■XP-1試験飛行順調
Weblog北大路機関の緊急用として設置されている第二北大路機関(http://harunakurama.blog10.fc2.com/)では、定期的に舞鶴基地・岐阜基地・阪急電車・名鉄電車について掲載しているが、2月28日の“XP-1試験飛行(※)”に関する補足記事を掲載したい。
XP-1は、海上自衛隊の次期固定翼哨戒機として川崎重工を主契約企業とし、開発が進められている次世代航空機である。現在は、川崎重工岐阜工場が隣接する航空自衛隊岐阜基地において防衛省技術研究本部による試験飛行が繰り返し行われており、2月には三回の試験飛行が実施されている。次期輸送機C-Xとの最大限の部品共通化を期しており、冷戦後における航空機開発プロジェクトを列挙しても、世界的に見て最大規模の軍用機開発プロジェクトとなっている。
2007年9月の初飛行では基地周辺を一回りした程度の飛行時間であったが、一時間半程度の試験飛行が行われ、今年からは六時間程度の長距離飛行試験が実施されている。さて、2月28日に実施されたXP-1飛行試験は、9月のXP-1初飛行から数えて八度目の試験飛行となったわけだが、その様子を写した写真にはXP-1の他にもう一機の機体が確認できる。
これまでの飛行試験では随伴機に、海上自衛隊の固定翼哨戒機P-3Cが飛行していたが、上記写真と同アングルの写真を大きくトリミングしてみると、機体の特色などから、これが航空自衛隊の中等練習機T-4であることがわかる。第二北大路機関記事における分析では、これはいわゆるフォトミッションの機体ではないかと記したが、部内での検討の結果、本機は高速度試験の支援に飛行しているのではないかとの結論に達した。
写真は、2007年10月25日に撮影したT-4である。これは他のT-4と比べ、機首部分に大型の計測用ピトー管を搭載した機体で、岐阜基地に所在する飛行開発実験団に配備された機体である。XP-1は、P-3Cの後継機であるが、同時に進出速度と高高度飛行能力の充実を設計要求に記しており、特に最高速度や巡航速度ではP-3Cの機体性能がXP-1に追従できないという点がある。
XP-1とともに写ったT-4には増槽が取り付けられており、これはXP-1の長距離飛行に随伴するためのものとみられる(機体重量が増加するため、必要が無ければ増槽が取り外される)。写真は2月13日撮影のもの。他方で、2月28日のXP-1では後方にP-3Cが随伴していたことで、おそらく飛行試験の支援に用いられていたと推測される(第二北大路機関当該記事作成段階では、速報性を重視したため充分な検討が行われなかったのだが、XP-1とP-3Cが同時に飛行していたため、フォトミッションの可能性を記した)。
海上自衛隊次期固定翼哨戒機P-X&航空自衛隊次期輸送機C-Xとして並行し開発が進められている一方で、C-Xに関しては機体強度に問題があるとの報道が一部で為されており、今後の状況を冷静にみてゆきたいところだが、一方で、XP-1は、高速度試験へと試験飛行を進めており、初飛行以降の飛行試験に関する進捗状況は順調といって過言ないようだ。
HARUNA
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