◆特定のテロ情報に基づくものではない
同時多発テロから間もなく十年を迎えるに当たり国防総省はテロへの警戒を高めています。
米軍施設の警戒レベル引き上げ、9・11から10年で=国防総省・・・[ワシントン 7日 ロイター] 米国防総省は7日、2001年9月11日の米同時多発攻撃から10年を迎えるのを前に、同省ビル(ペンタゴン)を含め主に米国内の軍関連施設の警戒レベルを引き上げたと発表した。 同省は今回の引き上げ措置について、特定のテロ情報に基づくものではないと説明。同省のリトル報道官は「万が一の事態に備えた予防的措置だ」と述べた。レベル引き上げは、11日まで続くという。 計4機がハイジャックされた同時攻撃ではペンタゴンも標的とされ、アメリカン航空77便が突っ込んだ。残りの3機のうち2機が世界貿易センタービルに激突、1機はペンシルベニア州に墜落した。 一方、米国務省は「ワールドワイド・トラベル・アラート」を発令。海外に渡航・滞在する米国人に対して、国際武装組織アルカイダやアルカイダ系組織からの攻撃予告に警戒するよう促した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-23081820110908?feedType=RSS&feedName=topNews
今週末には厚木航空基地の一般公開が行われるとのことですが、その土曜日は9月10日、翌日11日は同時多発テロから十年を迎える日です。そういった時期によく基地一般公開を決断したのだなあ、と逆に感心してしまうのですが今年は米海軍航空百周年という重要な年ですので、あえてということでしょうか。さて今回の警戒、具体的には同時多発テロの首謀者とされるオサマビンラディン氏の排除に成功したものの9月11日という日はテロを試みる国際組織にとり一つの象徴的な位置づけになっている、という事なのでしょうか。特に同時多発テロではハイジャックした航空機を交渉の場とする従来のテロ手法に対して、航空機そのものによる自爆攻撃をおこなうという点で特色があり、航空燃料を満載し高速度で衝突する航空機の自爆攻撃の威力はその手段の非人道性とともに異例のものでした。
他方で、世界の旅客用航空機保安体制を始めこれまでに判明した脆弱な部分の強化は逐次実施されている為同様のテロ攻撃を行う事への難易度は非常に高まっているということはいえます。しかしながら、例えばリビアやイラクから混乱の際に紛失が懸念される稼働状態にある携帯型地対空ミサイルの問題や、同時多発テロ以降着目されるようになった核の闇市場とよばれる核物質に関する問題は警戒が強化されており事実摘発事例も挙げられるのですが、決して安泰と言い切れる訳ではないでしょう。同時にテロ対策という意味合いからは旅客機を利用する時などの保安検査の厳しさや空港警備に関する取り組みは日本でも改善されたところなのですけれども、同時に日本国内では隣国からのゲリラコマンドーによる浸透という危険性を認識しなければならない時期と重なっており、結果的にアメリカが想定するテロへの備えをわが国がが行う事は、一定の波及効果があった、という事も出来ると思います。
しかし同時に、今後は日本も特にエネルギー政策の転換などとともに世界での関与を強めてゆく必要が生まれている事で、必然的にテロの標的となりうる潜在的危険、これまで想定していた以上に危険に曝される、いわば巻き込まれではなく主体的な目標となる可能性をここ半年間の政治的変化が舵を切る形となっています。すると、これまで以上に、日本として、進めてきたテロ対策を強化してゆく必要が生まれるのかな、と思いました次第。まもなくの9月11日は、同時多発テロ十周年と同時に3.11東日本大震災から半年、という区切りの日でもあります。
北大路機関:はるな
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