海沿岸における掃海任務を中心として、遺棄機雷などの危険物処理、災害派遣任務に対応している。かつては、哨戒艇を運用していた哨戒隊や、駆潜艇を運用していた駆潜隊などがこの任務にあたっていたが、掃海隊だけとなり、地方隊の実動部隊として重責を担っている。

Img_6343_1  舞鶴警備隊は、対艦ミサイルや76㍉砲を搭載したミサイル艇『はやぶさ』、『わかたか』、『うみたか』を運用する第3ミサイル艇隊を運用しているが、特に港湾と水路警備・安全確保、陸上施設警備を引き受けている。新潟基地分遣隊も舞鶴警備隊の隷下にあり、陸上人員は約230名、ミサイル艇の乗員定数が各21名であるから司令部要員を含め約70名。

Img_5638_1  舞鶴教育隊は、新隊員教育と初任海曹教育を行う。部隊人員は教育隊の生徒学生を除き約130名。社会規範を学ぶ『訓育』、体力練成を行う『体育』、小銃操作やカッター運用を学ぶ『訓練』、勤務基礎知識を学ぶ『隊務』、衛生や接岸作業に不可欠な結索に応急訓練などを学ぶ『共通要素』、そして専門を学ぶ『要員要素』、研修や実習などを学ぶ。

Img_9740  舞鶴造修補給所は、かつては意味に面していたが、埋め立てられてこういった情景。造修所・補給所を機能強化のために統合したもので、人員は約110名。需品、火器、弾薬、車輌、化学器材、通信器材の整備を行う。また、ガスタービン整備科、船体を電気関係、船体関係、機関関係の監督や整備を行う船体部、発射薬の安定度試験や器材検査を行う火工部、砲・レーダー・通信機の監理と整備を行う武器部、自隊で行うことが可能な補修を行う工作部があり、艦船検査官と武器検査官という技官が事務を取り仕切っている。

Img_8562  現在、整備補給関係は水雷整備所などを舞鶴弾薬整備補給所として統合されているようだ。人員は約140名と考えられる。写真は大波燃料補給所。1988年に3000klのNo,3燃料タンクが運用開始され、1992年にはNo,8燃料タンクまでの一連の貯油タンク群が完成し、貯蔵能力は倍加、舞鶴飛行場の開設された関係で、航空燃料貯蔵施設が新しく設置されているが、順次大波燃料補給所の機能は護衛艦の接岸している北吸地区に移転するとのはなしだ。

Img_5748  舞鶴飛行場は、舞鶴基地の新しい施設として2001年に完成したもので、6機のSH-60J哨戒ヘリコプターと整備要員など約150名が展開している。飛行場が完成する以前は、大村航空基地や館山航空基地よりヘリコプターを回送していたため、北吸桟橋から極めて近距離にあるこの飛行場完成により、訓練運用機能などは強化されたといえる。

Img_6242  舞鶴地方隊には、40名からなる舞鶴音楽隊や舞鶴情報保全隊(旧舞鶴調査隊)がある。調査隊時代は10名とされたが、現在では情報保全機能強化を目的として強化されているかもしれない。さらに、舞鶴システム通信隊、舞鶴地方警務隊が舞鶴基地に展開している。また、舞鶴衛生隊により自衛隊舞鶴病院が運用されている。どれも基地機能を果たす上で欠くべからざる部隊だ。

Img_5684_1  約100名の人員による舞鶴基地隊は多くの支援船を運用している。支援船は、水中処分隊母船が一隻、港務隊の曳船(写真にあるようなタグボート)、燃料を運搬する油船、廃油船、艦船に真水を補給する水船、乗員の運搬を行う交通船や貨物を運用する運貨船、起重機船など排水量(総トン数)で500~50㌧程度のものが20隻程度配備されている。また教育隊にもカッターなど10隻程度が配備されている。

Img_3961  舞鶴地方隊の編成は、ざっと以上の通りである。護衛隊が護衛艦隊に転籍した後も、基地機能の維持など重要な任務は残っている。かつて六隻のDE(小型護衛艦)や駆潜艇、哨戒艇などが運用されていたが、これらは姿を消した、一方で掃海隊やミサイル艇隊が維持されているということは、沿岸警備などの任務として求められるものは残っているわけで、大型の護衛艦では感知が困難なミゼットサブ(小型潜水艦)対策や工作員侵入阻止、災害派遣など、現行の地方隊の能力で賄いきれるのかについては疑問が残るような気がしてならないが、これについては、別稿にて掲載したい。

 なお、横須賀、佐世保、呉、大湊の各地方隊は、基本的に舞鶴地方隊と同じ編成であるが、差異もあることを特記しておきたい。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (5)
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