■F-15稼働率支える設計
戦闘機部隊の分散運用を提示しましたが、その用法についての結論や施策について。
F-15戦闘機など、拠点基地に集中配備する様子は列線にならぶ戦闘機の威容は頼もしいものがありますが、一カ所に集めますと弾道ミサイル攻撃を開戦第一撃の奇襲として受け一挙に機能不随となる恐れがあり、これを回避する為の施策に戦闘機を全国の空港へ分散し体勢を立て直し、拠点基地と共に運用する大型航空団と臨時分屯基地の提案を示しています。
整備機材、予備を蓄積するにもそれはそれで費用を要する、その為の予算をどのように考えるのか、という部分が前回の掲載において最後に示していました。F-4は機動展開の対象としなければ機種は二機種に絞れるのではないか、という視点はあるやもしれませんが、実際のところ整備器具が補給処に最も多数が備蓄されているのはF-4です。
こう言いますのも144機が導入され、F-15戦闘機にその座を譲るまで日本の防空はF-4が担っていました、が、除籍が進み現在要撃飛行隊には二個飛行隊を残すのみとなっています、すると余剰部品と整備器具が期待されるのはこのF-4になってしまうわけです。もっとも、F-4整備員の方の話を聞きますと苦労話と愚痴ばかりになりますが。
整備性という視点からはF-15ならばF-4に対して非常に設計を意識した構造が採用されている事から負担は軽減されています。列線整備の負担を如何に軽減するかが稼働率に反映され、結果的に少数いおいても質的優位を確保する事に繋がる、という思想に基づく機種ですので、整備性は比較的良好に保たれているのです。マンアワーという仕事量にこの数量は端的に表れています。
マンアワー、一人一時間の仕事量を示すのですが、例えば20マンアワーの仕事量は10名の整備員で2時間、20名の整備員で1時間で完了するという意味です。設計当初、マクダネルダグラス社の開発チームはF-15を一任務飛行あたり8マンアワーの整備性を持たせることを主眼に開発しました、F-4戦闘機の整備両が34マンアワーといわれていますので、かなり野心的な要求といえました、現実は倍以上となりました、が。
この整備性の高さを支えたのが徹底した列線交換ユニットLRUによるブラックボックス化で、電子検査等はBITプログラムとしてF-15戦闘機自身が機体における不具合を検査し、整備員へ機体状況を報告する機能があります、機体の整備用や補給用のエクスターナルアクセスドアは実に300カ所に上るとされ、この部分を点検しLRUを交換する事でかなりの部分が点検可能です。
BITプログラム端末はコクピットに簡易端末、機首脚部に本端末が配置されており、異常発生時には当該区画を示すランプが点灯、当該部分のLRUを交換します。LRUとは列線整備でモジュール化され即座に入れ替える為の機器で、列線交換ユニットという名称の通り、列線整備にはLRUを多数準備しておくだけで不具合の発生に際しては、LRUをそのまま差し替える事で対応可能、というもの。
LRUは互換性がありますので、万一近くに破壊された機体があればLRUだけ稼働機へ換装し運用する事も可能、といわれています。この発想はF-35戦闘機では更に進み、BITプログラム端末は機体部分の端末と併せて列線整備要員用のタブレット端末が標準装備され、整備要員は端末に表示されたLRUの交換区画を画像により把握し、タブレット端末に表示される交換マニュアル手順に沿って換装する。
BITプログラムタブレット端末は、端末カメラ装置撮影するした機体を画面に表示する事で異常部位を画面上に表示する機能や、整備用アクセスドアの位置と電子タグ付されたLRUの位置を表示して最短距離での整備方法を表示する機能があるようで、本論から少し離れますが、F-15JについてもこのBITプログラムタブレット端末とLRU電子タグ化を近代化改修で進め、整備間隔を短縮する事に予算を投じる必要がある、ということ。
AN/APG-63レーダーとF100-PW-100エンジンについてもモジュール化が進められており、充分な整備支援があればエンジン換装は列線整備員だけで0.5時間で完了するとのことです。流石にエンジンが故障した際にエンジンの一部をモジュールとして分解し乾燥する事は出来ませんが、エンジンを迅速に換装する事で稼動状態に迅速に復帰させることが可能です。
しかし、これは言い換えれば予備部品をコンテナ化し備蓄する際に、不具合が予想されるLRU,こしょう頻度から計算する他なさそうですが、LRUを充分に備蓄しておく必要があると共にエンジンが迅速に換装できるという視点からF-15はエンジンの迅速な感想を念頭に設計されているものでもあり、予備部品の整備コンテナには巨大なエンジンを換装に必要な簡易器具を含め備蓄しておく必要がある、という事に他なりません。
また、電力と維持機材を十分確保出来るという前提で、航空機消耗品を臨時分屯基地において迅速に供給できるよう、大型3Dプリンターの導入は視野に含めるべきです。コンテナに常備し、樹脂製や軽金属粉末を用い応急機材であっても期待を飛行させ作戦可能な状態とするうえで必要な資材の供給に大型3Dプリンターの持ちうる領域は大きく、例えばイギリス海軍では海外派遣の航空機整備用に艦艇へ3Dプリンターをいち早く導入しています。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
