◆点検・情報収集・警戒監視を指示
韓国艦撃沈事案について、防衛大臣より指示が出された旨、防衛省HPに掲載されていました。20日のものでやや遅れましたが紹介します。
韓国大統領の発言では、今後北朝鮮が韓国の領域に対して武力攻撃を行うのであれば自衛権を行使する、と発言。これは今回は自衛権を行使しない、という意味にも受け取れるですけれども、一方で韓国政府は米海軍との海上封鎖を想定した合同演習を行う、という発表を行っています。まだまだ収束の見通しは立っていませんね。
韓国哨戒艦沈没事案に係る防衛大臣の指示について・・・平成22年5月20日:韓国哨戒艦沈没事案に関する韓国側の調査報告発表についての総理大臣コメントを踏まえ、本日午後、防衛大臣から省内関係幹部に対し、以下の指示があったのでお知らせします。○自衛隊の態勢について改めて点検すること○引き続き情報収集に努めること○警戒監視活動に万全を期すこと http://www.mod.go.jp/j/press/news/2010/05/20b.html
自衛隊の態勢について改めて検討する事、という事は恐らく即応体制や部隊稼働率、応急出動に対する準備体制の点検、ということでしょうか。平和ボケと言われる日本なのですけれども陸海空自衛隊は全ての戦闘部隊や戦闘支援部隊は有事の際に即応できるよう定期的に点検を行っています。この態勢を改めて点検するという意味でしょう。一方で、朝鮮半島情勢は突如更に緊張を増すことも考えられますので、勤務体制にも影響が出てくるのかもしれません。
引き続き情報収集に努める事、というのは防衛駐在官による情報収集や外交ルートを含め収集される情報の分析、情報本部が実施している公開情報や通信電波の傍受、日本周辺で恒常的に行われている哨戒飛行等公海等で行われている任務を引き続き実施してゆく、ということでしょうか。
警戒態勢に万全を期す、ということは自衛隊基地の警備態勢や護衛艦などの航行時に警戒を促す事、という意味なのでしょうか、それより一歩進んで陸上自衛隊による沿岸警備態勢の点検、ということは含まれている可能性もあります。工作船が過去に浸透した事案も多々ありますので、相応の準備は行っている事でしょう。
現時点での防衛大臣支持は以上の通りですが、仮に韓国が海上封鎖演習を実施するなどを行った場合、これに対応して日本海や太平洋に対して北朝鮮がミサイル実験を行う可能性があります。現在、北朝鮮は空軍の稼働率が非常に低く、海軍には満載排水量1000㌧以上の艦艇は3隻しかありません、人民軍は野砲火力で秀でたものがありますが、これを用いた場合、恐らく不通の戦争になってしまいます。この点、弾道ミサイル実験は現実的選択肢となるでしょう。
また、工作員浸透に対する警戒も充分行われる必要が出てくるでしょう。海上保安庁、海上自衛隊合同で沿岸警備の強化を行うとともに、現時点では警察庁から指示は出ていないようですけれども、朝鮮半島情勢がひっ迫すれば全国の米軍基地に対して管区機動隊を中心に警備が強化される可能性もあります。
しかし、本来は日本は有事の際に利害が関係する事もあるのですけれども、当事国ではない訳です。本来は警戒体制と情報収集体制を確立するとともに、一歩引いて平和的解決の為に周辺国との協調を確立することが本来の役割だとも思うのですが、日本が先頭に立って安保理に、等首相の発言がこういう時に限ってブレません。こちらについては、北澤大臣が指示を出す訳にもいかずこちらの方も不安ですね。
HARUNA
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