◆台風12号痕残る地域へ東海豪雨以来の豪雨予報
台風15号が接近し、最新の予報では愛知などに2000年の東海豪雨に匹敵する豪雨の危険性が指摘されています。
名古屋で天白川と庄内川の水が上昇し一時堤防を越水するという状況に際し、名古屋市では一時109万人に避難勧告を発令、本日1900時の時点でも89万人に避難勧告が出されています。愛知県は名古屋市守山区に司令部を置く第10師団の管区ですが、司令部からほど近い矢田川も水位上昇中で、伊勢湾台風以来災害派遣の多い管区という位置づけを思い出しました。
すでに本日1800時に春日井市長からの要請で愛知県の大村知事より自衛隊へ災害派遣の要請が出されています。春日井市には第10後方支援連隊、第10施設大隊、第10偵察隊が駐屯する春日井駐屯地がありますので、恐らく部隊は初動部隊の派遣を開始しており今後の状況によっては孤立家屋からの住民救出や障害除去など、必要とされる任務にあたるでしょう。
第10師団管区では先日の台風12号災害への災害派遣任務がひと段落したばかりではありますが、今回の台風15号も三重県を中心に500mm程度の激しい豪雨を伴うとみられ、現在の進路では今後紀伊半島に上陸し、東海地方から首都圏へ縦断するとの予報が出されていますので、三重県についても厳重な警戒が必要であることは言うまでもありません。
また愛知県東部でもすでに床上浸水などの被害が出始めていますので、今後の状況によっては豊川駐屯地より第10特科連隊、第49普通科連隊、第6施設群へも派遣要請が出される可能性があります。今後の状況に関心が高まるところでしょう。
和歌山県田辺市の台風12号による山岳の深層崩壊により生じたせき止め湖、いわゆる土砂ダムへの警戒も重要です。国土交通省近畿地方整備局では水位が超え始めている可能性があることを指摘、他方で国土交通省は航空機や遠隔監視装置による監視を試みているものの現状では把握出来ない、状況不明と発表しています。
奈良県内でのせき止め湖の土砂ダムはまた数メートルの余裕があるとの観測もありますが、早ければ21日未明にも決壊し土石流となる可能性がるとのことです。せき止め湖の土砂ダムは決壊すれば下流の広範囲が瞬間的な大規模土石流による洪水被害に見舞われるため、こちらも警戒が必要です。
台風12号災害派遣は三重県内では終了していますが、和歌山県と奈良県へは第3師団、第4施設団、中部方面隊隷下の部隊と航空自衛隊が派遣され、情報収集や行方不明者捜索、救援物資輸送と道路啓開任務を実施中で、ここに台風15号が接近という状況になっています。今年は津波や水害など災害の大きい一年、という印象を改めて感じずにはいられません。
北大路機関:はるな
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