戦闘機部隊の分散運用を提示しましたが、その用法についての結論や施策について。
F-15戦闘機など、拠点基地に集中配備する様子は列線にならぶ戦闘機の威容は頼もしいものがありますが、一カ所に集めますと弾道ミサイル攻撃を開戦第一撃の奇襲として受け一挙に機能不随となる恐れがあり、これを回避する為の施策に戦闘機を全国の空港へ分散し体勢を立て直し、拠点基地と共に運用する大型航空団と臨時分屯基地の提案を示しています。
整備機材、予備を蓄積するにもそれはそれで費用を要する、その為の予算をどのように考えるのか、という部分が前回の掲載において最後に示していました。F-4は機動展開の対象としなければ機種は二機種に絞れるのではないか、という視点はあるやもしれませんが、実際のところ整備器具が補給処に最も多数が備蓄されているのはF-4です。
こう言いますのも144機が導入され、F-15戦闘機にその座を譲るまで日本の防空はF-4が担っていました、が、除籍が進み現在要撃飛行隊には二個飛行隊を残すのみとなっています、すると余剰部品と整備器具が期待されるのはこのF-4になってしまうわけです。もっとも、F-4整備員の方の話を聞きますと苦労話と愚痴ばかりになりますが。
整備性という視点からはF-15ならばF-4に対して非常に設計を意識した構造が採用されている事から負担は軽減されています。列線整備の負担を如何に軽減するかが稼働率に反映され、結果的に少数いおいても質的優位を確保する事に繋がる、という思想に基づく機種ですので、整備性は比較的良好に保たれているのです。マンアワーという仕事量にこの数量は端的に表れています。
マンアワー、一人一時間の仕事量を示すのですが、例えば20マンアワーの仕事量は10名の整備員で2時間、20名の整備員で1時間で完了するという意味です。設計当初、マクダネルダグラス社の開発チームはF-15を一任務飛行あたり8マンアワーの整備性を持たせることを主眼に開発しました、F-4戦闘機の整備両が34マンアワーといわれていますので、かなり野心的な要求といえました、現実は倍以上となりました、が。
この整備性の高さを支えたのが徹底した列線交換ユニットLRUによるブラックボックス化で、電子検査等はBITプログラムとしてF-15戦闘機自身が機体における不具合を検査し、整備員へ機体状況を報告する機能があります、機体の整備用や補給用のエクスターナルアクセスドアは実に300カ所に上るとされ、この部分を点検しLRUを交換する事でかなりの部分が点検可能です。
BITプログラム端末はコクピットに簡易端末、機首脚部に本端末が配置されており、異常発生時には当該区画を示すランプが点灯、当該部分のLRUを交換します。LRUとは列線整備でモジュール化され即座に入れ替える為の機器で、列線交換ユニットという名称の通り、列線整備にはLRUを多数準備しておくだけで不具合の発生に際しては、LRUをそのまま差し替える事で対応可能、というもの。
LRUは互換性がありますので、万一近くに破壊された機体があればLRUだけ稼働機へ換装し運用する事も可能、といわれています。この発想はF-35戦闘機では更に進み、BITプログラム端末は機体部分の端末と併せて列線整備要員用のタブレット端末が標準装備され、整備要員は端末に表示されたLRUの交換区画を画像により把握し、タブレット端末に表示される交換マニュアル手順に沿って換装する。
BITプログラムタブレット端末は、端末カメラ装置撮影するした機体を画面に表示する事で異常部位を画面上に表示する機能や、整備用アクセスドアの位置と電子タグ付されたLRUの位置を表示して最短距離での整備方法を表示する機能があるようで、本論から少し離れますが、F-15JについてもこのBITプログラムタブレット端末とLRU電子タグ化を近代化改修で進め、整備間隔を短縮する事に予算を投じる必要がある、ということ。
AN/APG-63レーダーとF100-PW-100エンジンについてもモジュール化が進められており、充分な整備支援があればエンジン換装は列線整備員だけで0.5時間で完了するとのことです。流石にエンジンが故障した際にエンジンの一部をモジュールとして分解し乾燥する事は出来ませんが、エンジンを迅速に換装する事で稼動状態に迅速に復帰させることが可能です。
しかし、これは言い換えれば予備部品をコンテナ化し備蓄する際に、不具合が予想されるLRU,こしょう頻度から計算する他なさそうですが、LRUを充分に備蓄しておく必要があると共にエンジンが迅速に換装できるという視点からF-15はエンジンの迅速な感想を念頭に設計されているものでもあり、予備部品の整備コンテナには巨大なエンジンを換装に必要な簡易器具を含め備蓄しておく必要がある、という事に他なりません。
また、電力と維持機材を十分確保出来るという前提で、航空機消耗品を臨時分屯基地において迅速に供給できるよう、大型3Dプリンターの導入は視野に含めるべきです。コンテナに常備し、樹脂製や軽金属粉末を用い応急機材であっても期待を飛行させ作戦可能な状態とするうえで必要な資材の供給に大型3Dプリンターの持ちうる領域は大きく、例えばイギリス海軍では海外派遣の航空機整備用に艦艇へ3Dプリンターをいち早く導入しています。
北大路機関:はるな くらま
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