北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

韓国コルベット沈没原因は魚雷攻撃 求められる海上自衛隊の警備体制強化

2010-05-13 21:55:55 | 防衛・安全保障

◆日本周辺海域での情勢変化へどう対処するか

 韓国海軍コルベット沈没事案は、検証結果では魚雷による撃沈、という方向で固まっているようです。

Img_1916  現在韓国軍が捕獲した北朝鮮製魚雷と引き上げた船体から検出された火薬成分や破片などの成分とが合致するかを検証中とのことで、北朝鮮による攻撃、という見方で状況は進展しています。報復措置として限定的な海上封鎖という実力が行使される可能性もあり、朝鮮半島情勢は場合によっては一気に緊迫化する可能性を帯びてきました。過去にも、コルベットの沈没原因が内部爆発によるものではなく北朝鮮による破壊工作や攻撃等が原因であれば海上自衛隊も警備を強化する必要性、とWeblog北大路機関では掲載しましたが、改めて掲載します。

Img_16131  日本海、東シナ海などでは過去に北朝鮮からのものと思われる不審船、つまり工作船が浸透した事案があり、この事を考えれば水中工作員や母船から発進するミゼットサブ(小型潜水艇)のような手段で日本近海に進出してくる可能性は充分考えられる訳です。今回の魚雷は、水中ボートのような方式で、単体にて接近したものなのか、もしくはサンオ級潜水艦のようなミゼットサブにより発射されたのか、まだまだ解明されていないことは多いのですけれども、1000㌧以上ある水上戦闘艦が洋上で破壊された、というのはテロ攻撃としては前代未聞です。

Img_6606  水中工作員がある一定の距離まで操作する魚雷、もしくはミゼットサブによる魚雷攻撃、というのであれば、こちらは航続距離が限られていますので日本海を遊弋する海上自衛隊の護衛艦を攻撃する、というのは非常に厳しいでしょう。しかしながら、偽装民間船のような母船から水中工作員を展開させ、停泊中の艦船を攻撃する、もしくは港湾の入り口付近まで母船とともに魚雷を運搬し、低速状態の艦船に対して攻撃を加える、という方式であれば可能性がある訳です。したがって、何らかの対処が必要となります。

Img_7745  掃海艇であれば、湾口のような浅海域でも機雷探索用装備が水中小型目標の発見に応用することが出来、処分用爆雷や掃海器具によりミゼットサブに対処することが出来ますし、もちろん、掃海艇も全ての基地で常時警戒態勢をとるほどに充分地方隊に配備されているとは言えないのですけれども、警戒を行うことは有意義ですし、哨戒ヘリコプターを不定期で警戒の為に飛行させるという事も対処法として挙げられるでしょう。また、こうした警戒態勢を執っている事について報道に公開すれば、それだけでも破壊工作を抑制する効果が期待できます。

Img_2801  現在難航している普天間飛行場移設問題についても、鳩山政権が提案している浅瀬杭打方式やメガフロート方式では、この種の水中工作員により爆薬を設置される可能性があるため、海兵隊では埋立方式を要望していると報じられています。現実問題として、南西諸島や日本海沿岸には北朝鮮の工作船が確認され、過去に行われた海上自衛隊初の海上警備行動も工作船対処として実施されたのですから、武装工作員浸透に如何に対処するかは、普天間移設問題についても影響を及ぼす事でしょう。

Img_3403  この際、併せて浅海面での水中警備システムの構築などを技術研究し、その成果を海上自衛隊の基地警備に応用しては、と先日記載したのですが、併せて湾口部分や基地桟橋付近についても水中の警備システム強化を実施し、水中からの脅威へ備えるとともに、基地警備隊への哨戒艇配備や護衛艦に対する機関銃の増備などを行う必要性があるのではないでしょうか。哨戒艇の導入までの間、状況は切迫していますので、さしあたっては警備訓練の名目で64式小銃を携行して常時交通船などにより哨戒を行う事が対処法として挙げられます。

Img_2236  他方で、仮に韓国海軍が具体的行動に出た場合、北朝鮮の海軍施設沖合には中国海軍が行動している航路もありますので、無用の摩擦が生じる可能性があります。こうした危惧が現実の事とならないように、日本政府としてもアメリカと協力し、六カ国協議の枠組みを応用するなどして、中韓と日本の連絡体制の確立を働きかけるなど、必要以上に状況が悪化しないような体制を構築するよう努力を期待したいです。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (4)
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