北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:基地警備用強化小銃HK-416/M-27

2015-12-02 23:39:49 | 防衛・安全保障
基地警備用強化小銃HK-416/M-27
航空自衛隊の基地警備について、2000年代より軽装甲機動車の配備が進み、MINIMI分隊軽機の配備が進んでいるが依然として小銃は64式小銃のままです。

HK416小銃、航空自衛隊向けの小銃として、9mm機関拳銃と併用する装備に勧めたいのがこのドイツ製小銃です。アメリカ海兵隊にもM27ISRとして採用されました。航空自衛隊の任務は基地警備という施設警備任務が基本ですから、あまり長い小銃は向きません、陸上自衛隊と海上自衛隊の採用する89式小銃も短いのですが、HK416はアメリカのM4A1をドイツのH&K社が改良したものでさらに短い。

M27ISRとして採用されていると紹介しましたが、ISRとは歩兵支援小銃の意味でMINIMI分隊軽機の補完用に用いられているとのこと、二脚を装着しACOG四倍照準眼鏡を装着することで、30発弾倉を装着する小銃なのですがMINIMIのように遠距離を制圧する事が可能ということで、海兵隊員に第二次大戦中のBAR自動小銃のようなものか、と問うと、そうだ、とのことでした。

施設警備任務ということですが航空基地警備となれば交戦距離は必然的にながくなりますから、一定以上の射程が必要です。その程度ならば89式小銃でも対応できるのでは、という問いがあるやもしれませんが、アメリカ海兵隊では純然たる小銃であるM16A4とともにM27を装備しています、軽装甲機動車にMINIMIを搭載し、降車要員へHK416を装備させることが、理想的な警備装備といえるやもしれません。
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ロシア国防省ショイグ大臣 北方領土の択捉島国後島へ400の新軍事関連施設を建設

2015-12-02 20:26:03 | 国際・政治
■ロシアの極東軍備強化
 ロシア国防省は我が国北方領土の択捉島と国後島へ新たに392カ所の軍事施設が建設中と発表しました。

 冷戦期、我が国防衛における最大の関心事は北海道北部への大陸からの着上陸であり、これは太平洋へソ連が進出する際の重要海峡が我が国の領海と接する宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡、であったためで我が国は必要であれば即座に機雷封鎖可能であり、ソ連としては米ソ関係における太平洋進出の重要性に鑑み、重大な関心を以ていました。

 ソ連としては戦略ミサイル原潜が展開するオホーツク海への経路である千島列島は戦略上の要衝であるとともに、1945年に日ソ不可侵条約を破棄し停戦後にも攻撃を加え全域を占領した事で我が国が領有権を奪取され、このために日ロ間の平和条約締結が太平洋戦争う終戦70年を経た今なお実現していない係争地域となっています。

 この北方領土は、オホーツク海を塞ぐ重要海峡があり、宗谷海峡と異なり冬季には流氷により完全に閉塞されますが、ロシアには絶対防衛しなければならない地域です。こういいますのも、戦略ミサイル原潜が搭載する潜水艦発射弾道弾は陸上の大陸間弾道弾を補完する第二次反撃核戦力で、仮に千島列島からアメリカの戦略ミサイル原潜が浸透すれば、米露間の核戦力相互確証破壊秩序へ重大な影響を及ぼします。

 一方、ロシアとしては千島列島は防衛に課題を抱えています、ロシア本土と千島列島の中間には樺太島が位置しており、北部の間宮海峡を航行するか北海道に接する宗谷海峡を航行しなければ空中機動部隊以外は千島列島へ展開できません、宗谷海峡は日本側が自由に機雷封鎖できますし、間宮海峡は初冬には流氷により閉塞されるため、冷戦期、自衛隊の着上陸をソ連がおおきく警戒していました。

 このため、ロシアは冷戦終結後に経済的後退位にあっても最大限、極東における軍事力の維持に努めており、今回、ショイグ国防相が明らかにした約400の軍事施設建設は、北方領土防備体制を強化する上で大きな意味を持ちます、それは北方領土問題を解決するまでは日ロ平和条約の締結が無いと堅持する我が国への大きな牽制であると共に、東部ウクライナ紛争とシリア問題により表面化したロシアの太平洋を隔てての隣国アメリカとの緊張の波及に他なりません。

 現在建設が進む北方領土の軍事施設は、冬季も継続して建設すると発表され、いかにこの軍事施設建設をロシアが重視しているかの表れでしょう、特に建設資材搬入は北方領土内で確保可能なものを除けば海運か空輸する必要があり流氷の南下に影響されるため、冬季も継続して建設するには作業機械以上の負担があり、今後我が国としてはこの急な発表と建設の展開の推移を注視しなければなりません。

北大路機関:はるな くらま
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